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3.わたくしの知らない所で色々あるみたいですわ


少女は幼い頃から自分の役割を知っていた。

この世界は自分の為に作られた世界だという事に。

誕生日を迎え15歳になったその日に、主役である自分の物語が始まるのだと……。


ゲームではボタン一つで相手を落とす事は出来るが、現実は自分から体を張って動かないといけない。

だが、主人公だけあってこの顔と体は美しい。

年齢は13歳と若いが既に村の男達を虜にしている。

もしかしたらこの体には『魅了チャーム』が付属されているのだろう。

それでも念には念を入れて自分を磨き、一番美しい自分を彼らに見てもらう為なら努力を惜しまない。


「王女には悪いけど、私の幸せの為に死んでもらうわ」


薔薇の花びらが浮いたバスタブに浸りながら少女は13歳とは思えぬ妖艶な笑みをうかべていた。










****


「クシュンッ」


あら、やだわ……誰かわたくしの噂をしたかしら?

それも体に寒気が走ったわ。

風邪だったらどうしましょう……。

んんっ!!鼻水が垂れそうだわ。

淑女として鼻水を野放しにするには由々しき事態なので、コッソリとテッシュで鼻をかんでもいい?

わたくしは傍にいる剣を持ったレインにアイコンタクトを試した。


レイン!わたくしはやむ得ぬ事情の為にこの場から離れたいわ!!


バチバチとわたくしはレインに向けウインクをするのだけど、それに気づいたレインは微妙な顔をし大きく溜息をつき


「エタカリーナ様、いま緊迫した状態なんだけど分かってる?」


「そうね、お金持ちであるわたくしを狙った盗賊の方がいらっしゃったわね……でも、レインとダンの剣の腕ならこちらの方々を叩きのめすのは余裕でしょ?」


現在、わたくし達は教会からの帰りに盗賊に襲われ中です。

緊張感が無いって?

こんな事は日常茶飯事なので恐がるなんて今更ですわ!

王女として生を受け、外を若い騎士の二人とふらついていたら狙われるのはあ・た・り・ま・えですわ。

まぁ、周りには時々無謀だと怒られるけどね。




前にわたくしは彼らと信頼関係を築くと言ってましたわよね?

人にその関係を求める為には、先ずは自分から信頼をしないと関係は成り立ちませんわ。


「わたくしは貴方達に絶対的なる信頼を寄せているので、サッサと盗賊達を片付けておしまいなさい!!」


フッ決まったわ……。

気分は水戸〇門の〇門様ね。


「エタカリーナ様にそこまで言われたら俺も期待に答えないとな!」

「私も高給取りらしくキチンと仕事はこなしますのでご安心を」


レインはいいとして、ダン!!その返答はどうなのよ!






「で、エタカリーナ様はさっき何が言いたかったんだ?」


あの後、レインとダンは盗賊達を瞬殺していました。

知ってはいたけど、貴方がたチートすぎません?まだ15歳よね。

今からこんなに強すぎたらお姉さんは君たちの将来が不安ですわ……。

と、冗談はさておきレインの質問は多分わたくしがさっき訴えていたお鼻事情の事ですわよね。

説明を求められても、言葉に出して言うには恥ずかしいのでこの場は誤魔化しましょう!



「レインのイケメン顔を急に堪能したくなったのですわ!ですのでこちらを見て!と意思表示をしたのですわ」




あれ……焦って変な事を口走ったかしら。

レインが口を開け固まっているけど、その顔はイケメンとはいえ頂けないわ。



「わたくしの事はいいとして、早くお城に戻りましょう!」


わたくしは用意をしていた馬車に乗り込みながら突っ立ている状態の二人に声をかけた。





「……心臓に悪い」


ぼそりとレインが呟き、ダンがレインに対し羨ましそうな目で見ていた事など馬車に集中していたわたくしには二人の行動に気づかないままだった。







そして、わたくしの知らない所で



「可愛い可愛い私の無謀でお茶目なエタリ~もいいけど心配だ!という事でエタリ~専用の騎士を増やしたいんだが、鬼…………ゴホンッゴホッゴホッ宰相、騎士を探してくれ。」


こんなやり取りがされていたとか……。



お父様、わたくしのいない所では声に出してデレているのですか?

そしてうっかり『鬼宰相』と口が滑ったお父様は宰相のゲルダ様に延々と一日中説教されたみたいです。



口は災いの元ってね!







この親にしてこの子あり



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