第2話告白
「京〜」と言いながら抱きついてきた女性。ああ俺はきっとこの夢の中ではリア充なのだろう。話を合わせておくか。
そう思いその女性の手を自分の胴から丁寧にはがし、その手を自分の顔の前に持ってきて「好きだ」と言う。
どうだいこういうことをするってことが恋人ってやつだろう。俺だって彼女なんて出来たこと一度もないけど彼女が出来た時に困らないように妄想はいっぱいしてきたんだよ。
するとその女性は急に顔を赤らめてもじもじとしながらぞうきんを絞り出すような声で「…よろしくお願いします」と言う。
あれ?おかしくない?普通恋人が好きだって言ったら私もとか言うんじゃないの?もしかして俺はこいつと付き合っていないのか?気がつくといつのまにか野次馬も集まってきている。
その野次馬の中から「京どうしたんだよお前」と言いながら。男が近づいてくる。ザ・スポーツ刈りの頭太い眉毛分厚い唇。見覚えがある。俺の小学校時代の友達松山柔じゃないか。
彼は小学校時代同じ野球チームに所属していた。俺がピッチャーで彼はキャッチャー。ワンバンもしっかり止めるいいやつだった。
柔は俺の方に近づいてくると言葉を続ける。
「今まで一回も花の告白受けたことなかったじゃん」
ん?花?
その瞬間俺は花のことを思い出す。花というのは小学校4年の9月からうちの小学校から来た子。なんか一目惚れしたとか言って毎日のように告白してきてたっけ。その時は興味がないと言って毎回断ってたけど。
そう思い、彼女の方を見るとパッチリとした目鮮やかなストレートロングヘア。…可愛い。小学校時代は可愛いとか感じたことなかったけど。可愛い。小学校時代の面影もしっかり残ってるし。
なんで小学校時代は断ってたんだろう。後悔の念にかられる。ってことは俺はこの夢の中でも毎回のように断ってたってことか?
ってことは俺は今初めての愛の告白をしたということか。うろたえる俺、同じく突然の告白でうろたえる花、なんかその後もいろいろと言ってくる柔。
まあ花が可愛いからオッケーですと。俺は花に「行こう」とだけ言って花の手を引っ張りながら野次馬たちの中を走り出す。




