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おはよう、夜だけど。

いつも読んでくださってる方ありがとうございます。

「うーん。よく寝た」


目が覚めるとそこは見慣れた天井だった。やばい、寝すぎたかも。腰も痛いし、肩も痛い。肩を回しながら、すっかり暗くなった部屋を見渡した。少しぼんやりとした頭で思い出してみよう。たしか、お昼ご飯食べて、コーヒー飲んでそれからどうなった?


あー。寝落ちしたんだっけ?今何時?あれ?優斗寝てる?ずっと見ててくれたのかな。そういえば、皆はどこに行ったんだろう。優斗が送り出したのかな。私に「無理するな」なんて言いながら優斗も疲れてるじゃん。でも、この寝顔を久しぶりに見られたことが嬉しくて、こっそりと写真に残す。あとで、説明はするんだけど。


どうしよう。優斗の体温をリアルに感じたい。寒いし、温めてもらいたいから、横で寝落ちしている優斗に抱き着いて、一緒に布団に入る。あ、そういえば何時なんだろう。そう思って暗い中、携帯を開く。7時だった。とりあえず、血が付いたものを交換して、綺麗なものにかえる。やっぱりまだ頭は痛いけどちょっとましになったし、一緒にいられることが嬉しくて、もう一度布団に戻って抱き着いて寝る。


あったかい。優斗のお腹も背中も全部大好き。手も握りたい。キスは止めておこうかな。上に乗るのは重たいかもしれないけど、もたれかかるくらいいいよね。ちょっとだけだからと言い訳して、優斗の下腹部に手を伸ばす起きちゃったらどうしよう。でも、このドキドキには逆らえない。やっぱり、玉の重さが結構あるし、エクスカリバー自体も結構あると思う。


どうしよう。ムラムラしてきちゃった。今日はダメ。わかってる。だから、ぴったりと優斗にくっつく。そして優斗の匂いを胸いっぱいに吸い込む。大好きだなぁ。あ、今日パジャマ忘れたから、この格好のまま寝なきゃじゃん。お風呂のことは後で考えよう。もう一度、瞼を閉じると、すぐに落ちた。


「輝奈子、大好きだぞ」

「わかってる。私も優斗が大好き」

甘ったるい夢かもしれないな。これは砂糖吐きそうだからやめてほしいな。夢の中でやるにしても、もっと、こう、あるじゃん。しかも、次のシーンでは優斗のエクスカリバーを口に咥えていた。やっぱり、男の子の匂いだなぁ。かっこいい。


多くの小説を読んできた私だけど、2か月でこんなになるとは思って、いな、否、思ってたな。私はなると思ってた。でも、2か月で一線を越えるとは思わなかった。だって、元彼女とは4か月たってもしなかったのに。それは、彼女が親の呪縛にとらわれていたからと言うのもあったが、それにしても、まさか2か月で優斗と一線を越えられるとは思わなかった。


夢の中だと思うが、優斗が手を握ってきたので握り返す。男の子の握力だなぁ。かっこいい。昔の私、例えば、そう、15の僕には信じてもらえないと思う。当時の俺から今の私に向けて書く手紙には彼女出来てますか?宿題とか提出物とかちゃんと期限内に出していますか?なんて不名誉なことを書かれそうだ。主に、提出物の件。


荒れた青春の波は厳しいとか聞いたけど、アレは楽しかった。それよりもこれからのアラサーの波とアラフォーの波、アラフィフの波がの方が何倍も心配だ。主に、炭水化物と糖質。ポテチ好きだし、炭酸もよく飲んでたし、血縁に高血圧多いし、お酒好きだから。激太りする未来しか見えない。体型維持頑張ろう。


割と最近まで、彼氏ができるとは思っていなかった。パートナーとして優斗を好きになったのは奇しくも元彼女ができて何か月かしたときだった。私は引っ張るのが苦手だった。だって、自分自身の選択に責任を持てる気がしなかったから。それまですべてを親の責任にして逃げてきた男は、責任を取るということを本当の意味では理解していなかった。


でも、優斗は自分自身の選択に責任を持っている気がしたし、義理と人情に篤いし、リーダーシップあるし、優しい。カラオケの時、優斗はよく優斗の歌をいっぱい入れてから、「割り込みで予約して」と私に言うところがあるけど、不満なんてそこぐらいだし、私が気遣えるところなんてそこしかない。優斗って良いよね。やっぱり大好きだ。


目が覚めて、「うーん。何時?」と私が言うと、優斗が「おう、起きたか。俺もさっき起きたとこだが、9時だな。飯どうする?」と聞いて来た。どうしよう。美容的には食べない方がいいに決まってる。でも、お腹空いてるし、数少ないかもしれない優斗とご飯を食べる機会なのだ。私は悩んで「優斗は何の気分?」と相変わらず丸投げする。


「俺は、軽めにメックかな」

「良いね。メダネル。私、ツヴァイチーズバーガーにする」

「その略し方は独特。俺は照り焼きにしようかな。ナゲット食うだろ?」

「うん」

そんな会話をして、家を出ようとすると優斗に「頭痛いとか言ってなかったか?無理しなくていいぞ」と言われたので「大丈夫。一緒に行きたいし、女の子1人で置いて行かれる不安わかるでしょ?」と頬を膨らませる。「そうか」と相変わらず、ふにっと押して可愛くない音をさせる優斗がいた。


冬の寒空の中を優斗がくれたサブバッグに財布と家の鍵と携帯とエコバッグだけ入れて、クリスマスの前の週に着たり、思い出の日に着たりした服装で一緒にお出かけする。もちろん、恋人繋ぎで。漆黒の闇夜で離れて迷子にならないように、捕まえておいてもらうの。もちろん、私も捕まえている。優斗の手はいつも温かい。きっと心の温かさが手にもにじみ出ているのだろう。


きっと、優斗となら幸せな家庭を築ける気がするし、お互いに幸せだと気付けそうな気がする。今日食べるのはファーストフードだけど、それもなんかいいよね。太ってプニッとしてきたら、ダイエット付き合ってもらおう。


私が「寒いね。まだ冬だから」と微笑むと、優斗は「おう。そうだな」と不器用に笑って返してきた。かわいい。やっぱりかわいいな。


「いや、かっこいいじゃないのかよ。あと、かわいいって言葉は輝奈子の方が似合うと思うぞ。もちろん平仮名の方な。漢字もいいけどな」


私は驚いて「えっ?もしかして口に出てた?うそっ。どこから?」と返す。そんな私を見て優斗は「その表情もいいと思う」となんかイケメン男みたいな事を言ってきた。かっこいいし、似合ってるけど、イケメンかと聞かれるとイケメンというよりはハンサムなんだよね。


「そんなイケメン男みたいな事、言わないでよ。優斗はイケメンみたいなチャラ男じゃないんだから。どちらかというとハンサムな西洋系だから」


「何が違うのかわからんけど、すまん」と申し訳なさそうな優斗に「謝らないでよ。私は優斗だから好きなんだよ。優斗も私の事が好きだから看病してくれたんでしょ?」と訴えかけながら、恋人繋ぎした手を自分の胸の間に押し付ける。優斗は「お、おう。体調大丈夫か?」と心配してくれた。


なんかそんなやり取りが楽しくて「うん。大丈夫。帰ったら晩酌配信しない?」と提案する。優斗は「体調大丈夫ならいいけど、また倒れるなよ」と相変わらず心配症だ。私は「大丈夫。2日間ありがとね。迷惑かけてごめん。来月から1人で頑張らないといけないもんね。私、強くなる。守られなくても戦えるくらいに」と決意を新たに繋いだ手を握りしめる。


優斗は「おう。でも、1人で抱えすぎるなよ。アニキはよく1人で抱え込むだろ」と言っているけど、私も「それは優斗もでしょ?お互いに週1回ぐらいは話そうよ。あと、月1の重い日は声聞きたい。優斗の声に救われるから」と微笑んで言い返す。


優斗は私の言葉に「そうだな。俺の声でいいなら。時間会わなかったらすまん」とまるで先を知っているかのようなことを言ってきた。もし、3年ぐらいずっと話せないことになったらどうしよう。ずっと、一緒にいたいし、同じ墓に入りたいし、来世でも同じように夫婦でありたいと願ってしまう。


この私の胸の音が優斗にも届いているといいなと思う。寒い冬でも優斗と過ごすとそれだけで温かい春のような心のぬくもりを感じる。こんな日がいつまでも続いてほしいと願っている。もしかすると暫く手に直接触れることができない日が来るかもしれない。そんな時でも優斗の手の感触とか音頭とか握る強さとか、優斗の声とか匂いとかを思い出せるように、こんな些細な瞬間でも記憶から消したくない。


黙っている私を不思議に思ったのか優斗が「どうした?頭でも痛い?」と心配してくる。私は「大丈夫。一緒にいられる時間を噛み締めてたいなって。かじかむような季節だけど、少し嬉しそうな優斗を横でいつまでも眺めてたいなって、何年先も何十年も何千年、何億年も。ずっとそばで」と言った後、我慢できなくなって、優斗の頬にキスをする。


優斗は相変わらず「お、おう。急だな」と戸惑っている。やっぱり、私よりも優斗の方が可愛いと思う。今時の男の子にこの初心さは出せないだろう。どこか奥手な優斗って本当に可愛くて愛おしくて、いつまででも一緒にいられる気がする。


なんだか長いような短いような時間の後、メダネルに着いた。私はツヴァイチーズバーガーとポテトのセットにアイスティを付けてフレッシュは貰うだけ貰っておいた。たまに味変したくなるから。


優斗は相変わらず照り焼きバーガーとポテトのセットとナゲットを買っていた。ドリンク何飲むんだろう。ソースもマスタードとバーベキュー両方買ってるし。優斗って何でこんなに優しいのだろう。


元彼女を貶すつもりはない。けど優斗と比べると優斗の方が私を分かってるし、優しい。いや、献身的だ。あ、そういえば企業の健康診断また受けに行かないとなー。いつやった?相変わらず、スケジュール管理が苦手だから、桶場さんに丸投げしている。


だから、介護の仕事を始める前に、休止するつもりだけど、おそらく個人的にやりとり続けてしまいそうだ。なんとなく、Strengthとしての活動休止をして、夢幻桜輝奈子として活動を開始します。みたいなことになりそうだ。


なったらこう言おう。「なんでやねん」と。また、脳内の世界にアクセスしてて、黙ってしまった。優斗に「大丈夫?疲れてない?」と聞かれて「大丈夫。あ、そうだ。帰ったら晩酌配信するでしょ?机ちっちゃいからパソコンどうしようって感じだけど、2つあったし、なんとかなるよね?で、マシュマロ募集しとくね。あと、ウィスパーも」とまくし立てる。


優斗は「そうだな。募集はしてるんだろ?帰るか」と手を差し出してきた。私は「そうだね。なんか楽しいな」と微笑んで繋ぎ返す。相変わらず少しだけ痛いけど、幸せを噛み締めながら、2人とも繋いでないの方の手で荷物を持ちながら歩く。やっぱり、雪が綺麗と笑うのも、舞い散る桜を儚く思うのも優斗と一緒にしたい。


「どうした?さっきからニマニマした表情して」

「え?そんな顔してた?もしかしたら幸せだからかも。優斗とこうして歩けるのも嬉しいから」

「そうか。俺も」


相変わらず表現が乏しいな。でも、幸せを同じように感じてくれてるなら、やっぱり私の感性は間違ってなかったのだろう。せっかくだから、聞きたいこと聞いてみようかな。なんだか、居心地のいい沈黙が重くて、口を開きにくいけど、「優斗って夜桜になる覚悟ある?」と聞いてみた。優斗は「輝奈子が、中津浦になるんじゃないのか?」と聞き返してきた。


だから、私は「もともと長男だったし、個人的にこの名前気に入ってるから、夜桜優斗になって欲しい。あと、通例で女側が苗字変えること多いじゃない?私はそういう不平等を変えたい。変えない権利は平等にある。でも、それを使うことができるかどうかが違うと思うの。過去の伝統に引っ張られて、基本的な平等が欲しい。あと、都合がいいから女性の権利を認めてほしい」と優斗に返す。


「たしかにインフルエンサーとしてはそうだろうな。俺も、ばあちゃんの説得頑張るわ。いいって言ってくれそうな気はするがな。あと、女性の権利を認められたいって何?」


「えっと、たまに育児をパパに任せる権利とか、家事を押し付ける権利とか、だらだらゴロゴロする権利」


「輝奈子の場合は認めざるを得ないな。介護しながら歌手の仕事するかもしれないんだろ?それなら多分休む義務になるだろうな。休め。壊れるな」


「ありがとう。やっぱり離れるの本当は寂しいけど、お互いに欲しいものあるもんね。優斗はゲームかな。私の場合はお互いに余裕ができてからでいいんだけど、子供が欲しい。優斗がこの世界のことを苦しい世界だと思ってるのも知ってるけど、子供をそんなに簡単に生むような無責任さもないけどね」


「そうだよな。輝奈子もだいぶ先を考えてから責任取ろうとしてるもんな。たまに、めちゃくちゃ人任せだけど」


「わかってる。ごはんの時とか今日何する?とかだよね。今日の配信どんなこと聞かれるかな。あ、ファンアートの話しよう。使っていいファンアートは#使用可って付けてもらおうと思うけどどう?」と優斗に返すと「それだと、乱用されるかもしれないだろ?まぁ、帰ってから配信の時考えればいいんじゃないか?」と正論が返ってきた。私は「そうだね」としか返せなかった。


ちなみに、私が好きな紅茶はダージリン。セイロンティーもいいけど、ダージリンが結局オーソドックスで飲みやすくて好きだ。あ、今日アイスティーにしたけどあったかいお紅茶にすればよかった。お腹冷えるかも。どうしよう。困った時は温めてもらおう。


アールグレイもあーるグレイ。




冬の冷気が私の体を冷やしていく。でも、そんな季節でも優斗と話しているとどんな瞬間も心がぬくもっていく。本当にカイロみたいな人だと思う。エジプトの首都じゃなくて、温めるやつね。赤道が近くて暑いほうではない。勘違いする人いないと思うけど。ちなみに私の人生は迂回路が多い。何してんだろ。


さて、帰ったら配信をしよう。楽しみだな。今日はどんな話をするのかな。あ、桶場さん寝てるかな?大丈夫だよね。2時間だけ枠取っておいてもらおう。箱じゃないからいらないかもしれないし、個人だからいいとは思うけど、ブランディングとかあるし。コンプラは大事だから。


黙ってたらまた優斗に「どうした?」と聞かれたので、立ち止まって優斗の頬にキスをして「こういうこと」と返す。その答えに優斗は「どういうこと?」と戸惑いながらも私の頬にキスしてくれた。心の中をぬくもりが満たす。


ああ、幸せ。もうすぐ優斗の家に着く。ホカホカのポテトと一緒ぐらい温かいことをした気がした。さて、配信が楽しみだ。ネタたくさんあることを祈ってるよ。お疲れ、私。



いや、まだ飯食ってねぇんだわ。








何か主人公に聞きたいことはありますか?次回は久しぶりの配信回になると思います。

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