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*プロローグ* ハンカチ
*プロローグ* ハンカチ
「…ょう!翔!!」
「あ…??」
「やっと起きた!!…はぁ~、もう心配したんだよ…!!?」
「よくわからないけどゴメン。」
そう言って俺は起き上がろうとした。
「いっ…てぇ…」
体が軋んで動かせない。
「こらこら!無理しないのっ!」
そう言って璃夏は俺の体を無理やり倒した。
「いってぇよ!馬鹿!」
「あっ、ごめんごめ~ん!」
璃夏は白い歯を見せて悪戯に笑った。
「ったく…つーか、俺、なんで保健室にいるんだ?…なにこれ。」
額にピンク色のガーゼハンカチがのっかっていることに今更気づいた。
「あぁ…それ、翔が倒れてる時にずっと乗っかってたよ!きっと誰か翔のおでこから血が出てるの気づいて、ハンカチ貸してくれたのかもね。でも…倒れてる人は保健室に連れて行くのが普通じゃない??」
「まぁ確かに…で、俺なんで倒れたの?」
「知らなーい。」
そう言って璃夏は髪の毛をいじりはじめた。
俺はピンク色のガーゼハンカチを手に取り、血だらけになってしまったから洗濯をしなければな、と思った。
そのハンカチからはほのかにせっけんの香りがした。