12/3
翌朝学校に着くと、下駄箱に手紙が入っていた。
『純子ちゃんへ
俺3組だった>< それで3組の委員長が校内を案内してくれるらしいから休み時間は会えないかも…。だから、放課後下駄箱で会いませんか?
ps.返事ちょうだいね♪ ゆーすけより』
3組の委員長って確か……。
「赤井君…か」
赤井和也。幼馴染…というか、親同士がもともと知り合いで昔から知ってる人。(個人的に)苦手だけど、こういうのは適任なのかな。
4時に下駄箱でね、ということを持っていたメモ帳に書き、3組の藍川君に渡してもらうことにした。教室の入り口のところに立ってると、ちょうど目があってこっちに来てくれた。
「あ、緑辺さん。もしかして転校生の噂聞いたの?」
「あ、うーんと……そんな感じ?それで、これを転校生に渡しといてくれないかな?」
え、もう知り合いなの?と、目を丸くされた。それからにかっと笑って「りょーかい」と言ってくれた。
藍川君は冬美の彼氏。去年同じクラスだったけど、表情がコロコロ変わる明るいひとって印象だ。
「ありがとう藍川君」
そう言って私は自分のクラスに戻ろうとした。したんだけど……。
「おい緑辺」
出た!
「……なんなの」
鬱陶しい、それを顔に出して私は後ろから来た赤井君の方を向いた。
「今回のテスト3位だったってな」
「……だったら何?」
約90人中の3位。他校はどんな感じなのかわからないけど、マシな方だとは思ってる。
「いーや、一つ落ちてかわいそうだなーと」
「赤井君には関係ないでしょ、いつも1位の人」
「青木に負けて悔しくねーの?」
「はあ?」
1組の青木玲伽さん。クラスは一度も一緒になったことはないけれど、物静かで大人びた印象の子だ。そうか、青木さんが今回のテスト2位なのか。
にしてもなんで赤井君がこんなこと言ってくるのかな。
「もう意味不。…そんなことより、こんな話する暇あったらゆ……転校生のとこ行きなよ。ーーじゃあ」
赤井君は苦手だ。順位のことでいちいち嫌味としか聞こえないことを言ってくる。さっさとクラスに帰ろう。そう思いその場を離れた。
「待てよ緑辺」
振り返らなかったけど、いつもの事だと彼も承知済みだったから一言私に声をかけて教室に入ったようだ。
「お母さんによろしくな」
母さんが成績にうるさいことを赤井君は知っているのだ。