2/27②
下校のチャイムが鳴る。今日は塾がないけど、自習室はいつでも使っていいから行こうかな……。
校門を出てしばらく歩いていると私服姿のゆーすけ君がいた。確か……今日欠席してたはず。なんでここに?
「あ、純子ちゃん」
ゆーすけ君が私に気づいて声をかけてくれた。
「ゆーすけ君……もしかして仮病?」
おそるおそる訊くと、違うよと彼は言った。
「けびょーじゃない。前から危なかったからさ、学校休んででも見届けたかったんだ」
「見届けるって何を……」
そう言いかけてハッとした。もしかして……
「もう……会えないの?」
「うん」
悲しげだけれどもあっさりとうなづいた。
「覚悟はしてたから。あいつ生まれつき病気だったんだ」
「そっか……」
あの時、ちゃんとクロすけを見ていたらよかった。弱弱しく鳴いていたあの子にはもう会うことは出来ない。
「なんで私は猫アレルギーなんだろう。一度でいいから触れたかったな」
空に向かってどうにもならないことをつぶやく。
「アニマルセラピーって知ってる?」
唐突にゆーすけ君が言った。
「前にも言ったでしょ。辛い時とか寂しい時はね、猫とかをぎゅーっと抱きしめるといいんだよ、って」
「……うん。言ってたね」
「純子ちゃんが、今一番辛い思いしてるよね」
思いもよらないことを言われて「えっ」と間抜けな声を出してしまった。何言ってるの。
「辛いのは、ゆーすけ君の方でしょ」
「純子ちゃんだよ」
「嘘つかないで。愛猫がいなくなって、今一番辛いのはゆーすけ君じゃない」
「嘘ついてるのは君だよ」
お互い頑固なのが分かった。でも、私が辛い思いをしてるって……。
「最近ずっと泣いてないでしょ」
彼は穏やかだけど、強く言った。図星だ。
「純子ちゃんは無理をしすぎだ。人を頼らなさすぎだ。もっと手を差し伸べてくれる人がいるってことを自覚すべきだよ。泣いていいんだよ」
考えたことなかった。私は泣きたかったのか。我慢してたのか。
「……いいの?」
私は泣いてもいいの?
「今の俺はネコじゃなくてヒトだけど……それでもいいのなら」
ゆーすけ君が両手を広げてくれた。
久しぶりに大声をあげて泣いた。




