↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

どこかの異世界で

誰が為の報酬

作者: 浮月重月
掲載日:2026/09/12

「よくぞ魔王を倒し、戻って来てくれたな、勇者一行よ」


そう口にするは、勇者一行を送り出した国の王。

どことなく疲れた印象を周囲に与える感じで、あまり威厳はない。

まだ四十にも達していないはずなのだが…。


ここはとある王国の謁見の間。

長きに渡り続いていた魔族との戦いに、ついに終止符が打たれた。

強力な魔族の軍勢だったが、実のところ魔王の力に頼ったもの。

率いる魔王さえ討ってしまえば、あとは瓦解するだろう。


少数精鋭の勇者一行が極秘任務を受けて、

巧みに魔族の軍勢を避けながら魔王城へ赴き討伐に成功した。


狙い通り魔族は散り散りとなり、現在はその祝典の最中である。


「もったいなきお言葉です、国王陛下。


 我ら、微力ながらも力を振るい、難行を成し遂げられました。

 これも仲間達、そして協力して下さった多くの方々のおかげ。

 わたしはともかく、仲間達には報いてくださいますよう、

 心よりお願い申し上げます」


そう答えたは、勇者として選ばれた冒険者の男。

謙虚であり、仲間思いであり、無私無欲であり、勇敢な若者。

彼は背丈こそ高いがまだ十六であり、容姿にも優れていた。

どこぞの国の王族貴族のようと評されても疑う者はいまい。


王は勇者の言に頷き、言葉を続ける。


「勇者らしく実に欲のない事である。余は称賛したいぞ。

 しかしそちに褒美を取らせぬ訳にもいかぬのだ。

 偉業にはそれにふさわしい報酬がなければ、

 国として、王としての器量を問われてしまうでな。


 よって、だ。

 そちには我が国の姫を伴侶として贈りたい」


王のその言葉に勇者は首をかしげる。

現在国王夫妻には子供が二人、いずれもまだ幼い王子である。

公爵家や侯爵家にも、妙齢の未婚女性などいなかったような。

まさかこの為だけに養子でも入れたのだろうか?


「勇者には、我が一番上の姉を嫁がせることとする!」


…国王の、姉?今国王は三十九歳、その姉?一番上の?いくつ?

勇者の明るかった笑みが無感動なものへと変化する。


あれか、国王一家の端にいて、もじもじしてる女性。女性?


前後左右の厚みは王の倍以上はあろうか。頭も体も。

着ている高級ドレスはぱつんぱつん。二の腕とかはちきれそう。

多分美人ではあったのだろう、今から二十年以上前ならば。

現在の姿からは予想もつかないけれど。


勇者が「報酬」のあまりの衝撃に思考停止している間に、

怖いもの見たさで目が離せなかった体脂肪が近づいてきた。

あんな体格で。信じられないような速度で。ぐいぐいと。



「と、いうのがわらわを討伐した後のお主の運命だな。

 どうする?わらわを亡き者にし、脂身と添い遂げてみるか?」


と魔王が勇者一行へ判断を迫る。

なんでも先代魔王が引退し、数日前代替わりしたばかりだそうだ。

戦争中になんで?とも思うが「魔王やるの飽きた」らしい。

無責任にも程がある。


代替わりした新生魔王はまだ若い美少女である。

父親から「好きにやっていいぞ」と言われ、戦争もやめた。

戦うのが好きではないそうだ。もう争う理由もない。


今「未来視の水晶玉」で見せられたものが現実になれば。

勇者の仲間達はおいしい思いをするだろうが、勇者はババをひく。

しかも一生涯保証だ。なぜ努力が地獄で報われねばならぬ。


「いっそわらわの婿にならんか?

 同じ姐さん女房でも、アレよりはましであろう?」


年下に見えるが、これでも勇者より三つ上なのだそうな。

勇者は迷わず婿入りを決めた。


仲間達とは魔王城で別れ、勇者は相打ちになったと伝えてもらう。

王の姉君の歩く脂身は嘆き悲しむかもだが、そんなの知らん。


冒険者は依頼を受けて問題を解決するのが生業とされている。

だからと言って問題人物を押し付けないで頂きたい。

生還した仲間達の誰かへの報酬が、コレになったりすると怖い

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。