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第11話 20秒と拓海の切り札


拓海は一瞬の迷いもなく、両指の間にある「時止めの玉」を握り潰した。


次の瞬間、周囲の空間は静止し、まるで巣穴の中のすべてが数十倍のスローモーションになった。拓海は、初めてその驚異的な効果を体験していた。

この一度きりの道具は、100万の炎上値に相当する力を持っているとは、夢にも思わなかった。


心が痛む。

彼は炎上値を貯めるために苦労し、観客の前で自らをさらけ出し、敵視されながら100万を蓄えるのは容易ではなかった。

しかし、拓海には道徳的な限界があった。ダンジョンの魔物を討伐する冒険者として、彼は決して死ぬわけにはいかなかった。


本来の計画では、ミシェルが危機に陥った際に彼女を助けるために刀を抜くつもりだった。しかし、緑幽憎悪の異常な強さが拓海に「時止めの玉」を使わせたのだ。そうしなければ、ミシェルは必ず死んでしまう。


「時止めの玉」(1級):破壊の瞬間に時間律を発動させ、使用者に現実世界の1秒間に対して20秒の相対的自由行動時間を与える。


拓海は4秒を使い、百メートルを突進して岩壁に寄りかかるミシェルを抱きかかえ、数メートル横移動して彼女を安全な場所に優しく置いた。


第5秒、拓海は立ち上がり、再び戦場へと戻った。


第6秒、彼は足元に力を込め、「血影刀」を手に取る。刀身が鮮やかな血色の光を放ち、猛虎のように十数メートル先の緑幽憎悪に向かって突進した。


第7秒、拓海は刀を振るい、体内の気が爆発的な極限に達する。

刀先からは半メートルの血の閃光が噴き出し、緑幽憎悪の太くて水桶のような首を斬りつけた。「カン!」という音が響く。金属が交わる異音が耳をつんざいた。拓海の巨力を注ぎ込んだ一撃は、緑の腐敗した皮膚にわずかな傷を残すだけだった。

こんなにも強力な防御力が、A級魔物には備わっているのか!

驚く暇はなかった。拓海は「時止めの玉」の効果が切れる前に、目の前の緑幽憎悪を倒さなければならない。さもなければ、彼もミシェルも死んでしまう。


第8秒、血影刀を胸に突き刺すも、無駄だった。

第9秒……第10秒……第11秒……第12秒……第16秒……


たった8秒の間に、拓海は少なくとも百本の刀を振るい、空中には大量の緑色の血珠が弾けていた。「時止めの玉」の効果が残っているため、緑幽憎悪から噴き出した百の傷口から流れ出た不気味な緑の血は、地面に落ちることなく空中に漂っている。まるで異様な光景だった。

「だめだ、こんなに斬っても死なない……時停の効果が消えたら終わるっ……」


拓海の表情には恐怖が漂っていた。彼が緑幽憎悪を百斬りする過程で、その目玉が緑の光を放っているのに気づいてしまったからだ。

「こいつ、俺を睨んでいる!」

拓海は緑幽憎悪の殺意を明確に感じ、その手に握られた巨大な斧が自分の体に向けて変わるのを確認した。


第17秒、拓海は低い吠え声を上げ、体内のすべての力を振り絞った。配信視聴者の前に切り札をさらけ出す覚悟で。


10段刀狂特殊技——血焰熔鋼斬


(くそっ!10段刀狂の力を使って大量の炎上パワーを得るつもりだったのに)

(知らない人に助けられることはなかなかないぞ、ミシェル)


血影刀を選んだ理由は、10段刀狂最強の単体爆発特殊技に惹かれたからだ。この名刀によって、その技の威力は少なくとも30%強化されるはずだった。


第18秒、血影が横空に舞い上がり、「プスッ」という肉に入る音が響く。血焰のような刀が緑幽憎悪の腰腹に深く切り込んだ。先ほどの百刀の斬撃では防御を破れなかったが、拓海は緑幽憎悪を斬り殺すための前奏曲として、相手の身体の最も弱い部分を探っていた。意外だったのは、緑幽憎悪の防御力が最も弱いのは、頭でも首でもなく、厚い肉で覆われた腰腹部だった。

燃え盛る血色の刀身が肉の大半に突き刺さり、緑幽憎悪の顔には今、痛みの表情が浮かんでいた。


第19秒、ほぼ体内の最後の力を振り絞った拓海は吼えた。「死ねーーー!」両手で刀を握り、脚元から限界の力を発揮し、身体は2メートル横に移動した。


一刀両断!

「ドン!」という音が響き、緑幽憎悪の手に持っていた凶悪な巨大斧が地面に落ちた。本来は3メートル以上の緑幽憎悪が、拓海のこの一刀で二つに切り分けられ、倒れた。

拓海の身体は力を過度に絞り出したため、全身が無力になり、そのまま尻もちをついてしまった。体は死後に液化した緑幽憎悪に覆われ、腥臭のある膿液で汚れてしまった。


第20秒、息を切らした拓海は、思わず舌打ちと悪口を吐き出した。

その時、ミシェルの配信と拓海の配信では、心配でいっぱいの観客たちが、拓海が緑幽憎悪を一刀両断し、舌打ちする場面を同時に目にした。「時止めの玉」の影響は配信映像にも及び、観客が見られるのは拓海の最後の一刀だけで、前の過程は全く知らなかった。


その時、左の通路の出口に黒い影が現れ、タイトな皮の衣装を着た「銀狐」の美しい目が驚きの色を見せ、静かに影に隠れ、巣穴内で罵声を吐く拓海を窺っていた。


(10段の実力しかないガキが、A級魔物を斬り殺すなんて、きっと何かがあるに違いない…)


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