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おうちデート in Kinako's House

オカンに「今日彼氏泊まらせていい?」と聞くと、「奏音いるから不安だけど」と返されたので、「奏音も割りと大人だし、うちの彼氏奥手だから、懸念事項は起きないよ」と返しておく。


オカンからは「了解」と返ってきた。


私は優斗に「昨日言ったけど、今日うち来て。親には説明してあるから。あと、父上と一緒に飲みに行こう。実質的結婚あいさつかな」とイタズラっぽく微笑む。


「気、重!覚悟決めたとか言ったけど、揺らぎそう」とイタズラ返しされた。だから私は「優斗と一緒に飲みたいな。前、日本酒飲んでみたいとか言ってなかった?あ、泊まれるように下着とか持っといてね。いつも泊まらせてもらってるから」と上目遣いで訴えかける。


「しょうがないな。明日バイトなんだけど」

「知ってる。ごめんね。その代わり、元気付けてあげる」

「そうか。説明頑張れよ」

「一緒に行くんでしょ?」

「そうだったな。準備するから待って」

「了解」


その後、父さんに「今日飲みに行かない?」と送っておく。


私は片手に自転車を持って歩いてる。「優斗もチャリで行かない?」っと聞くと「チャリ壊れてる」らしくて歩きだ。手も繋げないから悲しいけど、仕方ない。


優斗は遠慮がちに「ホントにいいのか?俺も説明するけど、アニキが説明するのが主だろ?あと、その、女子の部屋に上がるの初めてで」と言っていた。私も実は思春期を超えてから女子の部屋に入ったことはない。と言おうと思ったけど妹居るから普通に入ってるわ。何なら今私がいるの女子の部屋だわ。私女の子になったし。


「初めてではないでしょ?妹さんいるの知ってるから」

と私が茶化すと「いや、妹はノーカンだろ」と返ってきた。


「なら、1年で帰った回数分ぐらいしか私も入ってないなぁ、女の子の部屋」

「本人もノーカンにしなきゃいけないんじゃないか?ってか、アニキの部屋に遊びに行くこと自体が初めてだな。アニキの家の前まで行ったことはあるけど」

「そうかもね」


そうこうしてるうちに家に着いた。話す順番を整理したけど、結局まとまらなかった。まぁ、いいや。家に着いてカギを開ける。帰りなれた家のはずなのに、物凄く緊張する。緊張しすぎて、優斗の手を強く握った。


「どうした?なんかできることある?」と聞いてくれた優斗に「帰りなれた家なんだけど、親と話すの緊張しちゃって。うまく話せないかもしれない。話す時、手、握ってていい?」と返す。優斗は「おう。それでいいなら」と返してくれた。


私がドアを開けると、優斗が「きれいな家だな。お邪魔します」と緊張してそうだったから、私は「これから、ただいまって言ってもらえるように今日頑張るね」と微笑みかける。


優斗は「そうか。俺も頑張るわ。何が出来るかわからんけど」と言いながら、一緒に入って行く。


「ただいま」

「おかえり。彼氏さん?」

母上は、「やっぱり、そうだったのね」って顔をしていた。


優斗は「お久しぶりです。中津浦優斗です。娘さんにはお世話になっております」と普段なかなか見られない丁寧な対応に笑ってしまいそうになる。会うのは2回目のはずだから理解はできるけど。


母上が「どこまでいったの?」と微笑みながら直接なことまで聞いてくる。優斗が「それは、えっと、最後……」っと言いかけてたから「ちょっと、恥ずかしいから」っと慌てる。


母上は「お似合いね」と茶化してきた。その後私にだけ聞こえるように、「男子だったこと言ったの?」と聞いてきた。だから、私は「言ったよ。で、話があるの。父上には後でいいよね?夜、居酒屋行こうかなって話してる」と返した。母上が「飲みすぎないように。あと、彼氏さんは連れて行くの?」っと聞いてきたので「そのつもり。もう優斗には話してある」と返す。母上が優斗に「不束な娘?だけどよろしくね」と言うと優斗は「その、綺麗ですし、いつもお世話になってるので娘さんが俺を選んでくれる限り、頑張ります」と返していた。相変わらず口下手でホンマに不器用。「なのになのにどうしてさよならは言えたの?」なんて聞く未来が来ないことを祈っている。


で、リビングに移動して母上がコーヒーを沸かす。優斗が「コーヒー飲んで大丈夫か?いつも結構寝てるだろ?」と心配してくれたから「大丈夫。そんなに話さないでしょ」と返しておく。


優斗がコーヒーを運んでくれたり、お菓子をテーブルに運んだりしてくれたから、私は動けてなかった。こういう気の利かないところがよくないことを知っているんだけど。


「で、話って何?」と母上が口を開く。私は「えっと、まず、就職は歌手になろうと思う。あと、小説家。あと、WETUBER。介護の仕事も良いんだけど。300万人のファンと楽曲を待ってたり、小説を待ってる人がいるの」と口を開く。


母上は「小説も歌手も趣味ですればいいんじゃない?仕事あるうえでできるのがいいと思う。何で介護やめるとか言い出したの?」と詰め寄ってくる。私が「今まで言ってなかったけど、収入月に75万のカラオケ印税が入ってるの。あと、ギターとして優斗をバンドに入れようかなって」というと母上は「何言ってるの。そんなことあるはずないでしょ」と言ってきた。


だから、風呂場でよく歌っていた『caught in a shower』を歌ってみた。たぶんニュースに出てたし、わかるでしょう。優斗が言ってたし、あと、大学がやばいことになってたし。母上はやっと気づいたのか、「なるほどね。そういうことなら仕方ないわ。ちゃんと連絡しておくのよ」と納得してくれた。


さて、結婚どうしようかな。着いていくのか、それとも私について来させるか。いや、東京行けばよくない?それよ!とガッツポーズしたのを優斗に見られて「どうした?」とツッコまれたのは、少し恥ずかしかった。やっと落ち着いてコーヒーが飲める。


眠たくなってきたので、自分の部屋に優斗を招く。私の部屋は床がライトブラウン系でダークブラウンのベッドがある。掛け布団は最近ピンク色のカバーに変えた。片付けてもらっておいてよかった。


「なんというか、普通の部屋だな。ところどころ凄く女の子だけど」

「そうかな?これでも結構頑張ってるんだよ。ピンク色の布団カバーとか。香りが何もないけど」

語尾が少しふわふわした気がする。あ、父上の返事どうだったかな?お昼ご飯もしなきゃ。


「どうした?眠い?」

「最近忙しかったから疲れてるみたい。父上からTXTが来るのとお昼ご飯作らないといけないんだけど。眠たい」と頑張って身体を起こそうとすると「無理はしなくていいと思う。疲れてるなら寝ろよ」と優斗が言ってくれた。だから、パジャマに着替えようとすると、「俺、出とくから」と部屋を出て行かれた。数分後呼び戻して、優斗に携帯を渡し、パスワードを教えておいた。


いろいろ見られるのは恥ずかしい気もするけど、優斗なら大丈夫だと思った。優斗は「いいのか?その、見ようと思えば何でも見えてしまうわけで。さすがにダメじゃない?」と言ってきたけど、「大丈夫。信頼してるから。おやすみ」と眠りに落ちる。


さて、残された中津浦優斗はというと戸惑っていた。物凄く女の子の部屋で、眠ってる彼女を横から見ている。物凄く据え膳である。据え膳食わぬは男の恥とか聞くけども、これは罠である。下には彼女の親がいる。で、彼女がお父上の返事を気にしてたからそれだけ見ておいた。返事は「おう。1番線行くか」だったので、彼女の返事をコピペして送っておいた。


この部屋にいるのが不安になって、彼女の親と一緒に、昼ごはんを作ることにした。


「あの、輝奈子さん眠ってます。昼ご飯何か作りますよ」と言うと彼女の親は「またなの。ほんとあの子って寝過ぎなのよね」と言っていた。


1時間ほどクッキングをして、輝奈子を呼びに行くことにした。


「輝奈子、飯だぞ」と言うと、輝奈子は「ウ~ン。起きたぁ」と寝ぼけていた。


私、輝奈子はさっき起きた。優斗に起こされて。何を見られたのだろう。気になるなぁ。そういえば返事言うの忘れてたけどどうなっただろう。


「ねぇ優斗。父上なんて?」と聞くと「1番線行こうってさ。適当に了承しといたけどよかった?」と返ってきた。私は「うん。ありがとう。私が寝てた間何してたの?」とリビングで聞くと、母上が「昼ご飯作ってくれてたのよ。あなたの代わりに」と嫌味を返してくれた。  


あれほどの据え膳でも自制心保てるのは強いなぁ。螺鈿山でもそうだったのだろうか。なんて思うけど、多分優斗だから色んな物を見られても平気なんだと思う。


優斗は「うまいかどうかはわからんけど、料理教えてもらった」と言っていた。そういえば他のとこ見なかったのかな?どうだろう。


「他のとこ見なかったの?検索履歴とか、その、色々」と聞いたら「何も見てない。見たらたぶん大変なことになっていた気がするから見てない」と怪しさ満点だったけど、何も変化なかったし、いいや。


昼ご飯を食べて、何をしようか迷ったので、今回はうちで配信することにした。いつもの操作をして配信を始める。


「みんなー。こん夢幻桜。あなたの日常に彩りを。夢幻桜輝奈子です。ファンネームって決めたっけ?」


「決めてないんじゃない?あ、配信してたのか。優斗だ」


『こん夢幻桜』

『決めたような?』

『決めてたか?』

『初配信見直す?』


「とりあえず後にして、ファンアート見ていこうと思います。たしかファンアートタグ作ってたよね?記憶無いけど」

「無いのかよ。覚えておけよ」 

「それな」 


『夫婦漫才だけの配信でも十分な気がしてきた』

『もっと夫婦漫才を』

『↑何でだよ。わかるけど』


「わかるんかい」思わず素でツッコミをしてしまった。別に関西人ではない。関西のテレビも映るからギリ関西かもしれない。徳島って凄い。テレビと食べ物は。他は、まぁ、ね。色々あるし。


「で、さっき自分の配信見返したけど、なかったわ。ファンアートタグ。あと、ファンネーム。なので、今更だけど決めたいと思いまーす。候補ください』


『今更で草』

『DMに送られてるんでしょ?』

『輝奈子餅』

『きなこもち』

『ファンアート、きなこアート』


「きなこアート可愛いな。ファンアートはこのタグにしよう。DMパンクしかけてたし。ファンネームどうしようかな。きなこもち可愛い気もするんだけど、他に案ある?」


『優斗さんとの合同のやつとかも欲しいよね』


「まずは単独ファンのファンネーム作ろうかな。きなこもちは平仮名と漢字どっちがいいかな?」


『きなこもちと輝奈子餅か』

『ひらがなの方が可愛らしさに合ってる気がする』


「なら、私のファンネームは『きなこもち』で。優斗との合同のやつも作るなら考えよう。なんかある?優斗」といきなり話を振ってみた。


優斗は「お、おう。任せるわ」と爆速で丸投げしてきた。優斗と輝奈子。だからなぁ。何がいいんだろう。ユウトキナ。


「粉雪とかどうかな?」と呟いたら優斗から「良いんじゃない?今度歌ってみたとかするならパウダースノー歌ってみるというのもいいよな」と提案された。


『粉雪いいな』

『こなーゆきーねぇ』

『心まで白く染まるのか?』

『確かに心も白く染まりそう』


「なら、粉雪にしよっか。優斗と私の箱推しのファンネーム。怒られたら、私が全力で謝ります」と拳を握る。


で、何をしようか。悩んで優斗に「で、何する?」っと丸投げする。優斗は「マシュマロでも返せば?あと、絶対忘れてると思うから言うけど、あの配信予定今日じゃなかった?」と返ってきた。


「えっ?ちょっと待ってて」

慌ててスケジュール帳を探す。えっと、机の上に適当に置いたはず。あれ?引き出しかな?ライブの時は持ってて、大学行った時にどうしたっけ?どっかしらあるやろ。まぁ、いいや。マネージャーに聞こう。そう思い、ミュートする。


「お疲れ様です。strengthのstrengthです。桶場さん、今日私何か配信予定入れてました?」

「お疲れ様です。桶場です。20時から1時間入ってますね。で、どうやって撮影する気ですか?」

「あ、あー。ASMR?また、画面の見えないASMRになりそうです」

「待機画面でも作ればいかがでしょうか?」

「それって外注したらどのぐらいかかります?」

「費用がざっと100万円、時間が短くて1ヶ月ですね」

「自分で頑張ってみます。お疲れ様です」


「ほい。戻りました。輝奈子です。優斗何してたの?コメント凄いけど」

「特に、輝奈子の話をしてた」

『あれは凄かった』

『ノロケつぇー』


「でと、8時からフィットネスリングのゲーム画面が映らないWeb会議式フィットネスリングASMRします。環境整えたいな。今も普通のノーパソでノーパソのマイクだから」

『ノーパソかよ』

『音質微妙と思ったら想像以上に過酷な状況だった』

『伝説の再来』

『たしかにな』

『伝説のWeb会議式ホラゲー実況ASMR』

『あれは草なんよ』

『おかげで上司に見つからないサボりができて良いんだけどな』

『斬新なゲーム画面を映さないゲーム実況』


「私とゲーム画面どっちが見たい?」

『メンヘラかよ』

『輝奈子さんがいい』

『ゲーム画面』

『輝奈子さん』

「俺は両方見えるから、ゲーム画面を俺が実況するか。いや、吐息とか顔とか見たいしな。違うだろ?よし、俺は黙って見ておく係をしよう」

『自己完結で草』

『輝奈子さん見たい』

『ゲーム画面はいくらでも見えるからな』

『輝奈子さんだとゲーム画面でも面白いことしそうなんだよなぁ』


と、時計を見ると4時半だったので、「今日は父上と飲みに行くの。あ!優斗も一緒にね。てことで、おつ夢幻桜」


『結婚挨拶かな?』

『ぜひ、夫婦になって夫婦漫才を』

『いつか週刊誌に出ないかな?面白い記事』

『某Vチューバーの加湿器とか?』

『あれは過失器だろ』

『歌詞付きかもしれない』

『あの、加湿器に並ぶ伝説Web会議式ホラゲー実況ASMR』


さて、準備して優斗と一緒に1番線に向かう。ここは駅のすぐ近くの居酒屋で、魚と焼き鳥が物凄くおいしい。父上に「彼氏と行く」って送ったけど、そういえばバッドコミュニケーションしてたなぁ。


なんて、考えながら歩く。父上は先飲んでるらしい。また、ハイボール飲んでるんだろうな。私個人としてはそれほどハイボールは好きではない。


「寒いな」と優斗が口を開く。私が「そうだね。えっと、父上に優斗紹介しようと思ってるんだけど、勇気でなくて『彼氏と』って送ったけど、いけるかな?」と投げかけると「なんとかなるんじゃない?」とどことなく投げやりな返事が返ってきた。


「そっか。今思ったけど、機材とか防音リフォームとかしたほうがよかったかもね。凄く今更だけど」と私が言うと「したくなったらすればいいと思う。今後どうするの?」と返ってきたので「どうしようかな。とりあえずモノカルチャー経済は脱しないとなぁ」としょうもない事を言ってみた。


「どういうこと?」

「コンゴってアフリカに2つおなじ国名があるんだけど、モノカルチャー経済って地理で習ったじゃん。なんとなく言ってみた。で、今後は、ライブとか新曲づくりとかを優斗と一緒にしたいなー」

「そうか。配属先わかるまでどうするの?」

「それなー。どうしようかな。銅にしようかな。いや、まじで、どうしよう類。いや、それ双子葉類、網状脈。単子葉類、平行脈。親との会議も平行脈」

「大丈夫?ギャグ絶好調だけど」

「大丈夫だと思う。お酒のんで、壊れたと思ったら止めて。あと、無理して飲まなくていいから。父上注いで来るかもしれんけど。お猪口私とシェアでいい?」

「俺は良いけど、任せる」



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