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幼馴染くんと幼馴染ちゃん  作者: 一般通過純愛スキー


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6/6

なんか俺たちが修学旅行に行った話

 いつぞやの喧嘩から、俺たちの距離感は変わらないようで変わっていた。くっついたり手を繋いだり、そういうのはあまりなくなった。しかし、相変わらず家族ぐるみでイベントはするし、学校行事でも同じ班になる。まあなんとなく、お互いちょうどいい距離感に収まったってことだろう。

 勿論、小学生にとっての一大イベントでも俺たちは同じ班であった。小学六年生、そう、修学旅行である。

 

「こっから飛び降りるってどういうことだよ」

「必死の覚悟でってことらしいけど」

「いやいやでもほんとに死んだら意味ないだろ」

「でも実はそんなに死ななかったらしいよ?85%は骨折とかで済んだんだって」

「まじかぁ。有り難みねー」

「だねー」



「なんでお寺を金色にするんだろ」

「うーん、権力の象徴?みたいな?」

「こんなことするより、ご飯食べさせてやるとか、給料上げてやるとか、そういうのの方が絶対いいのになー。偉いやつの考えることって分かんないことばっかりだ」

「だねー」



 博識な幼馴染がいてくれて観光が捗る。




 俺たちの修学旅行はいわゆる古都なんて言われる所だった。来るまではありがちだって文句を言ってたヤツも、来てみれば案外楽しみながら見て回っているようだった。

 初日の夜、同じ部屋の男子達との風呂上がり。


「おっ、よっす」

「んっ、お風呂?」

「あがったとこ、そっちも?」

「うん」


 我が幼馴染含む女子達と鉢合わせた。


「おつかれー。やっぱ歩き回ると疲れたね」

「お、おうっ、そうだな」

「やっぱり知らないとこ来るとワクワクするよね」

「ああっ、分かるよ、うん」


 何やら我が友人達は挙動不審だが、そんなことはさておいて俺にはもっと重要なことがある。


「なあなあ、今のうちにお土産見とかね?」

「え、もう?今買ったら荷物増えるよ?」

「買わないって、見るだけ。先に選んどくだけでもいいだろ?おじさんとおばさんにも買わなきゃいけないのに、お前と被ったら嫌じゃん」

「あーなるほどね、オッケー行こっか。みんなも行く?」


 ぶんぶんと首を横に振る級友たち。見るだけ見ときゃいいのに、変なヤツら。


「あっ、髪乾かしてないじゃない。そういうとこちゃんとしたら?」

「めんどくさい、適当でいいの適当で」

「えー勿体無い、せっかくおばさん譲りの髪質なのに」

「全然気にしたことないわ。お前そんなにちゃんとしてるの?」

「勿論。お母さんに聞いて色々やってるよ?洗い方とか、トリートメントとか、ヘアミルクとか。ほれほれ触ってみて?サラサラよー」

「おお、確かに手触りいいな。すげー」

「でしょ?実は密かな自慢なんだから」




「アイツらあれで付き合ってないって本気で言ってんの?」

「らしいね。去年もあの二人と同じクラスだったんだけど、やっぱりからかうヤツはいてさ。でも二人とも余裕って感じ?普通に話してて関心しちゃったわ」

「もっとさ、照れるとかあるんじゃね普通?」

「だよな、てか風呂上がりの女子に触れるか?どんな神経してんの、図太すぎるって」

「なるほどねー。それでアンタらさっき妙な反応だったわけ」

「げっ」

「まずい」




 旅行の醍醐味といえば、土産物だと俺は思う。日常の中に非日常から持ち帰ったものがある、それはなんとも趣深いと思うのだ。


「何にすっかな」

「食べ物とかも無難でいいんじゃない。よっぽど変なものじゃなければハズレないと思うし」

「食べ物は買うぞ。でも食べてなくなってはい終わり、だけじゃつまんないし、やっぱり形の残る物も買いたいんだよな」

「おじさんとおばさんは何がいいって言ってなかったの?」

「お前のセンスに任せる、だってさ。そっちは?」

「うちもそんな感じ」


 素直に言えばよかろうに、子供のセンスに任せると言われても中々厳しいものがある。


「とりあえず見てみるか。最悪決まんなかったら、目をつぶって指差した所にあるやつを買う」

「うわっ、てきとー」

「いいんだよ。任せるって言ったんだから、何になっても任せたヤツが悪い」

「それもそっか」


 肩を並べて土産コーナーを眺める。手拭い、扇子、うちわ、便箋、あれこれと並んでいるがあまりピンとこない。

 あれこれと相談しながら目線を滑らせると、なんとなく琴線に触れる物があった。


「これ、いいんじゃね?」

「ボールペン?」

「蒔絵ボールペンだってさ」


 大手文具メーカーと、観光協会のタイアップ商品であった。それぞれ黒の軸に、花や鳥、建物などが色鮮やかに描かれている。柄もいくつかあるようだ。


「ボールペンなら大人も使うから、持て余さなくていいだろ?替芯も普通に売ってるやつでいいらしいから、壊れるまで使える」

「でもこれ結構高いよ?」

「一本七千円……全員分で二万八千円……」

「買える?」

「買えはする、けど他にほとんど何も買えなくなるな」


 貯めた小遣いも持って来たが、流石に小学生の身空に約三万円は厳しい。


「そっちはなんかいいの見つけたか?」

「全然、これっていうのは見つかんない。このボールペンが一番よさげ」


 人に渡す土産を選ぶのはこんなにも難しいものか。中々決まらない上に、やはりボールペンを諦めきれない。


「なあ、相談なんだけどさ」

「なに?」

「ボールペン、半分ずつ出すとかどうよ。そんで、二人一緒のお土産ってことにする」

「いいね、ありあり!すっごくあり!」

「よしきた、決まり!ボールペンくらいなら今買っちゃってもいいよな」

「オッケー、ちょっと待ってお金出す」


 会計を済ませ、互いの両親の分をそれぞれ持って部屋に戻る。エレベーターの前で少し考え、踵を返す。


「先戻ってて、トイレ行ってくる」

「待っててあげてもいいよ?」

「やめれ、嫌がらせか」

「冗談、冗談。じゃあ先に戻ってるからね。お休み」

「おう、お休み」




「なあ、これやるよ」

 

 なんだかんだと楽しんだ修学旅行も終わり、先生方のありがたーい話を聞き終えて解散し、迎えの車を待っていたおころで、細長い包みを手渡した。


「何?開けていい?」

「いいぞ」

「あっ、これって」


 お土産に買ったボールペンの近くに置いてあった、同じシリーズのボールペンだった。しかしこちらは基調が黒ではなく白である。


「大人なら黒がよかったかもだけど、お前にあげるなら、こっちかなって」

「でも、いいの?これ、高かったでしょ?」

「おいバカ、土産の値段を気にするなんてマナー違反だぞ」

「いやでも……別によかったのに。同じとこ行って、ほとんど一緒に行動してたんだから」

「ごちゃごちゃ言うな。あげたくなったからあげた、そんだけ。思い出はプライスレスなんだよ!」

「うん……ありがとね……」


 我が幼馴染殿が喜んでくれたなら、ちょっとはカッコつけた甲斐があるものだった。


「なぁ」

「ん?」

「楽しかったな」

「んひひっ、楽しかったね」

買えないものはM⚪︎sterCard

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