⑨旅立ちは軽やかに・・・
時が流れました。クリフとロックは、余韻の時に浸ります。
「んでんで、どうだったんすか、師匠!あのシスターのおばあさんとの初体験は!?」
眉間にシワを寄せたクリフに、空気読めないロックは、好奇心を丸出しにした目つきで彼に詰め寄った。
クリフとロックはエフェレリアの外のバローナという町にある食堂で食事を摂っていた。二人の生活は旅から旅への生活のために、日々いる場所が変わってゆく。
二人は年季の入った濃い茶色のテーブルをはさんで向かい合うようにして食堂の椅子に座っていた。そこで、
「やめろ!余計、食欲がなくなるっ!もう、あの瞬間は、思い出したくもないんだっ!忘れた、忘れたっ!」
そう、眉間にシワを寄せたまま、強く言うクリフにロックは言った。
「師匠!人生の大先輩であるご婦人に、そんな言い方は失礼じゃあないですかっ!あのおばあさんだって、れっきとした女性であり、レディーなんですからっ!」
「確かに、レディーではあるっ!だが、オレとは、年齢が離れすぎてんだよっ!いつもいっつも、・・・何で女となると、オレはババァしか縁が無いんだっ!あ~あ、せめて一回でも良いから若い娘とエッチしてみてぇなぁ~・・・・・・。」
そう言い、あの時の事を思い出し、クリフは悔し涙をホロホロと流す。
「・・・ああ、思い出しただけでまだまだ吐き気がしてきやがる・・・。オレの注文した料理、食えねぇから、ロック、お前にやる!」
そして、料理が沢山残った皿をロックに差し出しながらクリフは涙ながらに言った。
「ロック・・・!お前の言い分も分かる。確かにバアさんだって女性だ。だがな、若い年齢のオレは、やっぱり若い娘とやりたいって思う!これが若さっていうもんなんだよ。あ~あ、若い女の子と恋人になりたいよぉ~・・・・・・!」
そう嘆くクリフに一抹の憐みを感じたロックは苦笑いを浮かべながら言ったのだ。
「師匠!いつもの師匠らしくないっすよ。大丈夫です!その師匠の変態ぶりならば、必ずや、自分の運命さえも変えて、それできっと若い女の子をゲットできますから!」
「そうかぁ~?そうだよな、オレって、かなりのナイスガイで、かなり有能な霊能者だものな。今度は必ずや、必ずや、若くて綺麗な女の子をゲットしてみっぜ!」
そこでクリフはガン!と、大きな椅子の引きずる音をたて、立ちあがったのだ。ロックのその一言でクリフはもう、強き心を取り戻したのであった。本当に立ち直りが早い、単純すぎるほどに単純な男だ。
「さあ、師匠、行きましょう!大丈夫です、師匠がその調子でいれば、必ず、師匠の運命は変わり、素敵な女の子と出会えますから!」
「よぉ~っしっ!なら、オレはもう、落ち込まんぞっ!」
そう言うが早いか、クリフは荷物を持ち、この店を飛び出した。
「待ってくださいよぉ~・・・・・・!」
この店を出ようとするロックを店の大柄な店長である男が引き留めた。
「待ちな!お客さん、お勘定!」
そこでロックはあわてて財布を取り出し、支払いを済ませ、勢いよく飛び出してゆく自分の年下の師匠を追いかけてゆくのであった。
空はどこまでも青く澄んでおり、二人の新たなる旅立ちにはぴったりな日のことであった。
さて、クリフが若くて綺麗な女の子と恋人になれる時は、来るのでしょうか?
それから、次なるクリフに立ちはだかる困難は、いかなるものなのでしょうね。