僕と初めての人間関係(1)
僕は本が好きだ。本は独特の世界を生み出し、僕に見せてくれる。
だからたぶん生まれた時から僕は本を読んでいる。そのせいで僕の小学校のあだ名は「本」だった。
中学に上がると「ブックマン」だった。これははずかしったのを覚えてる。本ばかり読んでいたので友達はいなかった。そんな僕の物語
僕の登校は毎朝6時半。早い時間に学校に行き、誰もいない教室で本を読む。
そこから付いた高校での僕のあだ名は「図書館」になった。
変な眼で見られるのはもう慣れた。だから堂々として本を読めるこの環境に満足している。
ただ満足した環境ほど長く続かない。あの時だってそうだった。
元々親は仲が良くなかった。「どうせ親が決めた結婚だ。」とか、いつも二人して愚痴っていた。なのに、僕には「大丈夫だから」というのだ。 そんなワケ、ないのに。
世界が崩れるのはいつも突然で、僕が自室に行くと下でケンカが始まる。それはいつもの事だった。
だから、気にしなかった。でもその日はそれですまなかった。翌朝、すでに父の姿はなかった。
「母より先に起きなければよかった」
その時人生で一番強く思った。
机の上に置かれた離婚届。
母が先に見つければ、何とかごまかせただろう。僕は馬鹿だから。
母はその日から僕を見れば「ごめんねぇごめんねぇ」と謝った。
母は悪くないのにっ!
その時僕は小学生だった。だけど、僕は離婚届がどういうものか知っていた。
本ではこんな事いくらでもあった。僕がただ無知な子どもなら良かったのか、今でもわからない。
けど、高校生になり母も落ち着いてきた今、これ以上望むものはなかった。
「これ以上壊れませんように」
ただそれだけが切なる願いだった。