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黒猫少年との特別授業  作者: 迎 カズ紀
純子のたどった3ヶ月
18/25

2/27②

下校のチャイムが鳴る。今日は塾がないけど、自習室はいつでも使っていいから行こうかな……。

校門を出てしばらく歩いていると私服姿のゆーすけ君がいた。確か……今日欠席してたはず。なんでここに?

「あ、純子ちゃん」

ゆーすけ君が私に気づいて声をかけてくれた。

「ゆーすけ君……もしかして仮病?」

おそるおそる訊くと、違うよと彼は言った。

「けびょーじゃない。前から危なかったからさ、学校休んででも見届けたかったんだ」

「見届けるって何を……」

そう言いかけてハッとした。もしかして……

「もう……会えないの?」

「うん」

悲しげだけれどもあっさりとうなづいた。

「覚悟はしてたから。あいつ生まれつき病気だったんだ」

「そっか……」

あの時、ちゃんとクロすけを見ていたらよかった。弱弱しく鳴いていたあの子にはもう会うことは出来ない。

「なんで私は猫アレルギーなんだろう。一度でいいから触れたかったな」

空に向かってどうにもならないことをつぶやく。


「アニマルセラピーって知ってる?」

唐突にゆーすけ君が言った。

「前にも言ったでしょ。辛い時とか寂しい時はね、猫とかをぎゅーっと抱きしめるといいんだよ、って」

「……うん。言ってたね」

「純子ちゃんが、今一番辛い思いしてるよね」

思いもよらないことを言われて「えっ」と間抜けな声を出してしまった。何言ってるの。

「辛いのは、ゆーすけ君の方でしょ」

「純子ちゃんだよ」

「嘘つかないで。愛猫クロすけがいなくなって、今一番辛いのはゆーすけ君じゃない」

「嘘ついてるのは君だよ」

お互い頑固なのが分かった。でも、私が辛い思いをしてるって……。

「最近ずっと泣いてないでしょ」

彼は穏やかだけど、強く言った。図星だ。

「純子ちゃんは無理をしすぎだ。人を頼らなさすぎだ。もっと手を差し伸べてくれる人がいるってことを自覚すべきだよ。泣いていいんだよ」

考えたことなかった。私は泣きたかったのか。我慢してたのか。

「……いいの?」

私は泣いてもいいの?


「今の俺はネコじゃなくてヒトだけど……それでもいいのなら」

ゆーすけ君が両手を広げてくれた。



久しぶりに大声をあげて泣いた。

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