【配信】ファンアートについて
さて、家に着くと9時半ぐらいになっていた。さっそく手を洗って、ご飯と配信の準備をする。なかなか画角が決まらなくて頑張って私たちと食べ物が写るようにしようとした。
結局10分ぐらい悪戦苦闘した後の「食べてからで良くない?」という優斗の言葉で、食べてから配信することにした。こういう時もっと早く決断できたらいいのにと思う。
そんな事を思いながら、メックを食べる。私が「おいしいね」と微笑むと優斗は「そうだな」と微笑み返してくれた。お昼は食が細ってたから今の食事がちょうど良いぐらいだった。
それから20分ぐらい経ったころ、優斗に「そろそろやるか?」と聞かれたので、「うん」と微笑み、配信ボタンを押す。不意の内カメは怖いけど、意図した内カメは大丈夫。
「皆、こん夢幻桜。夢幻桜輝奈子です。と?」
「俺はやらねぇぞ、輝奈子。優斗です」
『いきなり、振られたんだろうな』
『まさかの不意打ち』
『不意打ちで草』
色々思い出して「あっ!!」と呟くと優斗に「どうした?」と聞かれたから「えっと、今日寝てたじゃん?メイクバッチリしてたのね。どうなったかな?って。流石にメイクしっぱなしで寝るの肌に良くないし」と捲し立ててしまった。
「あぁ、それな。平松さんがメイク落とししてたぞ。拭き取るタイプとか言ってたな。俺も今言われて思い出した」
「よかった。また、ありがとうって言っとかないと。優斗も今日ありがとね」と微笑む。
『相変わらず仲良しで草』
『普通、人の幸せを妬みたくなるけど、面白すぎて続きを読みたくなる小説みたいなカップルよな?』
『↑それな。禿同』
『禿同使ってるの結構上じゃない?』
「で、何か配信始める前に言おうとしてたことあっただろ?忘れてないか?」
「ぅうぉあっ、そうそうファンアートの件だよね。ありがとう。今思い出した。えっと、この前、配信で使っていいか聞こうと思ったんだけど、使っていいファンアート専用タグいるかなって」
『あると助かるかも』
『私の作品ならいくらでも』
『私ので良ければいくらでも使ってください』
『私もいくらでもどうぞ』
「とりあえず、ファンアートの使っていい奴のタグ作ろうかな。やっぱり嫌な人もいると思うから。何か案ある?」
「俺は使ってくださいアートとかしか思いつかん」
『安直で草』
『きなこさん使ってください』
『輝奈子様向けアート』
『きなこもち献上用』
「どれもいいなぁ。個人的にはきなこもち献上用いいな。ファンネーム入ってるし。献上用はちょっと私を崇めすぎてる気がするからもうちょっと変えてもいいかもしれないけど」
『むしろ、使っていだたくのが申し訳ないだけなので、どうぞお収めください』
『使っていただけるならいくらでも。本当、私の作品なんて使っていただけるものではないと思いますが』
『絵描きさん自尊感情低くて草』
『きなこアートで良いので、嫌な人だけ外すとかでどうだろうか?』
「投票してみるね。えっと、どうやってやるの?」
「これ押して、これやったらできるらしい」
「できた。ありがとう」
『投票作るだけなのに、この笑顔はズルい』
『単純作業なのに、この笑顔である』
『可愛すぎるから、すぐに描きました。すぐ作り上げます』
こうして、私は投票を作った。候補は3つ。1つ目は、きなこアートをそのまま使って、嫌な人だけ外す。2つ目は、きなこもち献上用。3つ目は、その他。
「投票は作れたから皆投票よろしくね。その間にマシュマロ返していくね。まずは、『配信前どんな準備してますか』との質問ですが、私は何もしていません。優斗は?」
「俺も特にしてないな。そもそも、輝奈子が急にしようと言い出すから準備ができん。でも、楽しいからいいんだけどな。俺もマシュマロ返していくわ。まずはこれ『配信前は緊張しますか?』とのことだが、俺は慣れてきたかもな。輝奈子がいつもいきなり本番ですぐ配信回すから」
「私も最近は慣れてきたかも。大体ぶっつけ本番でノリと勢いでやっています」
『ノリと勢いだけでこの夫婦漫才ができているなら魂レベルで相性よさそう』
『準備しないのかよ』
『やっぱり生絞り的な配信ていいよな』
「次のマシュマロはこれかな。『定期的に回転掛けたい日があると以前聞きましたが、今日は何回転の日ですか?』っと。そうね。今日は下回転かな。個人的に好きなのは横回転」
「そのマシュマロ拾う必要あった?俺にとっては何を知りたくて聞いてるか何一つわからん」
『それな』
『質問謎すぎるけど輝奈子さんを眺められるの最高』
『初見です。歌手と小説家って両立できるのですか?』
「初見さんいらっしゃい。なんかできちゃったんですみません。舐めてるわけでもなく何とも言えないのでこのぐらいですね。どこから知ってくれたのかな?」
『ホラゲー実況が好きで見てたら、英語の勉強になったから』
『塾のリスニング音源が輝奈子さんだと思ったから』
『どこの塾だよ』
「塾でも流れるんだね。確かにどこか2社ぐらいの塾から依頼来て撮ったなぁ」
「リスニング音源もしてるのかよ。歌手で小説家でリスニングテスト音源系Wetuberってわけわからんわ」
『マジでどこに向かっているかわからないから見てしまう』
『どんなアニメより面白い人生で草』
「あ、そういえば、TSしたって言ったのに誰も聞いて来ないの時代かな?」と私が投げかけると優斗は「そうじゃないか?今はジェンダーとか選択的夫婦別姓問題とかあるだろ?」と返してきた。
「あーーーね。あるとは思うけど、人権に配慮して何も言えなくなるのは本当に権利を行使できてますか?ってなるから聞いてくれてもいいんだよ?」
「なら、TSして困ったことは?」
「うーん。下着がわからんかったぐらいかな。今の時代ネットで出てくるし、調べればいいだけだから。トイレは男性でも座ってするしなぁ。あ、初めての時は勢いわからなくて困ったかも。下が微妙に見えなくて」
「そうなのか。確かに結構あるもんな」との優斗の発言に「えっち」っと頬を染める。
『声が可愛すぎて無限に使える素材を見つけてしまった』
『輝奈子さんにえっちと言われたい人生だった』
『初見です。TSしたと聞きましたが、服のサイズは困らなかったんですか?あと、お2人は付き合っているのでしょうか?』
「たしかに多くの話だと背が縮んでサイズダボダボとかランジェリーショップで困るとか化粧困るとか聞くけど、もともと華奢で骨格が細かったし、身長が158センチとかいう女子平均だったせいで期待したほど何もなかったよね。髪の毛のアレンジもあまりしないし、化粧も必要があればするくらいかな。下着のサイズは店員さんに任せたし、着け方は調べた後、何回か練習した」
「最近化粧したのいつ?昨日と今日は除いてな。付き合ってるかって質問だが、この前、輝奈子の実家に連れ込まれ親父さんと酒飲んだ。で、風呂で語り合うこともしたし、お母上と料理した」
『もはや結婚前提なのか』
『さて、輝奈子さんの最終お化粧日は?』
「記憶にございません。多分優斗に「性別変わった」って言った日だと思う。いや、違うわ。クリスマス前の12月18日だわ。あの時のメイク覚えてるでしょ?」
「お、おう。女神みたいだった。今のノーメイクも好きだし、自然体ならではの良さがあるけど、アレは女神だった。あ、プリクラの時もしてなかった?」
「あーーーーーーーーーーーーー。してたね。今思い出した」
『さすが歌手。「あーー」のロングトーンえぐくて草』
『なんだかんだ化粧してるんだ』
「つい、2日前だろ?辛いなら配信終わるか?」
「大丈夫。あと、ファンアートの件見とかないと」と言うと優斗が「投票だな、きなこアート続投が優勢で、コメントで『きなこアート』という字面が可愛いし、輝奈子さんに使ってもらえたら光栄だし、自信が着くからってものが多いな」
『きなこアートってタグ考えた人天才すぎる』
『平仮名なのが最高』
喋り続けてて喉が渇いたから「優斗ごめん。のど乾いた」と言うと「お茶でいいか?コーヒーもあるけど」ともう準備をしてくれていた。
「とりあえずお茶がいい」
「了解」
優斗がお茶を持って来てくれたんだけど、コメント欄には『コーヒーはいいぞ』とか『コーヒー飲んでください。お願いします』とかが溢れてて、一種の狂気を感じた。
『初見勢にはホラゲ実況を勧めるんや』
『あの不可侵の寝顔は女神』
『不可侵の寝顔って何ですか?』
『↑見たらわかるのでこの配信のあとアーカイブ掘ってこい』
『了解です』
『初見です。好きなお寿司のネタは何ですか?』
「私は、あん肝と山かけまぐろと、あったら白子かな。優斗は?」
「俺はそもそも寿司屋行かないかも。生魚苦手だし。食べるとすると玉子とか海老とかかな」
「そうだよね。うち、よく回る寿司に行くから窮屈じゃなかったらいいな。うちの人結構ナス苦手だし」
「すまん。気を遣わせて」
「ううん。お互いに食の好みとか共有してないとね。別れたくないから」
「それは俺もだ。俺も生魚頑張ってみるか。輝奈子はナス頑張って食べてたもんな」
「焼き魚は大丈夫って聞いた。でも頑張ってくれるなら嬉しいな」
「おう」
優斗が私の頑張りに気付いてくれてるから、親の方はいいかな。優斗も生魚のおいしさを知ってくれると嬉しいんだけど、私がナスのおいしさわからないように難しいだろうなぁ。それでも、一緒にいられることって嬉しい。だから私も頑張るのだ。
『輝奈子さんのメニュー、痛風待ったなしで草』
『食の好み割とおじさんな輝奈子さんで草』
『美少女TSおじさんリスニング音源系Wetuberがトレンド入りしてる』
『初見困惑で草』
『可愛すぎて浄化されそう』
『ナスを頑張って食べている輝奈子さんの絵お願いします。絵師の方』
『絵師です。頑張ります』
「今回も盛り上がってるね。ナス食べてる私って需要あるの?」
「あるな。もう一回やりたいことの1つかもしれん」
「え?そうなの?」
そう返す私は優斗と麻婆豆腐ナスを作った時を思い出していた。あの時は出来合いのものを使わずに全て自分たちで手作りしたのだ。それだけではなく、「あ~ん」と口を開けて優斗にナスを口に入れてもらったのだ。あの時の表情は記憶にないけどそんなに可愛かったんだろうか。
「めちゃくちゃ可愛かったぞ。なんかほかの物を口に入れてしまいたくなるような顔だった」
『これはネタになるぞ』
『一体ナニを入れようとしてるんでしょうかね?』
優斗の言葉に「何を入れようとしてるの?エクスカリバーとか?」と割とガチでエクスカリバーを発音しながら返すと優斗は「お、おう。いや、違うからな。あと今日はしないからな。輝奈子、今日はダメって知ってるよな?」と戸惑っていた。
『ガチ発音のエクスカリバーで草』
『言ってることエロすぎて草』
『「今日は」ってことは結構するのか?』
『割としてそうな発言は多いな』
「それに関してはノーコメントにしとくね。流石に生々しいから。えっと、で、投票どうなった?」
「投票の結果はきなこアートそのまま使うことになった」
「そうなんだ。えっと、これってこのタグ付いてたら使って良いという解釈でいいのかな?」
『その通り』
『むしろ、使っていただけるならいつでもどうぞ』
『アンチです。流石にDMで一度確認は入れてほしいです』
「了解です。ありがとうございます。アンチさん。あ、そうだ。アンチ用のタグ作る?」
『アンチ用のタグを本家が提案は草』
『何のため?』
「ホントにどうして傷つこうとする。アンチってなかなかきついだけだろ?どうして?」
「あ、意味わからないよね。このタグを作ろうと思ったのには理由があって、イェスマンだけだと増長して変なことをしてしまうかもしれないから、その時のお諫め枠みたいなタグが欲しいなって。世界見渡すと色々思い当たるでしょ?」
「なるほどな。いや、心配いらんだろ。俺もいるのに」
「今は、ね。でも、就職で一回離れるでしょ?だから作るの。ちなみに、このタグは本人が巡回します」
「聞いてる限り自分から傷付きに行ってるだけの人に思えるが」
「つまりこれは相互監視みたいなものかな。過剰なものは通報及びミュートします」
「で、タグの名前は?」
「候補貰おうかな」
『お諫め輝奈子さん』
『それは違うよ輝奈子さん』
「それは違うよ輝奈子さん、良いね。お諫め輝奈子さんもいいんだけど。投票してみようか。5分ぐらいで」
「アンチ用にタグ作るWetuber史上初だろ」
『初のアンチと相互監視をしようとするWetuber』
『増長しないように監視システム作る有能』
「その間何話す?ネタなくなってないか?」
「そうだね。何か聞きたいことある?」
『初見だったものです。最近も一緒に入ったりするんでしょうか』
『久しぶりの風呂ネタじゃねぇか』
「そうだね。一緒に入ることも多いと思う。今日はどうだろ。ね、優斗?」
「お、おう。どうだろうな。とりあえず、言えるのは今輝奈子の裸体見ると暴発しそう」
『顔と服着てる状態でさえネタになりそうなのに、裸体見て暴発しないのは無理ゲー』
『それな』
『この前のフィットネスリング配信見たか?』
『アレは禁止だろ。あんなのは伝説以外の何物でもない。あのエロスは18禁』
「そういえば、投票どうなった?あ、自分で見るわ。なるほど。『それは違うよ輝奈子さん』で決定です。直接目に届くということを意識した投稿をお願いします」
「なんか凄いな。アンチまで意見を取り入れようとするなんてな」
「そうかな。単純に欲張りなだけだよ」
「そうか。そろそろ終わるか?」
「そうだね。おつ夢幻桜。皆の夜にも彩を」
『おつ夢幻桜』
『おつ夢幻』
『おつ夢幻桜』
配信を閉じて、私が「そういえば、お風呂どうしよう。私、血が出るから今日はシャワーにしようかな。優斗は?」と優斗に振ると「オレもシャワーでいい。辛い時は、無理しなくていいからな」と返ってきた。
「ありがとう。先に入っていい?」
「おう。なんかサポートいるなら言えよ。できるかわからんけど」
「ありがとう」
さて、お風呂に下着と女の子セットを持って行く。
「パジャマ忘れたのか?」
「そう。さっき思い出してどうしよう。借りていい?」
「おう。ちょっと待ってろ」
そう言って優斗がパジャマを持って来てくれた。
今日は一緒に入れないなぁと思うとなんだか寂しくて、よく入る優斗の家の風呂なのになんだか広く感じてしまう。
髪を洗って体を洗う間も、優斗が一緒に入ってないことに違和感を感じてしまう。寂しい。やっぱり優斗といたい。トリートメントが終わってクレンジングとか洗顔とかをして風呂から出る。
私は「優斗、ちょっと抱き締めてて髪濡れてるから嫌かもしれないけど、寂しい。優斗の体温感じてたい」と飛び付く。優斗のパジャマに包まれながら優斗に抱き付くという贅沢。最高だ。
優斗は「お、おう。いい匂いするな。体調どうだ?」と心配してくれた。「大丈夫。ありがとう」と返しながら、優斗の胸に顔を埋める。安心する優斗の香りがした。
「んんぅ♡、いい匂い。安心する」
「そうか。声やばいからな。アニキ忘れてないか?ソウイウ日なんだろ?」
「あ、うん。そうだね♡わかってる」
いけないのにムラムラしてしまう。あぁ、どうしよう。ドライヤーしなきゃと思い出した時、優斗が「そろそろ風呂行っていい?色々やばい。あとドライヤーしなくていいのか?濡れたままだと気持ち悪くない?」とドライヤーを手渡してきた。潮時だ。
「ありがとう。出たら映画とかみる?」
「そうだな」
優斗が風呂の準備をして行った。どうしよう。物凄くムラムラしてしまう。今、何を脱いでいるんだろう。1人ぼっちで寂しくて、初めて1人で胸をいじる。
男の子の時は、乳首をいじっても特に何もなかったのに、感覚が違う気がする。でも、なんだろう。1人でイくのは違う気がして、やめた。
そんな事をしてる時に優斗が出てきて「なにしてんだ?」と声をかけてきた。見られてたのかな?と焦って、「いや、何も。あ、の、さっきの見てた?」と優斗に言うと「何を?」っと返ってきた。
良かった。見られてなかったんだ。でも、何か物足りなくて、「えっと、優斗のエクスカリバー握りたい。眠たいのに、寝れないの。優斗を感じたい」と誘ってしまった。
「ちょっ、待て。今日は、やめとけ。付いたままになって妊娠とかしたら大変だろ」
「そうだね〜。でも、優斗は止まれるでしょ?ごめんね。休んで貰ったのに今日は迷惑かけっぱなしだなぁ。だから、ご奉仕しようかなって」
「ありがとう。ゴムつけるわ。ちょっと待て」とゴムを付け始めた。やっぱり男の子なんだなぁっとどこか他人事で見ている私がいた。
「そこ座って。私は寝ちゃうかもしれないから寝転がってするね」と私の頭の横を示すと優斗は「お、おう」と戸惑いながらも座ってくれた。もちろん、あぐらで。
ゴムをつけててもやっぱりエクスカリバーのたくましさとか温度を感じてムラムラする。結局いつも優斗の璧の部分をさわさわしてしまう。やっぱりこの重量が好きなのだ。
左手で優斗の璧をいじりながら、右手で竿を触る。やっぱり太さがあっていい。ムラムラしてしまう。璧の部分を少しだけ舌でペロッとしてみた。男の子の味がした。
しばらくすると眠たくなって、闇に満たされた。夢の中で、優斗と抱き合っていた。あー。今日も嬉しかったなぁ。明日はどうしようかな。今日来たし、明日は、大丈夫だよね。
明日は、何をしようかなー。おやすみ、私。