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クロスワールド

クロスワールド

作者: ラーレ


『クロスワールド』


魔王の復活により荒れる世界。

人々を救うため魔術師たちによって魔王を封印することのできる神に愛されし穢れなき乙女__神子が召喚された。

神子の名は神威美羽(かむい みう)

神子は王子や魔術師、エルフ、獣人たち仲間と共に世界を救う旅に出る。


仲間とともに世界を救え!




......まぁぶっちゃけ愛されヒロインによる世界を救う恋愛シュミレーションゲームですね。


天真爛漫で純粋なヒロインが悩みを抱えるイケメンたちを癒し逆ハーレム形成っていうりきたりなパターン。


豪華声優陣によるフルボイス!美しいスチルにより多くのオタクたちを虜にしたゲーム。

何種類ものエンディングと吐息までしっかり入ってるんだから製作者の熱意と声優陣の素晴らしさがよくわかります。

攻撃をうけたときのうめき声とかやばかった・・・!!←



また、魔王を倒すために神力、賢さ、すばやさなどを高めるといったRPG要素も取り入れられなかなかやりごたえのあるゲームだ。



第2弾では恋人から始まり、王宮でのトラブルを解決していく恋愛メインのストーリーとなっている。



なぜあたしがこのゲームについて語ってるかというと、これまたこの手のタイプによくある乙女ゲームの世界に転生しちゃった☆ってやつなのですよ。




...ただ他とは違うのはあたしのポジションがヒロインの娘ってこと!!




長く苦しい旅の末にヒロインが選んだのは魔力の高さゆえに孤独を抱える魔術師でした。

ライバルたちは涙をのんで2人の結婚を祝福し、そして生まれたのがあたしライラ・ノーチェス。



チート魔術師と神子の子供であるあたしは当然チート要素満載なんだけどそれはまたいつか。


お母様はまさしくヒロインで結婚した後でもまだしぶといライバルたちに狙われている。

みな独身のままで毎日のように我が家を訪れるくらいだ。

流石に王様(元王子様)は立場上しかたなく王妃を迎え子供を授かったが、その王妃とはかつてヒロインのライバルとして登場し、のちに親友になるキャラである。

ゆえに王様の気持ちを理解しており、王妃公認で王様もよくアピールにくる。


第2弾も攻略済みのようで、王宮内外でもお母様の支持率は高い。

さすがヒロインですね。



あたしがゲームについてを思い出したのは6歳のとき。

いつものようにお母様のとりまきどもがハーレムをつくり、お父様がキレている光景を見ていきなりフラッシュバックした。

一度に前世の記憶を取り戻したため知恵熱を出して3日ほど寝込んだ。


目覚めたときに皆様からお母様に心配をかけるんじゃないと怒られました。


・・・理不尽じゃない?



記憶を取り戻して改めてあたしの現状を見つめなおしてみた。

両親からはちゃんと愛されている...と思う。

でもお父様はやっぱりお母様優先。

お母様もなんだかんだでお父様優先だしハーレムのやつらも相手にしてるから乳母にまかせっきりなとこがある。

まわりもお母様そっくりな娘だから相手をしてくれているといった感じだ。


あれ、愛されてる?



そして普通はヒロインの攻略してる様を傍観したり、ヒロインポジション乗っ取ったりするんじゃないの!?とかあまりにも相手にされなさすぎて落ち込んだものだ。

そもそもストーリーはもう終わってるからねっ!




__いろいろ諦めてはや8年。


「あの、お父様......。」


「私は今忙しい。後にしなさい。 」



こちらを見ることなくお母様を見つめたまま言われた。

相変わらずお母様に夢中のようだ。


お母様?お昼寝タイムですよ。

起こしたりなんかしたらお父様を筆頭に皆様から説教です(((ガクガク


そろそろ軟化したかなーと思ったけどヒロイン補正はいまだ健在のようだ。



あんたら仕事はどうした!?って思うかもしれないがその辺はちゃんとやってるようだ。

昔、仕事をせずにお母様にべったりだった時期もあったらしいが「仕事をやらない人は嫌い!」なんて言われたため早々に終わらせているらしい。

ゆえに堕落した取り巻きどもを正気に戻す必要もなく(むしろこちらのほうが効率がよい)

堕落した王宮のために前世の知識を駆使して活躍なんてこともない。


魔王はお母様がしっかり封じちゃって復活する様子もなく、魔物たちも大人しくしてるためあたしのチートな能力の出番はない。


じゃあ友情物をと期待して学園に通ったり茶会を開いたりして友達作りに励んでみたが話題はお母様のことばかり。

最終的には「美羽様がお母様なんてずるいですわ!!」と嫉妬される始末。

よくある同じ境遇の人ってのも見つからなかったので誰にもこのことを話せない。話せばきっと頭おかしい子って思われること間違いなし。


夜会に出るようになりせめて自分を愛してくれる人をと出会いを求めたりもしたが会う男性はみなすぐにお母様に惚れてしまう。

ひどいときはお母様会いたさによってくる人も...。





家族愛は無理、友情も無理、恋愛なんてもってのほか!!



・・・本当になんでこの世界に転生しちゃったわけ!?

あたしの物語は!?


流行りの転生物。でも主人公の娘だときっとつらいだろうなって思ったんだ。・・・本当は主人公のこと好きな人もいたんだよ。


【登場人物】


ライラ・ノーチェス

ヒロインそっくり。

ウェーブがかかったふわふわのピンクの髪。

ぱっちりとした水色の瞳。

小さくて守りたくなる容姿。

中身は残念なオタク。

両親から愛されることは諦めている。

乳母こそお母さんって思ってる。

実はモテているのだが気がついていない。


神威美羽

クロスワールドのヒロイン。

愛されヒロインとして今も活躍中。

娘のことはちゃんと愛しているのだけどかまってくれるほうに気が向いてしまう。

最近ようやく娘との関係について気がついたがどうしていいかわからない。


クロノス・ノーチェス

チート魔術師。

生まれたときから異常な魔力を持ち親からも恐れられた。ゆえにひねくれ冷酷、人嫌いなキャラに。

自分を理解してくれた美羽に惚れた。

主人公もヒロインとの娘のためもちろん愛しているが親にかまってもらった記憶がないためどう接していいかわからない。

うまく会話ができずによく落ち込んでいる。

実は主人公への婚約の申込みはすべて断っている。(主人公恋愛フラグが立たない原因の1つ。


ヒロインの取り巻き

俺様王子、腹黒神官、爽やか騎士、虐げられた獣人、オネェなエルフ

主人公のことは娘だから相手にしている。


王妃

王子が好き。ゆえにヒロインを排除しようとした。

優しい天然なヒロインの性格にほだされた。

ツンデレキャラ。

あわよくばヒロインを側室にと思ってる。

息子を主人公の妻にするのもいいかもしれないと最近は考えている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして、暁 黎です。 とても面白かったです。 設定が良いですね。 続きを読みたくなりました
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