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誰でもいいから助けてください。

作者: めいふぁん

またまた短編・・・

楽しんでいただけたら嬉しいです。

もしかしたら連載にするかもしれません。

「あぁ、今日もすてき!なんて美しいのかしら!もう、思わずハァハァしちゃうわ!」

「同感だよ!こっちを見てくれないかなぁ、あの瞳に自分が映ったなら・・・うっ、想像しただけで鼻血が!」



電信柱の影からこちらを見て、不穏なことを叫んでいる奴らがいる。

だれか、お願いです。

助けてください!!!!






私は安藤瑠璃、17歳。

見た目はいたって普通。

いや、本当に十人並なんです。


そんな私が人と違うところと言えば・・・




オーラがキンキラキンに輝いているところ、だそうです。



なぜ人ごとのように言うかって?

よく考えてみてよ、オーラって普通の人に見えるものなの?

あなたは何色のオーラをまとっているのね、だなんて言われたら、相手の頭を疑うでしょ?

もちろん私にオーラは見えないし、私の周りにいる人にも見えない。

こんなこと17年間生きてきた中で言われたこともなかったのに、ある日奴らが転校してきたときから私の日常は様変わりしてしまったのだ。








「今日この学校に転校生が来るらしいよーそれも2人。」


そんな情報をぽやーんとした雰囲気で教えてくれるのは、私の友達である伊藤鈴香だ。


彼女はその可憐な姿からまるで妖精のようだと言われている。

セミロングのチョコレートブラウンの髪は天使の輪がこれでもかと輝いており、毛先に枝毛など一本もない。

小さな顔にはバランスよくパーツが陳列されており、赤ちゃんのようなぷるぷるの唇にすべすべの肌、そして一際目をひくのは髪と同色のバサバサした長い上向き睫毛にふちどられた深い海の色の瞳である。

そう、彼女はハーフなのだ。

父がロシア人、母が日本人、両親ともに見目麗しい。

そんな両親のいいとこ取りをした彼女は間違いなく誰もが認める美少女で、校内に彼女のファンクラブが存在するほどだ。


そんな彼女の難点、それは、



かなりのミーハーである、ということだ。



勘違いすることなかれ、別に彼女はアイドルや見目麗しい男性にキャーキャー言うのではない。

ただ、新しい情報が好きで、流行のファッションが好きで、変化には飛びつかずにはいられないだけなのだ。

隣にいる私はその被害を直に受けるが、そんなこと彼女にしてみればどこ吹く風である。

もはや抵抗する気もおきないほどであるからして、どんな目にあってきたかは想像に難くないだろう。


さて、話はもどるが、そんな彼女の口から飛び出した言葉が意味すること、それは・・・



「だから、ちょっとその転校生がいる教室、見に行こうよ!」


やっぱり。

そして彼女は私の返事も聞かずに私の手を取り、ずるずるとひっぱりながら教室をあとにした。


このときに何故力いっぱい抵抗しなかったのか、と自分を呪うことになろうとは、私は考えもしなかった。




転校生が来たという教室の前は、既に人集りができていた。



「ちっ、でおくれたわ!でも大丈夫、私に任せて!」


美少女から飛び出した舌打ちに遠い目をしながら、彼女が人集りにむかってずんずんと歩いていくのを私はただ見ていた。



彼女は人集りの後列にいる男子生徒に狙いを定め、制服のポケットから出した目薬を1滴ずつ両目にさし、その瞳をうるうると潤ませると、その男子生徒の制服の裾をちょいちょい、と引っ張った。


「あの、私も中の様子が見たいんです。少しだけ、前にいれてもらっちゃダメですか?」


汚れとは無縁そうな美しい眼で上目遣いにお願いする。


学校きっての美少女にお願いされた哀れな男子生徒は、顔を真っ赤にして鼻を押さえ、声も出ないのかぶんぶんと激しく頭を上下させてそこを飛び退いた。

男子生徒の唐突な動きに何事かと思った周りの生徒たちも鈴香に気づくと、男子生徒と同じように顔を赤くし、ささっと道を開けた。


「ありがとうございます!」


花のような、とはこのことを言うのではなかろうかと思わせる可憐な笑みを感謝の言葉とともに振りまき私の方に振り返ると、可憐な笑みを引っ込め、かわりにまるで悪巧みをする悪徳代官のような笑みを浮かべると、さっと小さくVサインをしてみせた。


なんともいえない気分になるのは何故だろう。



モーセの十戒のように開いた道を彼女に手をひかれながら歩くのはかなり居心地が悪い。

彼女のような美少女の横に並ぶのが何故私のような平凡な女なのか、という視線がビシバシと突き刺さるのだ。


居心地の悪い空気に顔をうつむかせて前に進むと、ようやく教室の扉に行き着いた。


「わぁ、あれが噂の転校生ね!」


鈴香の言葉に顔をあげ教室の中を覗いた私は、目の前の光景に絶句した。


学校指定の学ランを着た二人の転校生は、私の横にいる美少女と遜色ないほどの美形だったのだ。


一人は腰までありそうな長いウエーブがかった黒髪をポニーテールにし、長い睫毛、神秘的な伏し目がちの瞳、口紅をしているわけでもないのに綺麗に色付いた赤い唇、鼻はすっと通っており、晒された首筋はなんとも言えぬ色気を漂わせる。さながら薔薇の精といったところか。


もう一人は肩までは届かないくらいのまっすぐの黒髪、横に長く形がよい二重まぶたの瞳と高くてすっきりとした鼻、すこし厚めの唇と目元にあるほくろがエロい美少年だ。

こちらは少し男っぽい雰囲気が出ていて、言うなればギリシア神話の登場人物のようだ。



そのとんでもない美形に度肝を抜かれていると、鈴香が疑問を口にした。


「うーん、一人は男の子だと思うんだけど、もう一人は・・・女の子?」



その疑問を頭が理解し始めると、目の前の光景の違和感にようやく気づく。

女の子にしか見えないのに学ラン!?

失礼なほど凝視をしてしまっていると、視線に気づいたのかポニーテールの方がこちらを見た。

かと思えば目を見開き、口を少し開くと何事かをつぶやいた。

そのつぶやきを聞いたもう一人もこちらを見て、同じように目を見開いた。


私は、彼らは鈴香を見て驚いているのだろうと思った。

なんと言ったって妖精のように可憐な彼女だ(中身には多少目をつぶろう)、見とれてしまっても仕方がない。



そう一人で納得していると、転校生二人がこちらにずんずんと歩いてきた。


「瑠璃ちゃん、こっち来てるよ!うわー、二人とも本当に綺麗だねー。」


「鈴香も負けず劣らずだと思うよ。」


鈴香の言葉にそう返し、美形二人がやってくるのを横目で見ていた。

鈴香に話しかけたいのだろう。

だが鈴香は実はかなり身持ちが堅いのだ、そう簡単に仲良くなれると思うなよ、と私はのんきにも少し優越感を感じながら考えていた。


「ねぇ、あなた、名前はなんていうの?」


「すごく綺麗だね、よかったら僕らと仲良くしてくれないかな?」


そらきた。

さて鈴香は同答えるのか、高みの見物といこうかと思っていると、鈴香がこそっと私に耳打ちした。


「瑠璃ちゃん、何か応えてあげないと、かわいそうだよ。」



・・・は?



「瑠璃っていうのね、素敵な名前。あなたにぴったりよ!」


「瑠璃か、本当に君にとっても似合っているよ。僕は御剣玄人みつるぎ はると、こっちは桜庭紫苑さくらば しおん。こんな姿だけどれっきとした男だよ、よろしくね。」


鈴香の言葉に目を点にしていると、目の前にきていた美形二人がそれぞれ片方ずつ私の手を握り、熱心に話しかけてきた。

薔薇の精は桜庭紫苑、ギリシア神話は御剣玄人、混乱している頭でなんとか名前を目の前の顔と一致させる。


私がアクションを起こさないことに何も思わないのか、二人は尚もまくしたてる。


「しっかし本当にきれいだわぁ、あなたのオーラ!!キランキランで眩しいほどよ!」


「瑠璃色がベースにあるんだけど、なんだか神々しいほどに輝いているよ。こんな綺麗なオーラ、見たことない!」




オーラ?



オーラって・・・






やばい、なんかやばい!!!



この二人、絶対に頭がおかしい!!!



関わり合いになってはいけない!!!



自分の理性が発す警笛に顔を若干青くしながら私は握られた手をふりほどき、横で私と同じく目の前の二人はおかしいと思ったのか鳥肌をたててあっけにとられている鈴香の腕を取ると、全速力で逃げ出した。



「あ、ちょっと待ってよ!なんで逃げるのよ!?」


「あぁ、どこにいくんだい!?僕らは怖いものなんかじゃないよ!?」


後ろでわめいている二人に振り向きも立ち止まりもせず(するわけがない!!)、私は自分の教室まで今までに出したこともないようなスピードで駆けた。

36計逃げるにしかず、その言葉を胸にしっかりと刻みつけながら。




そこから私の日常は大きく変化することとなった。

あの二人は周りもドン引きするくらいの執着を私に見せ、授業中を除いて学校にいる間、登下校、土日も関係なくストーカーのようにつきまとい始めた。

いや、ストーカーのようではなく、もうあれはれっきとしたストーカーだ。

鈴香はなんとか私をあのストーカーどもから逃そうと奮闘してくれているが、未だ効果はない。

私は逃げ惑う日々を送るしかなく、しかし逃げれば余計に奴らを煽るだけだと気づいてからは、ストーカー行為に目をつぶり、ただただ毎日を耐え忍ぶ





あぁ、もういやですこんな毎日。

もう神様でも仏様でもお犬様でも誰様でもいいから・・・




助けてください!!!!



○月×日、転校生がやってきて私の瑠璃ちゃんにつきまとい始めた。

オーラがどうのって言ってたから、奴らにも瑠璃ちゃんの輝きが見えているようだ。

なんとかして奴らを瑠璃ちゃんから引き離さないと。

瑠璃ちゃんは私の瑠璃ちゃんなんだから!


-とある美少女の日記より-

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