中津浦優斗から見た輝奈子14
目を覚ますと輝奈子が抱き着いていた。俺が「輝奈子、大好きだぞ」と悪戯っぽく言うと「わかってる。私も優斗が大好き」とふわふわの声で言ってきた。寝言だろうが、どうしてこんなに可愛いのだろう。
甘ったるい夢見てるのかもしれないな。俺は今までモテなかったのに2か月で一線を越えるとは思わなかった。だって、東畑も2か月とは言ってなかったから。まさか2か月で彼女と一線を越えられるとは思わなかった。
俺が眠っている輝奈子の手を握ると輝奈子が握り返してきた。かわいい握力だなぁ。輝奈子が目覚めるまでずっと横で見ていた。輝奈子ってよく眠るな。しかも寝顔が可愛い。
「うーん。何時?」と輝奈子が目覚める。俺は「おう、起きたか。俺もさっき起きたとこだが、9時だな。飯どうする?」と聞いた。なんか考え込んだような表情をして輝奈子は悩んで「優斗は何の気分?」と相変わらず丸投げしてくる。相変わらず、決めるの苦手なんだな。かわいい。
「俺は、軽めにメックかな」
「良いね。メダネル。私、ツヴァイチーズバーガーにする」
「その略し方は独特。俺は照り焼きにしようかな。ナゲット食うだろ?」
「うん」
そんな会話をして、輝奈子が家を出ようとするので、俺は「頭痛いとか言ってなかったか?無理しなくていいぞ」と言った。それでも輝奈子は「大丈夫。一緒に行きたいし、女の子1人で置いて行かれる不安わかるでしょ?」と頬を膨らませる。俺は「そうか」と相変わらず、膨らんだ頬をふにっと押して可愛くない音をさせる。その表情ズルいんだよな。
冬の寒空の中を俺が渡したサブバッグに財布と家の鍵と携帯とエコバッグだけ入れて、クリスマスの前の週に着たり、思い出の日に着たりした服装で一緒にお出かけする。もちろん、恋人繋ぎで。漆黒の闇夜で離れて迷子にならないように、俺が捕まえておいてやるのだ。どちらかと言うと、輝奈子に捕まえられている。輝奈子の手はいつもより冷たい。きっと冬の寒さが手にもにじみ出ているのだろう。
輝奈子となら幸せな家庭を築ける気がするし、お互いに幸せだと気付けそうな気がする。今日食べるのはファーストフードだけど、それもなんかいいよね。太ってプニッとしてきたら、幸せ太りだろと茶化して、ダイエットに付き合ってやろう。
輝奈子が「寒いね。まだ冬だから」と微笑むと、俺は「おう。そうだな」と不器用に笑って返した。うまい返しができない自分を呪うけど、輝奈子はかわいい。やっぱりかわいいな。許される運命ならいつまでもこの微笑みを眺めていたい。
「いや、かっこいいじゃないのかよ。あと、かわいいって言葉は輝奈子の方が似合うと思うぞ。もちろん平仮名の方な。漢字もいいけどな」
輝奈子は驚いて「えっ?もしかして口に出てた?うそっ。どこから?」と返してくる。そんな彼女を見て俺は「その表情もいいと思う」と最近流行っているドラマのセリフを言ってみた。かっこよくないし、似合ってないけど、真似してみたくなった。
「そんなイケメン男みたいな事、言わないでよ。優斗はイケメンみたいなチャラ男じゃないんだから。どちらかというとハンサムな西洋系だから」
言葉の意味を掴みかねて、「何が違うのかわからんけど、すまん」と申し訳なくなったが、輝奈子は「謝らないでよ。私は優斗だから好きなんだよ。優斗も私の事が好きだから看病してくれたんでしょ?」と訴えかけながら、恋人繋ぎした手を彼女の胸の間に押し付ける。俺は高鳴る鼓動をごまかすように「お、おう。体調大丈夫か?」と心配した。熱に浮かされているんじゃないだろうか。
なんかそんなやり取りが楽しくて「うん。大丈夫。帰ったら晩酌配信しない?」と提案する輝奈子に俺は「体調大丈夫ならいいけど、また倒れるなよ」と相変わらず心配症だ。輝奈子は「大丈夫。2日間ありがとね。迷惑かけてごめん。来月から1人で頑張らないといけないもんね。私、強くなる。守られなくても戦えるくらいに」と決意を新たに繋いだ手を握りしめる。握りしめられた手も痛くないぐらい彼女の力は儚い。
俺は「おう。でも、1人で抱えすぎるなよ。アニキはよく1人で抱え込むだろ」と言うが、彼女は「それは優斗もでしょ?お互いに週1回ぐらいは話そうよ。あと、月1の重い日は声聞きたい。優斗の声に救われるから」と微笑んで言い返してくる。
俺は輝奈子の言葉に「そうだな。俺の声でいいなら。時間会わなかったらすまん」と返す。俺は人と話すのが苦手だ。輝奈子とだって話が続かなくなるかもしれない。3年ぐらいずっと話せないことになることもおかしくはない。俺だって「ずっと、一緒にいたいし、同じ墓に入りたいし、来世でも同じように夫婦でありたい」と願ってはいるが、この俺に許された幸福ではない気がしてしまう。でも輝奈子の胸の音が俺にも届いているから、このぬくもりを忘れないように、噛み締めて続けられるように覚えておこうと思う。
寒い冬でも輝奈子と過ごすとそれだけで温かい春のような心のぬくもりを感じる。こんな日がいつまでも続いてほしいと願っている。もしかすると暫く手に直接触れることができない日が来るかもしれない。そんな時でも輝奈子の手の感触とか体温とか握る強さとか、輝奈子の声とか匂いとかを思い出せるように、どんな些細な瞬間でも記憶から消したくない。
普段より口数が減り、黙っている輝奈子を不思議に思った俺は「どうした?頭でも痛い?」と心配している。そんな俺に彼女は「大丈夫。一緒にいられる時間を噛み締めてたいなって。かじかむような季節だけど、少し嬉しそうな優斗を横でいつまでも眺めてたいなって、何年先も何十年も何千年、何億年も。ずっとそばで」と言った後、我慢できなくなったのか俺の頬にキスをする。
俺は相変わらず「お、おう。急だな」と戸惑う。やっぱり、俺より輝奈子の方が可愛いと思う。最近の女優さんでもこの純粋さは出せないだろう。どこか恋愛下手な輝奈子って本当に可愛くて愛おしくて、いつまででも一緒にいられる気がする。なんかファンタジーしすぎているのだ。
なんだか長いような短いような時間の後、メックに着いた。輝奈子はツヴァイチーズバーガーとポテトのセットにアイスティを付けてフレッシュは貰うだけ貰っておいた。たまに味変したくなるかららしい。
俺は相変わらず照り焼きバーガーとポテトのセットとナゲットを買っていた。ドリンクはオレンジジュース。ソースもマスタードとバーベキュー両方買った。輝奈子はどっち派なんだろう。輝奈子を眺めて何度も思う。輝奈子ってかわいい。
相変わらず口数が少ない。脳内の世界にアクセスしてるのか、黙っている。俺が「大丈夫?疲れてない?」と聞くと輝奈子は「大丈夫。あ、そうだ。帰ったら晩酌配信するでしょ?机ちっちゃいからパソコンどうしようって感じだけど、2つあったし、なんとかなるよね?で、マシュマロ募集しとくね。あと、ウィスパーも」とまくし立てる。
俺は「そうだな。募集はしてるんだろ?帰るか」と手を差し出した。輝奈子は「そうだね。なんか楽しいな」と微笑んで繋ぎ返す。相変わらず儚い握力だけど、幸せと彼女のかわいさを噛み締めながら、2人とも繋いでないの方の手で荷物を持ちながら歩く。やっぱり、雪が綺麗と笑うのも、舞い散る桜を儚く思うのも輝奈子と一緒にしたい。輝奈子も同じ曲を思い描いているのだろうか。やはり、俺のヒロインは彼女しかいない。
「どうした?さっきからニマニマした表情して」
「え?そんな顔してた?もしかしたら幸せだからかも。優斗とこうして歩けるのも嬉しいから」
「そうか。俺も」
相変わらず表現が乏しいな、俺は。でも、幸せを感じているから、うまく表現できるようになりたい。なんだか、居心地のいい沈黙が重くのしかかる。何か言わなければと考えていたころ、輝奈子が口をパクパクさせている。
輝奈子から「優斗って夜桜になる覚悟ある?」という爆弾が放たれた。俺は「輝奈子が、中津浦になるんじゃないのか?」と聞き返した。
輝奈子は「もともと長男だったし、個人的にこの名前気に入ってるから、夜桜優斗になって欲しい。あと、通例で女側が苗字変えること多いじゃない?私はそういう不平等を変えたい。変えない権利は平等にある。でも、それを使うことができるかどうかが違うと思うの。過去の伝統に引っ張られて、基本的な平等が欲しい。あと、都合がいいから女性の権利を認めてほしい」と俺に返す。
「たしかにインフルエンサーとしてはそうだろうな。俺も、ばあちゃんの説得頑張るわ。いいって言ってくれそうな気はするがな。あと、女性の権利を認められたいって何?」
「えっと、たまに育児をパパに任せる権利とか、家事を押し付ける権利とか、だらだらゴロゴロする権利」
ぐうたら権かよと思ったけど、考え直し、「輝奈子の場合は認めざるを得ないな。介護しながら歌手の仕事するかもしれないんだろ?それなら多分休む義務になるだろうな。休め。壊れるな」と返す。
「ありがとう。やっぱり離れるの本当は寂しいけど、お互いに欲しいものあるもんね。優斗はゲームかな。私の場合はお互いに余裕ができてからでいいんだけど、子供が欲しい。優斗がこの世界のことを苦しい世界だと思ってるのも知ってるけど、子供をそんなに簡単に生むような無責任さもないけどね」
「そうだよな。輝奈子もだいぶ先を考えてから責任取ろうとしてるもんな。たまに、めちゃくちゃ人任せだけど」
「わかってる。ごはんの時とか今日何する?とかだよね。今日の配信どんなこと聞かれるかな。あ、ファンアートの話しよう。使っていいファンアートは#使用可って付けてもらおうと思うけどどう?」と俺に返す輝奈子。俺は「それだと、乱用されるかもしれないだろ?まぁ、帰ってから配信の時考えればいいんじゃないか?」と正論を返す。輝奈子は言葉に詰まったように「そうだね」と返してきた。
黙ってる輝奈子をみて体調が悪いのかと思った俺は「どうした?」と聞く。輝奈子は立ち止まって俺の頬にキスをして「こういうこと」と返す。その答えに俺は「どういうこと?」と戸惑いながらも輝奈子の頬にキスをしかえした。心の中をぬくもりが満たす。ああ、可愛い。いや、かわいい。
ああ、幸せ。もうすぐ俺の家に着く。ホカホカのポテトと一緒ぐらい温かいことをした気がした。さて、配信が楽しみだ。ネタたくさんあることを祈ってるよ。お疲れ、俺。輝奈子の世話よく頑張った。
いや、まだ飯食ってないな。さて、家に着くと9時半ぐらいになっていた。さっそく手を洗って、ご飯と配信の準備をする。なかなか画角が決まらなくて頑張って私たちと食べ物が写るようにしようとした。
結局10分ぐらい悪戦苦闘した後、俺は諦めて、「食べてからで良くない?」と返した。結局食べてから配信することにした。輝奈子のこの優柔不断さもかわいく思えてしまう。
そんな事を思いながら、メックを食べる。輝奈子が「おいしいね」と微笑むから俺は「そうだな」と微笑み返した。お昼は食が細ってたから心配だったが、メックを食べられるぐらいに回復したなら良かった。
それから20分ぐらい経ったころ、食べ終わった俺は「そろそろやるか?」と聞く。輝奈子は、「うん」と微笑み、配信ボタンを押す。不意の内カメは怖いけど、意図した内カメは大丈夫。
「皆、こん夢幻桜。夢幻桜輝奈子です。と?」
「俺はやらねぇぞ、輝奈子。優斗です」
『いきなり、振られたんだろうな』
『まさかの不意打ち』
『不意打ちで草』
急に「あっ!!」と呟く輝奈子に俺は「どうした?」と聞く。輝奈子は「えっと、今日寝てたじゃん?メイクバッチリしてたのね。どうなったかな?って。流石にメイクしっぱなしで寝るの肌に良くないし」と捲し立ててくる。
「あぁ、それな。平松さんがメイク落とししてたぞ。拭き取るタイプとか言ってたな。俺も今言われて思い出した」
「よかった。また、ありがとうって言っとかないと。優斗も今日ありがとね」と微笑む。
『相変わらず仲良しで草』
『普通、人の幸せを妬みたくなるけど、面白すぎて続きを読みたくなる小説みたいなカップルよな?』
『豚骨ラーメンキスを作ったカップルだぞ、普通なわけあるかよ』
『↑それな。禿同』
『禿同使ってるの結構上じゃない?』
「で、何か配信始める前に言おうとしてたことあっただろ?忘れてないか?」と俺は、投げかける。
「ぅうぉあっ、そうそうファンアートの件だよね。ありがとう。今思い出した。えっと、この前、配信で使っていいか聞こうと思ったんだけど、使っていいファンアート専用タグいるかなって」
『あると助かるかも』
『私の作品ならいくらでも』
『私ので良ければいくらでも使ってください』
『私もいくらでもどうぞ』
『いくらでも使ってください』
輝奈子、好かれてるなぁ。
「とりあえず、ファンアートの使っていい奴のタグ作ろうかな。やっぱり嫌な人もいると思うから。何か案ある?」
「俺は使ってくださいアートとかしか思いつかん」
『安直で草』
『きなこさん使ってください』
『輝奈子様向けアート』
『きなこもち献上用』
「どれもいいなぁ。個人的にはきなこもち献上用いいな。ファンネーム入ってるし。献上用はちょっと私を崇めすぎてる気がするからもうちょっと変えてもいいかもしれないけど」
『むしろ、使っていだたくのが申し訳ないだけなので、どうぞお収めください』
『使っていただけるならいくらでも。本当、私の作品なんて使っていただけるものではないと思いますが』
『絵描きさん自尊感情低くて草』
『きなこアートで良いので、嫌な人だけ外すとかでどうだろうか?』
輝奈子が「投票してみるね。えっと、どうやってやるの?」と聞いてきたから「これ押して、これやったらできるらしい」と教える。
「できた。ありがとう」
その微笑みはズルいだろ。そんなに可愛いのズルいわ。
『投票作るだけなのに、この笑顔はズルい』
『単純作業なのに、この笑顔である』
『可愛すぎるから、すぐに描きました。すぐ作り上げます』
輝奈子が投票を作った。候補は3つ。1つ目は、きなこアートをそのまま使って、嫌な人だけ外す。2つ目は、きなこもち献上用。3つ目は、その他。俺はそれを眺めていた。
「投票は作れたから皆投票よろしくね。その間にマシュマロ返していくね。まずは、『配信前どんな準備してますか』との質問ですが、私は何もしていません。優斗は?」
「俺も特にしてないな。そもそも、輝奈子が急にしようと言い出すから準備ができん。でも、楽しいからいいんだけどな。俺もマシュマロ返していくわ。まずはこれ『配信前は緊張しますか?』とのことだが、俺は慣れてきたかもな。輝奈子がいつもいきなり本番ですぐ配信回すから」
「私も最近は慣れてきたかも。大体ぶっつけ本番でノリと勢いでやっています」
『ノリと勢いだけでこの夫婦漫才ができているなら魂レベルで相性よさそう』
『準備しないのかよ』
『やっぱり生絞り的な配信ていいよな』
「次のマシュマロはこれかな。『定期的に回転掛けたい日があると以前聞きましたが、今日は何回転の日ですか?』っと。そうね。今日は下回転かな。個人的に好きなのは横回転」
「そのマシュマロ拾う必要あった?俺にとっては何を知りたくて聞いてるか何一つわからん」
『それな』
『質問謎すぎるけど輝奈子さんを眺められるの最高』
『横回転良いよね』
『個人的には横ドライブが好き』
『初見です。歌手と小説家って両立できるのですか?』
「初見さんいらっしゃい。なんかできちゃったんですみません。舐めてるわけでもなく何とも言えないのでこのぐらいですね。どこから知ってくれたのかな?」
『ホラゲー実況が好きで見てたら、英語の勉強になったから』
『塾のリスニング音源が輝奈子さんだと思ったから』
『どこの塾だよ』
「塾でも流れるんだね。確かにどこか2社ぐらいの塾から依頼来て撮ったなぁ」
「リスニング音源もしてるのかよ。歌手で小説家でリスニングテスト音源系Wetuberってわけわからんわ」
『マジでどこに向かっているかわからないから見てしまう』
『どんなアニメより面白い人生で草』
「あ、そういえば、TSしたって言ったのに誰も聞いて来ないの時代かな?」と私が投げかけると優斗は「そうじゃないか?今はジェンダーとか選択的夫婦別姓問題とかあるだろ?」と返してきた。
「あーーーね。あるとは思うけど、人権に配慮して何も言えなくなるのは本当に権利を行使できてますか?ってなるから聞いてくれてもいいんだよ?」
「なら、TSして困ったことは?」
「うーん。下着がわからんかったぐらいかな。今の時代ネットで出てくるし、調べればいいだけだから。トイレは男性でも座ってするしなぁ。あ、初めての時は勢いわからなくて困ったかも。下が微妙に見えなくて」
「そうなのか。確かに結構あるもんな」との俺の発言に「えっち」っと頬を染める輝奈子が可愛い。あと、声可愛すぎるからやめろ。ばらまくな。
『声が可愛すぎて無限に使える素材を見つけてしまった』
『輝奈子さんにえっちと言われたい人生だった』
『初見です。TSしたと聞きましたが、服のサイズは困らなかったんですか?あと、お2人は付き合っているのでしょうか?』
「たしかに多くの話だと背が縮んでサイズダボダボとかランジェリーショップで困るとか化粧困るとか聞くけど、もともと華奢で骨格が細かったし、身長が158センチとかいう女子平均だったせいで期待したほど何もなかったよね。髪の毛のアレンジもあまりしないし、化粧も必要があればするくらいかな。下着のサイズは店員さんに任せたし、着け方は調べた後、何回か練習した」
「最近化粧したのいつ?昨日と今日は除いてな。付き合ってるかって質問だが、この前、輝奈子の実家に連れ込まれ親父さんと酒飲んだ。で、風呂で語り合うこともしたし、お母上と料理した」
『もはや結婚前提なのか』
『さて、輝奈子さんの最終お化粧日は?』
「記憶にございません。多分優斗に「性別変わった」って言った日だと思う。いや、違うわ。クリスマス前の12月18日だわ。あの時のメイク覚えてるでしょ?」
「お、おう。女神みたいだった。今のノーメイクも好きだし、自然体ならではの良さがあるけど、アレは女神だった。あ、プリクラの時もしてなかった?」
「あーーーーーーーーーーーーー。してたね。今思い出した」
『15秒続く、あーーーっとは?』
『あーーー、が長すぎてだいぶ忘れていたのだろう』
『さすが歌手。「あーー」のロングトーンえぐくて草』
『なんだかんだ化粧してるんだ』
「つい、2日前だろ?辛いなら配信終わるか?」
「大丈夫。あと、ファンアートの件見とかないと」と言うと優斗が「投票だな、きなこアート続投が優勢で、コメントで『きなこアート』という字面が可愛いし、輝奈子さんに使ってもらえたら光栄だし、自信が着くからってものが多いな」
『きなこアートってタグ考えた人天才すぎる』
『平仮名なのが最高』
喋り続けてて喉が渇いたのか「優斗ごめん。のど乾いた」と言う輝奈子に「お茶でいいか?コーヒーもあるけど」と言いながら、もう準備をしていた。
「とりあえずお茶がいい」
「了解」
俺がお茶を持っていくと、コメント欄には『コーヒーはいいぞ』とか『コーヒー飲んでください。お願いします』とかが溢れてて、一種の狂気を感じた。でもわかる。コーヒーいいぞ、輝奈子。寝顔を眺めるのも趣味になってきてしまった。
『初見勢にはホラゲ実況を勧めるんや』
『あの不可侵の寝顔は女神』
『不可侵の寝顔って何ですか?』
『↑見たらわかるのでこの配信のあとアーカイブ掘ってこい』
『了解です』
『初見です。好きなお寿司のネタは何ですか?』
「私は、あん肝と山かけまぐろと、あったら白子かな。優斗は?」
「俺はそもそも寿司屋行かないかも。生魚苦手だし。食べるとすると玉子とか海老とかかな」
「そうだよね。うち、よく回る寿司に行くから窮屈じゃなかったらいいな。うちの人結構ナス苦手だし」
「すまん。気を遣わせて」
「ううん。お互いに食の好みとか共有してないとね。別れたくないから」
「それは俺もだ。俺も生魚頑張ってみるか。輝奈子はナス頑張って食べてたもんな」
「焼き魚は大丈夫って聞いた。でも頑張ってくれるなら嬉しいな」
「おう」
俺は、輝奈子が頑張ってナスを食べていることに気付いているから、俺も生魚のおいしさを知りたいと思うのだが、輝奈子がナスのおいしさわからないように難しいだろうなぁ。それでも、一緒にいられることって嬉しい。だから俺も頑張るのだ。
『輝奈子さんのメニュー、痛風待ったなしで草』
『食の好み割とおじさんな輝奈子さんで草』
『美少女TSおじさんリスニング音源系Wetuberがトレンド入りしてる』
『初見困惑で草』
『可愛すぎて浄化されそう』
『ナスを頑張って食べている輝奈子さんの絵お願いします。絵師の方』
『絵師です。頑張ります』
「今回も盛り上がってるね。ナス食べてる私って需要あるの?」
「あるな。もう一回やりたいことの1つかもしれん」
「え?そうなの?」
そう返す輝奈子は俺と麻婆豆腐ナスを作った時を思い出しているのだろうか。あの時は出来合いのものを使わずに全て自分たちで手作りしたのだ。それだけではなく、「あ~ん」と口を開けて俺が輝奈子の口にナスを入れたのだ。あの時の表情は今でも記憶に焼き付いて離れないほど可愛かった。
「めちゃくちゃ可愛かったぞ。なんかほかの物を口に入れてしまいたくなるような顔だった」
『これはネタになるぞ』
『一体ナニを入れようとしてるんでしょうかね?』
俺の言葉に「何を入れようとしてるの?エクスカリバーとか?」と割とガチでエクスカリバーを発音しながら返す輝奈子に俺は「お、おう。いや、違うからな。あと今日はしないからな。輝奈子、今日はダメって知ってるよな?」と戸惑っていた。
『ガチ発音のエクスカリバーで草』
『言ってることエロすぎて草』
『「今日は」ってことは結構するのか?』
『割としてそうな発言は多いな』
『結構してるんだろうな。ナスのファンアート増えるのだろうな』
「それに関してはノーコメントにしとくね。流石に生々しいから。えっと、で、投票どうなった?」
「投票の結果はきなこアートそのまま使うことになった」
「そうなんだ。えっと、これってこのタグ付いてたら使って良いという解釈でいいのかな?」
『その通り』
『むしろ、使っていただけるならいつでもどうぞ』
『アンチです。流石にDMで一度確認は入れてほしいです』
「了解です。ありがとうございます。アンチさん。あ、そうだ。アンチ用のタグ作る?」
なぜに?
『アンチ用のタグを本家が提案は草』
『何のため?』
俺は「ホントにどうして傷つこうとする。アンチってなかなかきついだけだろ?どうして?」と戸惑う。
「あ、意味わからないよね。このタグを作ろうと思ったのには理由があって、イェスマンだけだと増長して変なことをしてしまうかもしれないから、その時のお諫め枠みたいなタグが欲しいなって。世界見渡すと色々思い当たるでしょ?」
確かに独裁者は増長しがちではあるが、マネージャーとか俺とかいるのになぜ傷付く事をしようとしているのだろう。
「なるほどな。いや、心配いらんだろ。俺もいるのに」
「今は、ね。でも、就職で一回離れるでしょ?だから作るの。ちなみに、このタグは本人が巡回します」
「聞いてる限り自分から傷付きに行ってるだけの人に思えるが」
「つまりこれは相互監視みたいなものかな。過剰なものは通報及びミュートします」
「で、タグの名前は?」
「候補貰おうかな」
『お諫め輝奈子さん』
『それは違うよ輝奈子さん』
「それは違うよ輝奈子さん、良いね。お諫め輝奈子さんもいいんだけど。投票してみようか。5分ぐらいで」
「アンチ用にタグ作るWetuber史上初だろ」
『初のアンチと相互監視をしようとするWetuber』
『増長しないように監視システム作る有能』
「その間何話す?ネタなくなってないか?」
「そうだね。何か聞きたいことある?」
『初見だったものです。最近も一緒に入ったりするんでしょうか』
『久しぶりの風呂ネタじゃねぇか』
「そうだね。一緒に入ることも多いと思う。今日はどうだろ。ね、優斗?」
「お、おう。どうだろうな。とりあえず、言えるのは今輝奈子の裸体見ると暴発しそう」
まじでヤバいからヤメてくれ。あの透明感は他にないものだ。
『顔と服着てる状態でさえネタになりそうなのに、裸体見て暴発しないのは無理ゲー』
『それな』
『この前のフィットネスリング配信見たか?』
『アレは禁止だろ。あんなのは伝説以外の何物でもない。あのエロスは18禁』
「そういえば、投票どうなった?あ、自分で見るわ。なるほど。『それは違うよ輝奈子さん』で決定です。直接目に届くということを意識した投稿をお願いします」
「なんか凄いな。アンチまで意見を取り入れようとするなんてな」
「そうかな。単純に欲張りなだけだよ」
「そうか。そろそろ終わるか?」
「そうだね。おつ夢幻桜。皆の夜にも彩を」
『おつ夢幻桜』
『おつ夢幻』
『おつ夢幻桜』
配信を閉じて、輝奈子が「そういえば、お風呂どうしよう。私、血が出るから今日はシャワーにしようかな。優斗は?」と俺に振ってきたので「オレもシャワーでいい。辛い時は、無理しなくていいからな」と返した。
「ありがとう。先に入っていい?」
「おう。なんかサポートいるなら言えよ。できるかわからんけど」
「ありがとう」
輝奈子はお風呂に下着と女の子セットを持って行く。そういえば、パジャマ忘れてないか?そう思って、「パジャマ忘れたのか?」と聞くと、「そう。さっき思い出してどうしよう。借りていい?」と上目づかいで聞いて来た。俺は「おう。ちょっと待ってろ」と言ってパジャマを持っていく。
今日は一緒に入れないなぁと思うとなんだか寂しく感じる。風呂から出てきた輝奈子は「優斗、ちょっと抱き締めてて髪濡れてるから嫌かもしれないけど、寂しい。優斗の体温感じてたい」と飛び付く。サイズの合ってない俺のパジャマに身を包んだ輝奈子に抱き付かれるという贅沢。最高だ。
俺は「お、おう。いい匂いするな。体調どうだ?」と心配しながら彼女の体臭を堪能した。輝奈子は「大丈夫。ありがとう」と返しながら、俺の胸に顔を埋める。見てるだけでだいぶ色っぽい。
「んんぅ♡、いい匂い。安心する」
「そうか。声やばいからな。アニキ忘れてないか?ソウイウ日なんだろ?」
「あ、うん。そうだね♡わかってる」
声が可愛いすぎる輝奈子から逃げるように俺は「そろそろ風呂行っていい?色々やばい。あとドライヤーしなくていいのか?濡れたままだと気持ち悪くない?」とドライヤーを手渡した。潮時だ。
「ありがとう。出たら映画とかみる?」
「そうだな」
俺は風呂の準備をして行った。久しぶりに1人で入った気がした。なんだか1人で入るには広く感じてしまうことに驚いた。そんなことを考えながら風呂を出ると、1人で胸を触っている輝奈子が見えた。
俺は「なにしてんだ?」と声をかけた。焦って、「いや、何も。あ、の、さっきの見てた?」と輝奈子に聞かれて「何を?」っと返した。本当は見ていた。だいぶ溜まっているのだろう。
そんな時に輝奈子から「えっと、優斗のエクスカリバー握りたい。眠たいのに、寝れないの。優斗を感じたい」と誘われてしまった。これ、やめておかないとやばいよな。と思い、「ちょっ、待て。今日は、やめとけ。付いたままになって妊娠とかしたら大変だろ」と心配しておく。どちらかと言うと自分の無責任にも思えるが。
「そうだね〜。でも、優斗は止まれるでしょ?ごめんね。休んで貰ったのに今日は迷惑かけっぱなしだなぁ。だから、ご奉仕しようかなって」
「ありがとう。ゴムつけるわ。ちょっと待て」とゴムを付け始める。やっぱり男の性には逆らえないんだなぁっとどこか他人事で見ている俺がいた。すまん、輝奈子。責任は取る。
「そこ座って。私は寝ちゃうかもしれないから寝転がってするね」と輝奈子は自分の頭の横を示すから俺は「お、おう」と戸惑いながらも座った。もちろん、あぐらで。輝奈子って可愛いな。
結局俺の璧の部分をさわさわしてくる。なぜか、輝奈子は、この重量が好きらしい。わけがわからない。
左手で俺の璧をいじりながら、右手で竿を触る。何が良いのだろう。俺の璧の部分を少しだけ舌でペロッとして来る輝奈子。男の子の味がした。これはヤバい。
しばらくすると輝奈子が船を漕ぎ始めて、寝た。俺のこの高ぶった気持ちはどこにぶつければいい?そんな事を考えていると輝奈子が抱きついていた。あー。今日も嬉しかったなぁ。明日は何があるのだろう。とりあえず輝奈子に布団を着せ、眠っている輝奈子の頬をぷにぷにと触る。可愛い。
お疲れ様、輝奈子。俺も寝るか。その前に、ゴムを処理して、もう一度軽くシャワーを浴びて拭いて寝る。やっぱり、コイツは可愛い。そしてズルい。
おやすみ、俺。お疲れ様。




