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黒猫少年との特別授業  作者: 迎 カズ紀
純子のたどった3ヶ月
13/25

2/10

世間はバレンタインバレンタインとやかましい、と誰かが言っていた。私学の入試は明日、私が受ける推薦入試はバレンタイン当日なのだ。正直それどころではない!


3時間目が終わり、理科室へ行こうと席を立った。ちなみに冬美は日直なので職員室へ向かってしまった。

「緑辺」

急に赤井君の声がした。後ろを振り返ると立っていた。

「今日の放課後の面接練習なくなったって先生から伝言。青木にも伝えといたから」

「……どうも」

「……」

「……」

不意に訪れた沈黙。居心地はそんなによくない。

「……なんか喋れよ」

ボソッと彼は言った。

「……逆に喋ることあるの?」

そう言い返したら、それもそうか、と言われた。

「……じゃあ、次移動だから行くね」

そう言った自分の声は以前より柔らかな気がした。無意識なんだけど。

「待てよ」

呼び止められて振り返りそうになった。でも、振り返るのは何か違う気もした。私が振り返らないとわかっている彼はいつものように言った。それも、少し柔らかだった。

「受験……頑張ろうな」

このお互いを多少思いやれているような変化はいいことなんだろうけど、私の中では歪な気がしてならない。なんでかな。



放課後、久しぶりに1人で帰っていた。冬美達3年生の7割は明日の私学の併願受験の説明を受けている。

いつもの道を通っていたら、黒猫があの時のようにいた。

「クロすけ?」

にゃーとしか鳴かない。それもそうか。あーあ、触れたらいいのになぁ。

「……塾に行かなきゃ。またねクロすけ」

遊んでいると母にバレたらまずい。私以上にピリピリしてるのではと春子は言う。

「……私は何で推薦入試を選んだんだろう。何で理系の進路を選んだんだろう」

今更何を言っているのだろう。もう遅いのに。遅いのに……。

後ろからクロすけが弱弱しく鳴くのが聞こえた。

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