【配信】クリスマス
昨日は頭痛くて、バイト中だいぶ頭が働いていなかった。帰ってクリスマスケーキを食べて、美味しかったけど、ほんとは優斗と食べたかった。
クリスマスイブだけど特にネタが無い。何しよう。カップルではあるから、カップルネタ話でもいいんだけど、クリスマスに彼氏いないんだよなぁ。よし、このネタで行こう。実写TUBEでもいいんだけど、Vでのミンナトラティブにしよう。皆アトラクティブ(魅力的)に、そして、皆とインタラクティブ(相互)に交流できるしね。
「闇夜に輝く1本の桜、夢幻桜輝奈子です。皆のクリスマスに彩りを」
とびきりの笑顔を作って、配信を開始する。私、これ、どうした?えっ?こんなに増えてるんだけど。なにこれ?見てみるとフォロワーが1万人いた。よくわからんけど、まぁいいや。WETUBEは見てないけど結構いるのかもしれないという予感がした。後で見よう。
『百面相輝奈子さん』
『夢幻さん百面相で草』
『おは夢幻』
「良し、採用。おは夢幻桜。クリスマスイブなのに彼氏いないなう。ボッチなう。夢幻桜輝奈子です。さて、彼氏いるのにボッチナウの私が遠距離になったときの不安とか話そうかな」
『彼氏いるのかよ』
『初見か?』
『豚骨ラーメンキス履修してから恋よ』
『いろんな意味での恋で草』
『濃厚な背脂ラブストーリー』
「トレンドに豚骨ラーメンキス入ってるけど、これ何?てか、ウィスパー数が5万超えてるけど何これ?」
『トレンド入ってるのかよ』
『王道ではないものの王道。豚骨ラーメンキス』
『背脂凄そう』
「豚骨ラーメンキスはオススメしない。特にニンニクマシマシ」
『ニンニクマシマシは草』
「ちなみに彼氏に言われたのは「うまかったけど、くっさ」だった。ひどくない?女の子の口に向かってそれ言う?」
『女性の方が臭くなりやすいってのは聞かなくもない』
『そもそもラーメンの後だからでは?』
『なんで、その時キスしたの?』
「我慢できなかったの。彼氏可愛すぎて。ちなみに、それが私のファーストキスで、ファーストディープキス」
『ディープな方で草』
『ってか、それなら背脂凄そうで更に草』
「脂は凄かった。でも、彼氏に満たされてる感じがして、幸せだった。恋人からのハグでストレス減らせるらしいしね」
『この人の恋人からすると、恋人であり、濃い人なんだろうな』
『濃人で草』
「そんなに濃く無いと思う。せいぜいアッサリ魚介豚骨ラーメンぐらいの濃さだと思う」
『十分濃いと思う』
『↑それな』
「美味しかったらいいの。なんで、ラーメンの話になったんだっけ?」
『本人きっかけ忘れてて草』
『キスからラーメンの話に飛ぶのこの人とstrengthさんだけで草なんよ』
「あ、そうそう。キスの話だったんだ。で、クリスマスイブなのに彼氏いなくて草って話だったね」
『そうそう』
『曹操』
『劉備』
『↑急に三国志で草』
「あ、そうそう。桃園の誓いの話で思い出したけど、キスって桃とか、さくらんぼとかのイメージあるけどそんな事は無かった。ラーメンの後だったからだろうね」
『三国志→桃園の誓い→キスの味→豚骨ラーメンは草』
『一歩も話進んでなくて草』
「そうそう、うちの彼氏自慢していい?」
『豚骨ラーメンキスの後だと彼氏自慢されても、面白話になりそうで期待しかできん』
『豚骨ラーメンさんの彼氏自慢聞いてみたい』
『↑豚骨ラーメンさんは草。流行の予感』
「やめてね。名前あるから。夢幻桜輝奈子だから。で、うちの彼氏の話なんだけど、まず、不器用で可愛い。この前コーヒーショップで眠くなった時、おんぶして持って帰ってくれたの。私、子供?」
『可愛くて草』
『そもそも持ち帰り彼女で草』
『なぜだろう。持ち帰りと聞くとソウイウ行為浮かぶのに、面白そうな事しか起こってなさそうなの草』
「で、布団敷かれてて、しっかり寝転がされてた。子供を連れ帰るお母さんみたいな事された。ちなみに1週間くらい前に豚骨ラーメンキスリターンズした。やっぱりラーメンだった」
『なぜ、ラーメン』
『これまでの歴代キスとか聞きたくなるレベル』
「なら、話そうかな。豚骨ラーメン、うどん、アイス、ポップコーン、豚骨ラーメン。あと、ラーメン以外の、ぁーメンキスかな。大体、しょっぱい」
『濃口キス』
『↑のうこうと読めるの草』
「うん。確かに芳醇な彼氏の香りが口に広がった気がする」
『結構な段階に行ってそうで草』
「確かに練習は結構したかも。まだ、本番の舞台には立ってないけど」
『語感はそんなに悪くないけど、汚れた俺等には違う意味に聞こえる』
『てか、話聞く限り、汚れた俺等の想像そのままの意味で草』
「多分、そう。苦かったし。甘みはそんなになかったな。でも、やっぱりキスの味はアイスの時が1番美味しかった気がする。心が満たされたのは、別のやつだけど」
『あなたの創作欲を満たす。豚骨ラーメンキス』
『↑変なキャッチコピー作るな(いいぞ、もっとやれ)』
「ちなみに、この前オオメダマコーヒー行って、看板メニュー飲んだんだけど、飲みきってお金払って眠くなって、彼氏に運搬された」
『運搬は草』
『あれ、多いよね』
『彼氏匂わせどころか明言してるのに2つの意味で、もえない配信者』
『ラーメンキスは、なぁ』
「いや、いいんだよ。美味しいし、面白いし。彼氏の反応かわいかったし。「うまかったけど、くっさ」の後の言葉まじでかわいかった。「なぜニンニクあんなにドバドバ入れてたのにキスするんだよ。しかもディープな方」ってツッコんでくれたんだよ。かわいくない?」
『萌えが独特で草』
『やはりstrength説』
『公式にそうらしいから』
「ほんとに可愛いのよ、うちの彼氏。この前生理で倒れた時も手を出さずに見守ってくれたし。初めて血が出て怖かったけど、落ち着かせてくれたし」
『strengthさんめちゃくちゃ若い説』
『10代かもね』
『↑思春期真っ盛りじゃん』
『↑にしてはネタが古いんよ』
『彼氏好き過ぎで草』
「ほんとに大好き。多分そこまで知識はないんだろうけど、めっちゃくちゃ優しいの」
私は、あのときを思い出していた。初めての生理で血が出て叫んだ、あの日を。彼は優しかった。私以上に動揺してて、なんだか和んだ事を思い出し吹き出す。
『クリスマスの話は?』
『ボッチの心えぐるな』
「あ、そうそう。で、彼氏への文句なんだけど、実家帰ってるんだよね。いいんだよ。私も今日も明日もバイトだし。でも、寂しい。ほんとは会いたくて会いたくて仕方ないんだけど、でも、ご実家との関係もあるし。悩むんだよね」
『言ってくれたらズラしたよ。何で言わないの?』
単純な疑問のように彼は言ったのだろう。字面ではわからないけど。
「だって、迷惑かけたくないし、悩んでるの知ってるし。結婚できたらなぁって思ってるから私の事紹介してくれてたらいいなって」
きっと「忘れてた」って言うんだろうなぁ。でも、いいんだ。だって、私の事大好きなのは知ってるから。
『痴話喧嘩配信かな?』
『お互いにノロケてそうで草』
『迷惑じゃないし、俺も実家に帰って来たけど、喫茶店で読んだ記事が気になって配信してるのかなっておもって今来た』
『いやいや、どないやねん』
『エスパー同士の会話かな?』
「えっ?優斗来てくれたの?どうやって?どうしよう。声乗せていい?同接めっちゃ多いけど。苦手でしょ?」
『いや、いいんだけど。彼氏バレとか大丈夫?』
『彼氏さん登場で草』
「大丈夫だよ。てか、アカウント作ったんだ。もしかして私と配信しようかなって?」
『違うとも言い切れん。で、どうやってコラボするん?』
「どうしよう。やり方知らんのよなぁ。とか言って調べてくれてるんでしょ?」
「これで行けたか?」
優斗からコラボ申請が送られてきた。
「うん。大丈夫。えっと、うちの彼氏の優斗、君?です。めっちゃ可愛いの。ほんとに」
「おい、やめろ。可愛いは違うだろ。かっこいいではないのか?」
「うーん。男らしい見た目でかっこいいんだけど、反応が可愛いから可愛いかな」
『夫婦漫才おつ』
『彼氏さん頑張れ』
『尻に敷かれるタイプだな』
「やっぱり可愛いなのか。それを俺の数倍、いや、数百倍可愛い輝奈子が言うのか?」
優斗の言葉に頬が赤くなる。ちょっと離れたけど思ってくれてると考えるとめちゃくちゃ嬉しい。
『輝奈子呼び慣れてて草』
『ワンチャン本名説』
『打ち合わせなしで、このクオリティならすごい』
「えっ?優斗のほうが性格可愛いし、反応可愛いし、初心な所も、不器用な優しさも大好きだし、可愛いんだけど」
「いやいや、輝奈子のほうが守りたくなる可愛さあるし、その、色々と可愛いかったし」
ちょっと、「色々」のところで意味ありげに止めないでよ。私も、その色々が可愛いと思ってるんだけど。
『彼氏さんの色々の発音が意味ありげで草』
『ヤッたんじゃね?』
「それはまだ」
2人の声がハモってしまった。これにコメントでは『息ぴったりで草』とか『夫婦漫才がホントの夫婦かもしれない』とか書かれた。
2人して、顔が赤くなっていることだろう。アバターだから分からないけど。沈黙しちゃったよ。で、数秒の沈黙の後、「だって、危ないもんね。まだ」と私が話すと、「確かに学生だとな。しかも、就活ってか就職するもんな」と優斗が返してきた。
『年齢バレで草』
『エルフさん25歳説』
『↑エルフって何?』
『なぜエルフ』
『初回配信のアーカイブ見てこい』
「エルフは年取らないから分からない。アラウンドその辺かな。そろそろ血圧とか腰痛とか肩こりとか気になるんだよね」
「アニキ昔から肩と腰の痛みと血圧言ってなかった?」と優斗がぶちかましたので、「ちょっとそれは違うじゃん。2人きりのときはいいけど、私、女の子なんだよ」と膨れる。
『アニキ?』
『エルフさん男説』
『男にしては名前のセンス良すぎ』
『闇桜の輝奈子実在した説』
『男から女になるのは小説だけだろ』
『男の娘だとして、どんだけ可愛いんだ、輝奈子さん』
「男の子じゃない。っともいい切れんのか。元々男の子で変わったもんね。うん。でも、今は女の子だから」と考えてると口から漏れてたようで優斗に「言ってよかったのか?アニキが美少女になったこと」と冷静な感じで言ってきた。
「えっ?口に出てた?うそ、にゃーー」
口に出てた驚きで猫になった。コメントでは『にゃーー可愛い』とか『可愛いけど、うるさくて草』とか『鼓膜なくなった』とか書かれた。ヒドイ。
『ここまでの話総合すると、ある日男の子だった主が、女の子になって、彼氏ができてナウって事か。で、闇桜の輝奈子が主説が出ると』
『今北産業』
『男だった主、女になる、彼氏できてナウ』
『サンクス』
優斗が茶化して「ほら、主人公挨拶しなさい」と言ってきた。私は「もう、帰ってきたら思いっきり抱きつくし、キスもするから覚悟してよね!」と言ったあとで、「えー。主人公の夜桜輝奈子役の夢幻桜輝奈子です。きっと声優も私になります。えー、アニメ化は未定です」と挨拶しておく。
『ガチのリアル日記だったのか?』
『いや、作者がノンフィクショナルフィクションフィクションって言ってた』
「それらしいぞ。ノンフィクショナルフィクションフィクション。意味は輝奈子に聞いてくれ」と優斗がコメントを拾う。
私は「こう、限りなくリアルだけど、リアルじゃない、フィクションみたいな感じ。だから、ノンフィクショナルフィクションフィクション。ノンフィクション的なフィクションの小説です」と説明する。
『説明されても分からなくて草』
『strength主人公説が出るわけか』
『strengthの由来聞きたくない?』
『↑それな』
「由来ねぇ。中学の時、いじめられてて。このときは男だったんだけど。性的ないじめ受けて、強さが欲しいし、あと、リアルネーム以外で、ゲームのキャラ名前つけるの困ったからstrengthにした」
「らしいぞ」
『壮絶で草』
『最初の壮絶さからのゲームの名前に困ったからとかいう適当さに草』
どうしよう。ネタが尽きてきた。やることあるかしら。コメント欄見てみよう。
『彼氏さんとの出会いは?』
「えっとこれ言っていいのかな?優斗」と優斗に確認する。私のほうが慣れてるとは思うけど。優斗は「輝奈子がいいならいいと思う」とあくまで私に任せるスタンスみたいだ。
私は話すことに決めた。
「元々男の子だった時に男子トイレで隠れてる?優斗を見つけて「1人で寂しくないの?」って聞いたのが始まりかな。その後半年ぐらい経って「あのときは。ごめん」って謝ってきて、ナウかな」
「後半のほうが大事だと思うぞ」と優斗がツッコミを入れてくる。確かにそうかも。
「ねぇ、優斗。どこまでリアル話していいと思う?」
「アニキの話せるとこまででいいんじゃない?」
「それだとガチリアルになるけどいいかな?なんかあったら守って」
「おう」と、優斗はいつも通り短い返事で返してくる。そして、私は口を開く。コメント欄には『wktk』とか『kwsk期待』とかが溢れていた。ちょっと世代上な気がする。そのネタわかる私はネット依存かしら。
「strength記念日に女の子になって、そこから数日で付き合い始めたよね?」と私が急に話を振ると来ると思ってなかったのか優斗は「お、おう。めちゃくちゃ可愛いかった」と返してきた。
『彼氏さん押されてて草』
『彼氏さん推しになりそう』
『お姉さんがイロイロ教えてあげるよ』
『↑変態湧いてて草』
「で、えっとイロイロあったね。付き合い初めたのって何でだっけ?私、これ優斗に聞いた記憶ないんだけど。ちなみに私は男の頃から、ずっと男らしくて、かっこいいなって思ってた。手も私より大きいし、背も高いし、ハリウッドっぽいし」
「最後のハリウッドっぽいしって何?」と優斗がツッコミを入れてきたので「顔がハリウッドっぽい。で、何でなの?」と返しておく。
「告白のときにも言ったけど、まず、輝奈子の見た目に一目惚れして。いや、アニキが女の子なったと知って、友達として支えようと思ってた時に、輝奈子さんに一目惚れして、付き合い初めたような気がする。まさかほんとに女の子になる日が来るとは思わなかった」
私は終始顔真っ赤で聞いていた。確かに聞いたことを思い出した。けど、あの時はちょうど生理かぶってて、ほわほわしてた時に言ってきた言葉だからフワフワしてた。今日も多少あるけど、まさかこんなド直球に来ると思わなくて顔が深紅に染まった。
『ガチの闇桜で草』
『設定の無理がありそうなところがまさかのリアルだった』
「あっ。これ優斗への質問だよ。『彼氏さんに質問です。夢幻さんの可愛いところはどこですか?』だって。どのなの?」
質問を読んで優斗に話を振ると、「自分でも分かってるだろうけど、胸が割とあるのと、1日に何千もの商品を登録してるとは思えない小さな手と恋人繋ぎした時の握力とカラオケで、はしゃいで、ぴょんぴょん跳ねてる時、あと、寝顔」と返ってきた。とりあえず、帰ってきたら一発ビンタしよう。
「1番に、おっぱい出てくるのってどうなの?それに平均より、ワンサイズ大きいぐらいだし。まだ使ったことないでしょ?」
この時コメント欄が爆速で流れていたのを私は知らない。
『とんでもない暴露で草』
『身長によってはロリ巨乳では?』
『寝顔知ってるなら事後では?』
『プラトニックな関係もあるのか?』
『結構色々してそうだけど』
なんてコメントが流れているとは知らず、優斗と私は言い合っていた。
「揉ませてくれたことあっただろ?あと,個人的に最後になったけど、おっぱいよりも寝顔が可愛かった。最後に言ったほうが衝撃になるかなって」
よし、ビンタじゃなくて思い切りキスしよう。
「そうだね。そういえば最近揉んでもらったわ。ストーカーに胸揉まれて怖かったから。あ、あと、優斗の指でイカせてもらったこともあったね。ストーカーに触られて気持ち悪かったから」
『ストーカー羨ましくて草』
『ウィスパーにハッシュタグでパンツの画像あったぞ』
『↑有能で草』
『でも、彼氏さん物凄く得してて裏山』
アイツ何やってんだよ。いや、アイツ、ストーカーだからふざけるなと思うけど、何でウィスパーにあげるかな。しかもstrengthをハッシュタグにつけて。
「言ってよかったのか?ストーカーのこと」と優斗は心配してくれた。確かに思い出して少しフラッシュバックしたけど、フラッシュでピカッとして今現実にバックしたので、モウマンタイだ。
「いいのいいの。あと、ウィスパーに乗ってるパンツ確かに私のだけど、売られても買わないほうがいいよ。ストーカーの体液付いてるかもだし。ちなみに履き心地はいいよ。案件ではないけど」
『了解』
『両方の体液付いてるとしたらお得じゃね?』
『変態がいて草』
「変態さんはダメですよ」と私が言うと、優斗が「ぷにぷにで可愛かった」とかぶちかましてきた。私は「ダーリンだめだよ。変態さん」と多分こう言って欲しいのだろうと思う言葉を返す。
なんだコレ?この配信凄いことしか話してなくない?あ、バイトだ。昼食べて昼寝するから早めに終わろう。
「おつ夢幻」
「えっ終わるの?ああ、バイトか。頑張れ」
「ありがとう。またね」
こうして配信を閉じバイトに行く。