12/3 赤井side
赤井視点です
「こんな時期に転校生ですか?」
思わず聞き返した。昨日の夜に担任から電話で「明日は少し早く来てほしい」と言われ来てみたらまさかまさかの。
「あぁ。赤井は委員長だし、学校の案内とか任せていいか?」
「ええ。もちろんですよ先生」
作り笑顔でこたえたが、別に嫌なわけではない。めんどくさいなとは思うけどこういった役割は何度もしてきた。慣れたわけではないが、苦手ではないし嫌いなわけではない。我ながら矛盾してるようにも思えるが本当にそう思ってる。
転校生が来るのは朝学活の時だ。それまではすることもないそうだし(というか、転校生が下駄箱に行くと言ったきり行方不明らしいから探しに行ってるそうだ)、教室に戻ることにした。
職員室から戻ると教室の前に緑辺がいた。
「ありがとう藍川君」
何か藍川と話していたようだ。少し声をかけるか。
「おい緑辺」
「……なんなの」
鬱陶しい、彼女はそれを隠さず顔に出していた。いつものことだと分かっているが少し傷つく。
「今回のテスト3位だったってな」
「……だったら何?」
「いーや、一つ落ちてかわいそうだなーと」
「赤井君あなたには関係ないでしょ、いつも1位の人」
「青木に負けて悔しくねーの?」
「はあ?」
なんで青木さんを出すの、とでも言いたげな目でこちらを見た。昔から緑辺は人と比べることを好んでいなかった。それは知ってる。でも煽らなければ本気を出してくれないだろう。そう思っていったまでだ。
しかしそんな思いは届いていないようで、うんざりしたように横に顔を背けられた。
「もう意味不。…そんなことより、こんな話する暇あったらゆ……転校生のとこ行きなよ。ーーじゃあ」
「待てよ緑辺」
つい呼び止めてしまった。振り返らないことは知っている。ただ、もう一言煽らなければ。挑発しなければ。
「お母さんによろしくな」
わざと嫌味たらしく言った。緑辺は一瞬固まったように見えたが、そのまま自分の教室へ向かってしまった。
多分こういう話をするから嫌われてるんだろうが、それ以外に何を話せばいいのかわからない。苦手なんだが、なぜかこいつだけはほっとけない存在なんだ。
「えっと、今日からこのクラスの一員になります黒崎優介です。あと数ヶ月しかないけど、よろしくね!」
パチパチと拍手の音があちこちからした。この学校にはマンガみたいに女子の転校生を望む野郎はいない。男女の仲はすごくいい方だが、男の方が付き合いやすいからだからだと思う。田舎だから他所からくる奴はほとんもいないし、同性の方が一緒に遊んだり釣りに行ったりスポーツの話ができるからだろう。この黒崎君は明るく活発な印象だ。すぐにクラスに馴染むだろう。
「よろしくな黒崎君。俺は赤井和也。委員長だから頼ってくれ」
席が斜め前だったので声をかけた。
黒崎君はくるっと後ろを向いて、不思議な笑顔で
「よろしくね」
と言った。




