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黒猫少年との特別授業  作者: 迎 カズ紀
和也のたどった3ヶ月
24/25

2/27 赤井side

風邪は治った。言わなければ。朝からそれしか考えていない。

「おい緑辺」

「……何」

冷ややかな声。一瞬ひるんでしまったが、ここで言わなければ……ダメなんだ。男がすたる!

「……その、お前さ、大丈夫……か?」

そう言うと、顔をしかめられた。

「赤井君、あなたは私を嘲笑いに来たの?」

彼女は嘲笑気味に「大丈夫か?」の質問に答えた。顔がカーッと赤くなったのを感じた。違う……違うんだよ。

「んなわけないだろ……。俺は」

「じゃあ何よ」

強く睨まれ、つい口ごもってしまった。本気でこいつは……気づいてくれないのか。

「……てんだよ、心配してんだよ!お前のことを!!悪いか!!」


廊下の端から端まで聞こえただろう、生まれて初めてこんなに大きな声を出した。

「赤井……君」

緑辺は振り返った。見開いた目。半開きになった口。まるで創作物の表現のように。

ここ数年で、初めてお互いの目をじっと見据えた気がした。そして、初めて緑辺の心から動揺した顔を見た。

俺が……お前を心配するのはそんなにも意外なのか。俺がお前を心配するのはおかしいのか。嫌われている自覚はあった。嫌われるのは当然だと思っていた。

ただ……。

「お前の中に俺はいないのか」

そう言おうとしたが……唇を噛むことしかできなかった。それこそ……言ってどうするんだよ。


気がついたら走っていた。走って、走って、ようやく足が痛くなって立ち止まった時は……。

「……やっちまった」

校外だ。ここ外だよ。授業まだあるのに……サボってしまった。

「和也君?」

黒崎の声がした。気づいたらこっちに向かって歩いてきていた。

「あれ?今日学校あるよね」

「それはこっちのセリフだ。何で欠席してるお前が外に出てる。仮病だったのか?」

「あはは……見逃して。でも、サボった君もどうかと思うよ」

それは……。

「……純子ちゃんに何か言ったの?」

「……はい」

黒崎に全部話した。全て見透かされている気がする。あの時のあれは忠告だったのかな。

「君は何も考えずに行動するよね」

唐突に言われ、急に右腕を持たれ袖をまくられた。

「よかった。もう治ってる」

驚いている暇もなくすぐ手を離された。

「黒崎……?なんか今日のお前……」

「君の思いは無駄にしないよ。無鉄砲で勇敢で時々アホでとても優しい君を。君はそのまま、まっすぐでいて」

芯の通った強くも優しい声音。

「明日……明日でいいから、もう一度勇気を出して」

そう言って、黒崎は走り去っていった。


「……明日」

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