承久の乱
今日は承久の乱だ。
こういわれると多くの人が、「へぇー。今日起きたことなのか」と思うことだろう。残念ながら、違う。ただただ、今日が12月21日で数字の組み合わせが承久の乱が起こった年と一致しているだけである。後鳥羽上皇が兵を挙げるが敗北し、隠岐に流されるという事件だ。
これがきっかけで京都を見張る六波羅探題という役職がおかれたものだと記憶している。この時に有名な北条政子の「頼朝に受けた恩は海より深く、山より高い」みたいな演説があったと吾妻鏡に書かれているらしい。ちなみに、この時には、すでに源実朝はなくなっており、源氏での将軍は終わっている。
なんて現実逃避をしながら、暇をつぶすために大学に向かう。着いて暇を潰しているとタイミングの悪いことに健翔と遭遇してしまった。健翔は「お疲れ様です。おひとりですか?」と声を掛けてくる。私は「お疲れ、まあそんなもんかな」と適当に相槌を打つ。いわゆるワンチャンを期待しているのかもしれない。
私の昔を知っている健翔は「最近性欲はどうですか?」と問いかけてくる。私は「優斗のおかげでそこまで暴走していない」と答えた。本当は今すぐここで発散したいほどムラムラしているが、こいつにそれを出すとろくなことにならないと本能が告げている。
「彼氏さんと結構されてるんですか?」
「まだ、手は出してもらってない」
「まだ、処女なんですね。膜とかあるんですか?」
「見たけどわからんかった」
「そうなんですね。僕が見てみましょうか?」
「見なくていい」
私のこの返事にあからさまに不満げな顔をしてきたが、絶対に妥協はしない。初めては絶対に優斗にしてもらうのだ。どうしよう。優斗に会いたい。今日の3限受けるために来るだろうから、今TXTしてみよう。
「会いたい。ムラムラする。たすけて」と優斗に送る。優斗からの返事を待っていると健翔は「今まで相談乗ってきたんでおっぱいぐらい揉ませてくださいよ」と手をわしゃわしゃしている。
私は「それは無理。彼女さんできるといいね」と言って立ち去ろうとした。でも、手を掴まれて胸を揉まれた。健翔は無感動かのように「こんな感じなんですね」と放つ。何を期待していたのだろう。
そんな時にTXTを読んでくれたのか、優斗が来た。健翔は慌てたように胸から手を離し、「やっぱり彼氏さんがいいんですね」と吐き捨てる。
優斗は、その言動にムッとした表情を健翔に向けた後、私に「大丈夫か?男嫌いになったりしてない?」と聞いてくれた。私は「大丈夫。でも、アイツに触れられたままの感覚って嫌だから優斗に上書きして欲しい」と少し泣きそうになりながら声を出す。
優斗は優しく私の腕に触れ、「大丈夫じゃないだろ?無理すんなよ」と言う。私は、涙で上擦った声で「胸も揉まれた。今ここじゃ嫌かもしれないけど。トラウマになりそうで」と優斗の腕を掴み、自分の胸に誘導する。
優斗は「お、おう。それで癒えるならいいんだけど。無理しなくていいんだからな」と私の胸を触りながら言った。「なんだかんだ楽しんでやがるなぁ」と思いながら、やっぱり優斗しかいないと感じた。
私は黙ったまま放心状態だった。たまに戸が開くたびに、冬の寒い風が私を凍えさせる。優斗は「黙ったままだけど、どうした?なんか食べに行くか?」と聞いてくる。私は「温めて。寒い」と抱き着く。優斗は「そうか。たべたいものあったら言えよ」と抱き締めてくれた。今は時期が微妙で「食べてほしいものならあるんだけど、旬じゃなくて」なんて返す。
優斗は「どういうこと?」と問いかけてくる。私は「本当は私を食べてほしいんだけど。時期が微妙で怖いんだよね」と説明した。
「急がなくていいし、無理しなくて良いからな。辛いときは俺に言えよ。俺だって辛いときは相談するから、だから、」「ありがとう」そう言って、キスをする。優斗の舌の感触を味わうように。我慢ができなかった。私は、これ程優斗に惚れてしまったのかと感じる。
キスが終わってから優斗は「ちょっ。おま、俺が良いこと言おうとしたところだったよな?」と反論してくるけど、私は「わかってる。いつもありがとう。ねぇ、3限の後,暇ならまた優斗の家行きたいな。未だに1人でアレするのは怖いから」と天使の笑顔で言葉にした。
優斗は「その笑顔ずるいんだよなあ」と言いながら、3限に向かってる。私は「行っていいの?あと、もうちょっとだけ抱き締めて」と優斗を抱き締める。
優斗は「しょうがないなぁ」と言って私を抱き締める。やっぱり私がヒーローで優斗がヒロインだなぁ。優斗は可愛いし、それでも強いから、ヴァルキリーみたいな人だなぁと思う。
そんなヒロインに王子様はキスをする。いや、私も姫だなぁ。てことで百合だな。おっと、お決まりのボケを忘れていたわ。
「生姜は確かに今日なかったね」
「いや、その生姜じゃない」
この淡白なツッコミも結構好き。恋のせいで痛い箇所が1箇所増えてるのだ。肩こり、首コリ、腰痛、恋の病。合計4箇所。後で揉んでもらおう。
優斗の3限が終わるまで、何しよう。結局何も思いつかず、ただ動画を眺めていた。こりもせずに健翔が来て、下卑た視線で私を視姦しながら、頬の筋肉を弛緩させ、私の服に手を入れてこようとするが、「童はそれほどソナタを好いてはおらぬ。少なくとも童のお主への好意は童の優斗に対する好意に如かん」と返す。
本当に私の肩もこいつの様であればよかったかもしれぬ。コリもしないのだから。否、ある意味でこいつの様である。纏わりついて来る粘着質な痛み、鈍痛、よく食べる男子に、かつ丼2、腰も痛いね、Me,too.そんな痛みでWhat do you wanna do? I wanna be hired and I don't wanna be fired. I wanna be like a firework. I'll work part-time. Just like making a work, I wanna shine to make everyone smile.
なんて脳内で繰り返していたら、めちゃくちゃ怒ったような顔で「口調変わりましたね。わからせてやるんで覚悟してくださいね」と健翔は私のパンツの中に手を入れようとしてくる。私は物凄く抵抗しながら、「やめて」と繰り返す。それでも、健翔は強引にスカートの中に手をつっこみ、「女もののパンツ履いてるんですね。元は男性だったのに」と痛いところを突いて来た。ちなみに今日はバイト休みだ。連勤が続くから休めとの命令だ。
さらにパンツの中にまで手を入れてこようとする。私は、それに対して拳を握り、体の力を抜いて体重によってダメージを与える。健翔は「痛いですね。そんなに嫌なんですか?」と下品な笑みで答える。私は「もちろん。いやに決まってるわ。だって、私に触れていいのは優斗だけだもの」と返し、次の健翔の動きに備える。健翔は相変わらず私のお股を狙っている。どうやら今度は背後から来ようとしているようだ。私はあえて混乱している風に装いながら、手を胸の前で組んで、お祈りのポーズにする。これは裏拳もしくはエルボーを入れるためのポーズだ。
実際に手を入れられるまで待ち、そこから、肩幅に足を開き、祈りのポーズのまま額の前に付け、振り向き様に左ひざをかがめ、斜め45度に振り下ろす。ちょうど健翔の右脇腹に刺さるように。健翔は「うっ」と息を漏らした後、「パイパンなんですね」と満足そうに言っている。私は照れたように「そんなこと言わんといて」と言う。健翔は「照れてる顔も可愛いですよ」と言いながら、しゃがみこんで私の股を覗こうとしている。許さない。とは思いながら、ムラムラしている心はこの先どうなるのか期待してしまっていた。鼠径部近くに健翔が指を這わしてきた。
私は、「きゃっ」と短く悲鳴をあげる。その悲鳴は更に健翔を増長させる。
「可愛い悲鳴ですね。もっと聞かせてくださいよ」
そう言って、股の真下をパンツの上から愛撫して来る。I
have a bad day.愛撫だけに。いや、かかってる部分薄い。
どうしよう。ちょっと濡れてきた気がする。というより、少しずつ膀胱を押してくるからトイレ行きたくなってきた。アイツはお漏らしが好きなんて言ってた事を思い出し、逃げるチャンスを伺っていた。
「どうしたんですか?もじもじしてるみたいですが。トイレですか?」とワクワクした様子で聞いてくるコイツに腹が立ったので、コイツにアソコを出させて逃げる算段をつけよう。
なんて考えてると健翔がパンツを脱がしてきた。私はそれを好機と捉え、全力で25号館に向けて走った。健翔から逃げるという一心で。優斗に会いたかったから。
私は5階にある国際交流課に向かった。ここなら知り合いの先生に助けてもらえると思ったから。そこで、優斗にTXTを打つ。曰く、「助けて。変態に追われてる」と。もうすぐ3限が終わる。
優斗はすぐ「どこにいる?」と送ってきた。私はすぐに「25号館5階」と返す。ノーパンってスースーするなぁと今更実感が湧いた。例え、パンツを晒されても致命傷ではない。
私の鼓動が速くなる。まるで動悸のようだ。健翔の動機は変態的な思想なのだろうが。環境を思い出させる示相化石。時代の示準化石。だった気がする。いま関係ないけど。
どっちが先に来るのだろう。私は優斗を期待した。だが、来たのは健翔だった。
「ここにいたんですね。パンツを返して欲しかったら一発ヤラせてくださいよ」と下心を隠そうともしない。私は全力で叫ぶ。
「たすけてーー!!!」っと。その瞬間変態の方に多くの目が向いた。そんな事してると、あっという間に優斗が着いた。優斗は「平気か?」と聞いてくるが、平気なわけが無い。だって、パンツ取られたし。でも、「とりあえず証拠を残さないと」と考え、スマホを構える。健翔の顔と手元を写し、私のパンツである事を証明しようとした。
同じことを健翔もした。私は、便乗することにした。彼に取られた事を証明するために実は、脇腹に入れて健翔が悶絶している間にスマホのボイスレコーダーをオンにしていた。
優斗は聞こえなかったと思ったのか、もう一度「平気か?」と聞いてくる。私は、「無理。怖い。守って」と言って抱き着く。そんな姿を見た健翔は私のパンツを持ったまま逃走した。安心した私は、体から力が抜け、地面にぺたりと座り込んでしまった。
優斗はできるだけ見ないようにしてくれながら、「辛いよな。平気?」と肩に手を乗せようとしてくる。私は反射的に払い除けてしまった。その時の優斗の顔が悲しそうで、居た堪れなくなって、「ごめん。今触られるの怖い。でも、不安だから抱き締めてほしい」「わかった」食い気味に返事しながら優斗は私を抱き締めてくれた。
どうしよう。スカートの中見えてしまうかもしれない。それに床が冷たくて、その感触が地肌に直接触れてるのも気持ち悪い。
私は「優斗、ごめんね。でも、パンツ持っていかれちゃったから、今ノーパンなの。床冷たい」と涙声みたいに声を震わせながら訴える。優斗は「そうか」と淡白に反応するが、手を差し伸べてきた。立って歩けということだろう。私は手を握る。引っ張って立たせてくれたけど、未だに鼠径部を愛撫された感触がトラウマで、立ち尽くしてしまった。
そんな私の様子で察したのか「どうした?」と聞いてくれた。私は、「さっきのことがトラウマで歩きたいけど歩けそうにない。お姫様抱っこも良いんだけど見えちゃいそうだし、おんぶして運んでほしいな」と小悪魔な笑みを浮かべる。別に計算して、こうなったわけではない。
きっと生のお尻を触ることに抵抗があるのだろうが、取られてしまっては仕方がないし、歩こうと思っても心に負った傷はすぐには癒えない。優斗は決心したように「わかった。仕方ないからな。辛かったら泣きな」と気遣ってくれた。そして背中にしがみつく。
距離も近く、男らしい、いい匂いがする。しかも、背中が大きい。私も生の肌の感覚を提供してるし、これぐらい良いよね。
なんて移動してる時に男の子の視線が突き刺さっている感じがした。もしかしてスカートめくれてる?そう思うと急速に恥ずかしくなったけど、こうしてすぐ近くで優斗を感じられるのを辞めたくない気持ちもあって顔を優斗の背中に擦り付けていた。
なんてことしてたら、優斗に「何してるの?鼻水つけてる?」と聞かれた。私は「違うよ。恥ずかしいから顔隠してるの」とプンスカする。優斗は「隠れてないぞ」と淡白なツッコミを入れてくる。
なんてやりとりをしながら、優斗の家に向かう。