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第13話 巣穴での宝探し、銀狐の出現


巣穴の入口へと続く通路から離れ、去っていくミシェルの背中を見送りながら、拓海は手にした精巧な小袋を見つめた。

中には100個の青魔石が収められており、その重みが彼の努力を物語っていた。彼はほのかな満足感を覚え、微笑を浮かべた。


さすがYouTokの人気ランキングトップ10に入る配信者だ。この青魔石100個という財産は、拓海がダンジョンで1年間必死に稼いでも手に入るかどうかというものだ。

先ほどのA級魔物「緑幽憎悪」ですら、せいぜい十数個の青魔石しか落とさなかったのだから。


しかし、その代償として討伐にかかった労力と、100万炎上値に相当するアイテム「時止めの玉」を消費したことは、大きな痛手だった。


配信対決が終わり、ミシェルも配信を終了したことで、拓海の同時視聴者数も急速に減少し、現在の視聴者は300人ほどとなっていた。

残った視聴者の名前を眺め、拓海は微笑んだ。この時間まで残っているのは熱心な常連たちで、彼のダンジョンでの行動を熟知し、次に何かが起こることを期待しているのだろう。


広大な巣穴の中、拓海は慎重に周囲を見回し始めた。心に引っかかる疑問を解くために、彼は巣穴内を丹念に探索し始める。

このダンジョンは成長型とはいえ、まだB級には達していないはずだ。それなのに、巣穴にはA級、もしくは準A級の「緑幽憎悪」が存在している。この矛盾が彼を苛立たせていた。


冒険者歴数年の拓海は、日々ダンジョンや魔物の情報収集に励んできた。

魔物のレベルは通常、ダンジョンのランクと一致するものであり、たとえ例外があっても2ランクを超えることはない。しかし、このダンジョンでは常識外れの現象が起きている。

つまり、このダンジョン、いや、この巣穴には、魔物を異常に強化する何らかの「魔宝」が隠されている可能性が高いのだ。


ダンジョンが世界に侵入して以来、76年。

冒険者たちの無数の経験から、「魔宝」と呼ばれるダンジョン特有の希少な宝物が発見されてきた。先人たちは、偶然この魔宝を手に入れ、最強の冒険者へと成長した数多の伝説を残している。


魔宝は魔物の力を飛躍的に強化するものであり、人間が手にすればその効果はさらに増大する。知恵ある人間は、その宝物の性能を最大限に引き出すことができるからだ。

魔宝は植物であったり、井戸や目立たない宝石、清泉である可能性もある。その本質は異化エネルギーにあり、物質的な形状にかかわらず、異常な力を秘めている。


例えば、初代冒険者の中で最も卓越した一人であり、現在は冒険者公会の上層部に位置するSSS級冒険者「不死薬王」大島蒼雄も、若かりし頃にB級ダンジョンで魔宝を手に入れたという逸話がある。それは翡翠色の小さな瓶で、中には生命力あふれる液滴が生成され、植物を短期間で成長させ、薬効を十倍にまで高めた。

大島はこの「進化緑瓶」と呼ばれる魔宝を駆使し、今や百万人を超える冒険者の頂点に立っている。

このような伝説は、発達したネット上でも容易に見つけることができる。拓海はこれらの情報を熱心に研究し、今回の探索に臨んでいた。


巣穴は広大だったが、幸いにも拓海は足が速く、1時間後には巣穴全体をくまなく探索し終えた。


「ないのか……」

期待外れに肩を落とす拓海。しかし、ここに魔宝が存在しなければ、どうしてC級ダンジョンにA級魔物が出現するのか説明がつかない。


配信コメント

とんこつキング:「こいつ、巣穴内で1時間もウロウロして、何してんだ?」

おゆた:「もう眠い……何か面白いことが起こるかと思ったけど、つまんなっ」

浅野:「あのクズ、俺たちを暇つぶしに使ってるだけかもな」

ドクターペッパー:「もういいや、先に寝るわ」

ぐびぐび:「私もー」


視聴者の不満が募る中、その時だった。巣穴の陰から銀色の光を放つ細長い尖った物体が突然飛び出し、空中に浮遊していた無人機に突き刺さった。無人機は墜落し、拓海のライブ配信は途絶えた。同時に、彼の端末には視聴者たちからの炎上値がわずかに加算された。


「えっ!?」

突然の出来事に、拓海は即座に戦闘態勢に入り、右手に握った血影刀で墜落した無人機を鋭く睨んだ。

数メートル先の暗がりから、体のラインが際立つ革の服に包まれた銀狐がゆっくりと姿を現した。その冷たい瞳は、まっすぐに拓海を見据えている。


「お前の仕業か?」

拓海は憤りを込めて言った。

「これはファニー社の第9世代PRO版360度ドローンで、購入してまだ3ヶ月も経ってないんだぞ……」

「まあ、100万円で弁償してくれれば、追及はしないでやるけど……」


彼が言い終わらないうちに、音速で放たれた銀色の閃光が彼の刀の柄に命中した。拓海は驚異的な衝撃力で7、8メートルも吹き飛ばされ、尻もちをついたまま呆然とした表情を浮かべていた。


「これは……転職済みの強者だ。強すぎる、全く敵わない!」

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