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⑥ヤローにナンパされるクリフとロック

 今日も雨降りで天気が悪く、一日ずっと私はだるいままでした。

 かなりだるいので、用事をこなす事が大変だったりしました。天気の影響を受けない体になりたいです。

 今回はいよいよクリフとロックが男が華咲く街中に出てゆきます。どうなってしまうのでしょうね。

 それはいつものように、男どもが活気づいている「春」の時間帯、深夜2時頃の事である。クリフとロックは悪霊退治のために、聖遺物や聖水等を手にしながら異様な雰囲気をかもしだす街に出ていった。


 それは、男どもがイチャイチャする異様な光景の街の路地を歩いていた、まさにその時だった。

 「よぉ!お兄さんたち、二人?よかったら、オレと宿にでも行かないかい?」

だいたい20代後半程のマッチョで大柄な男が、クリフたちに声をかけてきたのだ。クリフは特に男運が良いのですぐに声をかけてくるだろう輩がいる事は至極当然だが、それにしても声をかけてくるタイミングは、とても速かった。街の光の中に出て間もなく、低い男性の声に誘われたのだ。

 「あいにくだが、オレたちは、そんなシュールな趣味は持っちゃいねぇぜっ!」

クリフがそう言うと、

 「そう言うなや、兄ちゃん。ヤロー同士っつーのは、本当に気持ちが良いぜぇ!」

マッチョ男は、そう言うやいなや、クリフの肩に手をまわし、事もあろうに、すぐさまクリフに口づけをしようとしてきたのだ。

 クリフはあまりの嫌悪感に戦闘用ロボのような勢いで、そこをしりぞくと、男に言った。

 「このアホ!だから、オレには、てめーらのような汚ぇ趣味は無いっつーたろーがっ!!」

するとこのマッチョ男の太い声がさらに太くなり、

 「なんなら、力ずくでモノにするまでだっ!!」

そう言うが早く、マッチョ男は、クリフとロックに覆いかぶさってきたのだ。この男は、クリフとロック二人同時に、力ずくで犯そうとしたのだった。

 すると、

 「そこの男!ちょっと待てっ!力ずくで犯そうとは、何たる不徳の塊か!?」

そうして今度は金髪でハンサムな大柄の男が現れたのだ。

 その男は、そう言うとすぐに、クリフたちをマッチョ男から取りあげ、

 「かわいそうに♡こんなにされるなんて、きちんとした愛を知らないんだね♡私が君たちをこよなく愛してあげるからね♡」

このハンサムで大柄の金髪男の語尾にも♡がついており、クリフたちに手を出す気満々である。

 「こ・・・このエフェレリアのヤローどもは、どうかしてるぜっ!本来、男なら、可愛い女の子を求めるのが、この世の摂理なのに、この場所のヤローの心はまるで腐ったドラゴンの卵みてぇだぜっ!!」

そう言うクリフを二人の男は、事もあろうに、奇異の目で見ていたのだ。

 「女なんて、あんな面倒なもの、放っておいて、オレたちで愛し合おうじゃあないかっ!!」

そうしてハンサム男とマッチョ男、二人がクリフとロックに迫ってきたのだ。

と、その瞬間、

 「これでもくらえっ!!」

 ”ドスッ!”

クリフは悪霊が苦手としている聖遺物を二人の男に投げつけ、

 「光よりも明るき金色こんじきの宇宙の根源よ、我汝の降臨を臨む。降臨せよ、金色の宇宙神よ!」

クリフはそう唱えた。すると、その聖遺物が、黄金色に染まり、男ども二人を取り巻いたのだ。そこで本来ならば、悪霊が姿を現すはずである。

 だが、二人の大柄の男は弱るどころか、何もなかったかのような表情できょとんとしていたのだが、やがて力ずく攻撃に出始めてきたのだった。

 「何すんだよ!てめぇら、力ずくで、オレたちのモノにすっぞ!」

ぬぅぅ~っと、二人の男がクリフの方に覆いかぶさってきた。

と、その瞬間、クリフは二人の巨漢の股間を一挙に両足でけったのだ。

 「うぁぁぁぁ~~~~~~~!」

二人の男は男ならではの汚らしい悲鳴をあげ、その場にうずくまり、そのすきに、クリフとロックはその場を走って逃げだしたのであった。


 それから街中を見ると、男同士イチャイチャしながら歩く異様な光景が目に入ってきた。

 月の光と町の光に照らし出されたイチャつく男どもの気持ち悪さといったら、もう筆舌に尽くしがたいものだった。

 「師匠、深夜に活気づくんで、悪霊が憑依しているはずなのに、なぜか聖遺物が男どもに通用しなかったですね?一体どうなってるんですか、ね。」

そう言うロックの隣でクリフはただただ、難しい表情をしながら考え込んでいた。

 月明かりと街の明かりに照らし出されたクリフの表情はかなり厳しく、今回の霊能の依頼が一筋縄ではいかない事を物語っていた。

 そのような師匠クリフの様子を目にし、ひ弱で幼いメンタルを持つロックの表情は、次第に不安げに変わっていった。

 「・・・・・・聖遺物が通用しないなんて、もしかしたら、今回の依頼、ダメかもしれないですね・・・。師匠の法力と聖遺物が通用しない悪霊のからんだものなんて、俺、初めてっすよ・・・。」

そう、不安げな顔と声で言うロックにクリフは言ったのだ。

 「ロック!オレ様を誰だと思ってるんだ!?オレ様は、世界一有能な霊能者クリフ様だぞっ!このオレ様に不可能はないっ!!」

クリフは難しい顔の片りんを残しつつも、ロックの方を振り向き、ニカッと笑ってみせた。

 どうにもならない環境の中、とにかく今は師匠であるクリフを信頼するしかない!師匠ならば、きっと何とかするはずだっ!そう、ロックは自分の心に強く言い聞かせたのであった。


 表通りに出ていると、男運の非常に良いクリフたちは、男どもにナンパされ続け、その果てに断るか、それが通じなかったら股間をけり、逃げるかを繰り返していた。

 それは、二人の正常な男であるクリフとロックにとっては、毛虫を衣服の中に入れられたかのように不快なものだった。

 不快な場面続きが嫌になり、クリフはロックを連れ、建物の薄暗い通路に身をひそめ、考えにふけっていた。

 「今回の件、やっぱりそういう事なのか・・・・・・。オレとしちゃあ、んな事、信じたかねぇけども、仕方ねぇか・・・・・・!」

薄暗い建物の物陰でクリフは何やら一人、ボソボソとつぶやいていた。

 それから程なくして、

 「行くぞ、ロック!」

クリフはロックと共に、この物陰から外に出ようとしたのだ。

 そんなクリフをロックの底知れない恐怖心が引き止めた。

 「待って下さいよ、師匠!今行ったら、またヤローどもに襲われますよっ!俺も男です!ヤローなんぞとエッチなんてしたいと思いませんっ!」

そう言いつつ止めるロックの手を、クリフはゆっくりと振りほどき、ニッコリと笑みを浮かべつつ、

 「オレ様は、この世界一の大霊能者様だ!オレを信じて、ついて来い!」

そう言ったのだ。クリフがそうは言ってもやはり不安を隠しきれないロックであったが、ここは師匠であるクリフを信頼するしかないと彼に従った。そして二人は思い切って外に出ていったのだった。

 やはり、男運の強いクリフとロックは、男にナンパされてしまいました。しかし、物陰から出てまた、街中へ行こうとするクリフ。今度もまた、ナンパされ続けてしまうのでしょうか?

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