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act 2

次の朝澄麗が登校すると、教室内に異変が起きていた。




誰も澄麗に話し掛けようとしない。一種異様な雰囲気だ。






その時、沈黙を破って校内放送が流れる。






『1の2 青木澄麗生徒会長室に来なさい。』




その声は紛れもなく、小林柊也のものだった…。






「何であたし?」


澄麗の親友の華菜が静かに言った。


「澄麗…言う通りにした方がいいよ。」






華菜にまでそんな事を言われて、澄麗は混乱して来た。




とにかく生徒会長室に行こう…。


呼び出された理由が知りたい。






教室を出て長い廊下を歩いて行く。




生徒会長室の前で、澄麗はひとつ深呼吸をした。

コンコン!




ノックと同時にドアが開いた。




「遅い。俺を何分待たせるんだ?」


「え…?」




腕を掴まれ部屋の中へ引き込まれる。




「澄麗は俺の彼女なんだから、俺の傍にいないと駄目だろ?」




「はい?あの…授業は?」




柊也はふふっと笑いながら言う。




「俺が教えてやるよ…全てな。」




言いながら顔が近付く。


澄麗の唇に軟らかい感触…。






柊也からのキスだった。「い…っや!」




澄麗は柊也を力一杯押し退けた。


そして自分の手の甲で、唇をこすった。




「…なんだよ?初キスかよ?」




柊也はふふっと笑った。




「それじゃあこっちも初めてだな?」




澄麗には、柊也の言葉の意味が判らない。




「何の事…?」




柊也は堪え切れず笑った。




「いいんだよ、判んなくて。お前の全ては俺のものだからな。」




澄麗はぷいっと横を向いて言った。


「あたし小林君と付き合うなんて、言ってない。」






その言葉に柊也は激しく反応した。


「澄麗…お前まだ判ってないのか?俺の言葉は絶対なんだよ。」






澄麗の肩を思いがけない程、強い力で掴んで言う。






逆らえない…。


澄麗は直感した。「諦めた?」




柊也は微笑んで言う。




澄麗はぷいっと横を向く。




「…いいね、その怒った横顔。益々俺のものにしたくなるよ。」




柊也はかなりご機嫌だ。




「あたしは絶対小林君の思い通りになんか、ならない。」




その時、柊也は澄麗の腕を引き寄せて言う。




「小林君、じゃない、柊也だろ?」


その声に、澄麗はびっくりしてすくんでしまった。




「…柊也…君?」


「あ〜まぁいいだろ。これからは俺の事はそう呼べよ。」




彼の言葉には、逆らえない威圧感がある。


何故だろう?






この時澄麗はまだ柊也の正体を、知らずにいた。




ふと柊也を見る。切れ長の黒い瞳


さらりとした黒髪…




どちらかと言えば、可愛いタイプの柊也だが、何故か誰も逆らおうとはしない。




澄麗はそれが不思議だった。




後になって柊也の正体を知った時、納得せざるを得なくなる。


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