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⑧クリフの悲劇!

 クリフは悲劇、ロックは学び。そのような瞬間が訪れます。

 マザー・テルサンは、シワシワのばあさんシスターに乗り移り、エッチを体験する運びとなった。

 この時にはもう既に、男どもは正気を取り戻していた。

 さっきまでホモラブぶりを見せてイチャイチャしていたヤロー共は正気に返り、我が家への道を急いでいる。

 そんな中、テルサンの乗り移ったシワシワのシスターバァさんとエッチする相手は、クリフに決定されてしまったのである。

 これは老女として亡くなったテルサンの心からの切実な願いだった。生まれつきババ運の強いクリフの事だ、そうなる事は自然の流れで、当然の成り行きだった。

 このような事の運びを、クリフとしては面白く思わないのは当然である。そこで彼は、テルサンに街中の若い女の子に乗り移ってほしいと意義を申し立てたのであるが、女運の悪いクリフの事である。若い女の子は全員、まるでキモイ物でも見るような表情をしながら断ったのだ。

 そこで今度は中年男性とエッチすればよいのではとクリフが提案したのだが、やはりテルサンの好みはクリフしかいない♡、クリフでないと成仏できないっ!そう情熱を込めてテルサンが訴えてきたのだ。その熱烈で情熱的な彼女の訴えかけが女たちの心を強く動かした。数多くいる女たちは、女同士という事で感情が動き、テルサンに味方した。

 その結果としてやはりクリフが、テルサンの魂の乗り移ったシワシワのバアさんとエッチする運びとなってしまったのである。

 若い青年クリフがこのバァさんとエッチすると決まったその途端、バァさんの頬が赤く染まった。

 「おばあさん、あんなに頬を赤らめて、やっぱり何歳になっても女は女なんですね。」

そうした光景を見て、微笑みながらそう言うロックに、バアさんは言った。

 「そうさ。みんな女は、バアさんになってシワシワになっても、恋したい、綺麗になりたいって思うものじゃよ。」

 「そこ!リアルにそういう会話をしてんじゃあねぇよっ!オレは、またもやババァと深くかかわらねばならなくなっちまったじゃねぇかっ!」

そう言うクリフにロックはちょっと大人で厳しい目つきをして言ったのだ。

 「そう言ってはレディーに失礼ですよ!おばあさんという存在は、沢山の経験を経てきた尊い存在なんですから、もっと丁重に優しくしなければなりませんっ!」

ロックは今日だけは、クリフよりも大人のセリフっぽい言葉を言っていた。だが、あくまで今日限定でしかなかった。


 そういう流れに決まった後、クリフはバアさんに、強引に納屋の方に引っ張られていった。クリフは途中でバアさんの罠から逃れようと必死にもがいたのであるが、このバアさんの力は半端なく強かった。男のクリフよりも強力で強く、クリフは易々と納屋に引きずられていったのだ。

 そんな光景を目にしながら、ロックはいつの間にか周りに集まってきた女性たちと話をしていた。

 「あの年齢を沢山積み重ねた経験豊富なおばあさんも、あんなに頬を赤らめ、嬉しそうで、やっぱり女の人って、いくつになっても女なんですね。」

 「そうよ。そんな事も分からないの!?あんた、そんなんじゃあ、クリフさんのように一生恋人できないわよ!」

例によって、イズラがいつものキツイ口調でそう言ってきたのだが、今のロックはほのぼのとした?光景を目にして、思いっきり心がポジティブシンキングになり、

 「そうですね。」

笑顔でそう言ったのだ。ほのぼのとした?光景というものは、人の心の波動さえあげてしまうらしい。

 「あんた、少しは強くなったわね。」

そういうロックを目にし、僅かながら笑みを浮かべつつ、イズラは言った。

 「イズラさん、俺は今回の件で学びました。苦しんでいるテルサンのために、自分の身を投げ出してその魂を救おうとする、シスターおばあさんのその大きな心に触れたら、俺なんてまだまだちっぽけだなって、そう思えてきたんです。

 そうしたら、途端に目の前が明るい気持ちになってきて、こんな不器用な俺でも、どうにかなるって、前向きに思えてきて、そしたら心が少し強くなったような気がします。」

 「そうね。あんたは、今回女心の強さ、たくましさを学んだのね。きっとあんたもそのうち、良い事あるわよ!頑張っている人には、神様が必ず見方してくれるんだからっ!」

そうイズラが微笑みながら言うと、

 「あれ?」

そこでロックがすっとんきょうな声をあげたのだ。

 「イズラさんって、神様とか信じない唯物論主義者じゃあなかったんですか?」

 「私もあんたと同じく、今回、学ばせられたのよ。」

そういう前置きの言葉を紡ぎだすと、イズラは静かに自分自身に言い聞かせるように言った。

 「私現実主義で、正直霊能者ってものの力を疑っていたけれども、今回は霊能者のクリフさんに助けられたわ。・・・私ずっと、この今見えている世界が全てだって思ってたけれども、実はそうじゃなく、見えない世界も多いのね。」

 「そうですね。いつも師匠は言っています。『今見えている世界は、ほんの一部にすぎない』ってね。そんな見えないものに以前の俺は翻弄され、この年齢になるまで流れ流れてここまで来たって感じです。

 ですが、この年齢になってやっと悟った事だってありますね。」

 「そうよね。まだまだ、私たちには分からない事って、沢山あるみたいね。」

イズラは少しだけ好奇心を露わにした子供の様な瞳でそう言ったのだった。


 テルサンの霊は、クリフと性行為を終えると、今度は本当に光り輝く聖人となり、天高く光と共に天へと向けて昇っていったのであった。

 昇っていく時に、

 「これからは聖なる光の世界から、このエフェレリアを守ろうぞ!!」

そう声高らかに言い、テルサンの魂は死んだときのバアさんの姿のまま、昇天していった。疲れ果て、絶望と不快感にかられているクリフをその場に残して。


 

 クリフにとってはバッドエンドでしたが、物語的にはハッピーエンド?になりました!

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