【01】驚愕の目覚め Side桜
誰か、これは夢だと言って。
なんで、あたしの隣でこの男が寝てるの…?
しかも、なんであたし達二人とも裸なの…?
一体なにやったの、あたし達…!!
冷静になれって言っても、なれるわけがない。パニックな頭で隣に寝ている男を見た。
悲しい事にやっぱりあたし達は裸で、おまけにこの男に腕枕までされているという嬉しくないオプション付きなわけで…。
細そうに見えるくせに、付いてるところはしっかり筋肉が付いてる、所謂細マッチョ。くそ…薄明かりに照らされた鎖骨がエロイ。
長い睫毛が伏せられている。どうやら熟睡しているらしい。寝てても綺麗な顔…。
部屋を見渡してみると、私の部屋じゃないのはわかった。インテリアなどから推測するに、多分ここはこいつのマンションなんだろう。
昨日の記憶がない。どうしてここに来たんだっけ…。確かクリスマスだって言うのに、二人で悲しく酒盛りしてた様な…。
そこから悲しいほど記憶が抜け落ちている。あたし…こいつといたしちゃったのか…?
血の気が引いて、その後すぐに頭に血が昇った。
急いで、しかしゆっくりと男の腕の中から抜け出して、ベッドの下に散乱している服を着込んだ。…うわ、こいつの服もあるよ…。
忍者さながらの慎重さで、ベッドルームを抜け出して、リビングに飛び込んだ。そこにあったのは、ぐっちゃぐちゃなお酒の瓶やら、空き缶。嫌な予感がひしひしとしてきて、なるべく音をたてないように散らかったそれらを片付けた。
その後、自分のカバンを持ち、再び忍者で玄関のドアを開けた。
良かった、起きなかった…。
玄関脇のネームプレートを見て、ため息をついた。
『Hideto.k』
あたしはそのまま、タクシーを拾ってそのマンションを後にした。
失われた記憶に痛む頭を抱えながら。
さぁ、なにしちゃったんでしょうね。うふふふふ。