第3話 装備レベルアップ!彩羽父からの殺意
北海道の人里離れた小さな村の片隅。少し古びた庭付きの家で、拓海は今回のダンジョン探索の戦利品を確認していた。
白魔石が29個、青魔石が5個、その他無名の魔物から得た素材がいくつか。
やはり、冒険者ギルドでポイントと交換できる魔石が一番実用的だ。しかし、このCランクのダンジョンでは高ランクの魔物が少なく、紫魔石をドロップすることはほとんどない。
もしいつか俺が東京に挑めるような実力を……
ふふ、想像するだけで興奮するな。東京の魔物楽園内で最も低いA級ダンジョンですら、「烈焔の石巨人」「凛冬の大蛇」「鉄の王座」「血線の牛魔」などの魔物が出現し、必ず紫魔石をドロップするらしい。運が良ければ、極めて低い確率で金魔石をドロップする高ランクの魔物にも出会えるかもしれない。
ダンジョン内の魔物を討伐すれば、一定の確率で魔石がドロップする。魔石はそのエネルギーによって、白、青、紫、金、橙のランクがあり、それらは1:100の割合で交換可能だ。最上級の橙魔石は、100個の金魔石、1万個の紫魔石、100万個の青魔石、1億個の白魔石が必要になる。
冒険者ギルドに登録している拓海は、ダンジョンで手に入れた魔石をポイントと交換できる。白魔石1個は10ポイントに相当する。
戦利品を前に並べ、拓海は細かな金属模様が刻まれた白銀のカードを取り出し、目の前で軽く振った。まるで決済端末でカードをスワイプするような動作だ。虹彩認証を通過すると、魔石は光の中に吸い込まれるように消えた。
白銀ランクの冒険者ギルドカードを見ると、拓海のポイントはすでに186,000点となっている。
「1年分の貯蓄だ!これで十分だろう!」
ネット経由で冒険者ギルドのショップにアクセスし、拓海は迷いなく注文を確定させた。
石像鬼のマント
•説明: 高ランクの石像鬼の涙を吸収して作られた物理防御装備。短時間、石化状態となり、自身に50%の物理免疫を付与するCランクの宝物。
•価格: 80,000ポイント
血影刀
•説明: クリムゾンゴブリン王の心臓の血を抽出して鍛えた刀。刀気の範囲を増幅し、稀にクリムゾンゴブリン王の魂を活性化し、戦闘力を10%強化する。刀狂専用装備。
•価格: 100,000ポイント
「購入が完了しました」とのメッセージが鳴り響く。
「冒険者ギルド【オリオン】は、あなたのダンジョン探索をサポートします。親愛なる白銀冒険者の拓海様、ご注文の冒険装備は翌日、ご自宅へお届けいたします。」
買い物を終えた拓海は、ほっと一息つき、自分だけに見える仮想パネルを再び開いた。金の宝箱を選択し、緊張と期待を胸に開封を確認した。
153,125の炎上値が一瞬で消費され、残りは53,125点となった。
ダンジョンを出てきた時点よりも炎上値が1万以上増えている理由は、拓海自身もよくわからなかった。ただ、美少女との「スクワットゲーム」以来、炎上パワー増加の通知が途切れることはなかった。
「はぁ、美少女を辱めるってのは、みんなの怒りを引き起こす最高の方法なんだよな」
煌びやかな金色の光が放たれ、10万の炎上値で開封された金の宝箱が輝いた。
拓海はその場で立ち尽くし、宝箱から出てきたアイテムを見つめ、呆然とした表情を浮かべていた……。
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北海道・札幌市内の最高級ホテルの一室
部屋はめちゃくちゃで、美しいランプが粉々に砕かれたばかりの彩羽は、扉から入ってきた若い男に振り返った。
「お嬢様、提供いただいた情報に基づき、相手の正体を突き止めました。こちらが相手の詳細情報です。」
若い男から手渡されたタブレットを受け取り、彩羽は手を軽く振りながら言った。
「もういいわ、出ていきなさい」
若い男は言葉を聞いても動かず、おそるおそる提案した。
「お嬢様、この男を始末しておきましょうか?」
「必要ないわ」彩羽の声には怒りがこもっていた「私が解決する」
「承知しました」
ホテルのロビーを出たところで、豪華な高級車が到着し、運転手が慌てて車から降り、彩羽の前でおどけていた若い男にドアを開けた。
車内の静寂を破るように、男は緊張した手つきで電話をかけた。
「一ノ瀬社長」
低い声が受話器の向こうから返ってくる。
「あの男をダンジョンで消せ。跡はきれいに処理しろ。」
「ですが、お嬢様が……」
「彩羽に知らせる必要はない」
「承知しました!」