12/24 赤井side
終業式は藍川と帰っていた。転校生の黒崎はいつの間にか帰ってたこと、よくわからない問題があるから教えてくれと頼まれたこと、そういうのが重なって久しぶりに2人で帰っていた。
「それで、磁場がこっちだろう?だから俺は手をねじって合わせるんだ」
「なるほどなるほど、力の向きは下向きなんだね」
ありがとな、と笑ってお礼を言われた。藍川といると楽な気分になれる。黒崎も一緒にいて楽しいけど……なんか変な気がするんだよな。説明できないような。
問題集をじっと見ていたせいか、後ろから誰か来ていることに気付けなかった。藍川が振り返って初めて気づいた。
「あれ、緑辺さん?どうしたの?」
「あの、これ、藍川君のでしょ?道に落ちてた」
緑辺だ。
藍川君カバンの中を探って、「あちゃー、そうだわ。筆箱出した時に取れたんだと思う」
と苦笑しながら言った。
「ありがとね緑辺さん」
「ううん、いいの。それじゃっ」
「あ、おい緑辺」
つい呼び止めてしまった。特に言わなければいけないことはないのに。でも、こいつも振り返らないだろ……。
「何?」
彼女は振り返った。えっ、と驚いたのを顔に出してしまった。いつもは振り返らないのに、無視するのに、何でだ。やばい、特に用事ないのに。
「あ、いや、その……」
言い淀んだら顔をしかめられた。
「……言っとくけど、成績表の話ならしないからね」
違うのに決めつけられたようで、思わずカッとなった。
「ち、違うわ!……あーもう何でもねーよ」
「な、何よ。呼び止めておいて。赤井君のバーカ」
「はあ?お前の方がバカだろバーカ」
おい近所迷惑だろ、と藍川に言われてハッとした。
「……じゃあ。藍川君、また明日」
そう言うと緑辺は全速力で駆けて行った。
「……赤井って本当アホだな。頭いいくせに」
藍川が呆れたように言う。
「もっとさー、ないの?言葉」
「んなこと言われても……」
どうしろって言うんだよ。ムッとしてると、からかうように言われた。
「そんなんだと緑辺さん、優介にとられるぞ」
「とられるってなんだよ」
真顔で返すと、「あ、こいつらめんどくせー」と言われた。




