После Урока2
あっという間に阿蘇先生はいなくなり、教室には2人が残された。
ふぅと息を吐く。授業が終わった……。
すっ飛んでった先生にあっけに取られているタチヤーナさんとは違い、僕はというと疲労感でいっぱいだ。
改めて時計を見たが、授業開始の時間から30分を少し過ぎたところだ。
授業1コマ90分。授業終わるのがあまりにも早すぎるが、頭をフル回転させていたからか、時間以上に脳が疲れている。
状況が状況なだけに、この授業は集中力を切らすことができず、無理にでも集中していなければならない。しかも知らない文字との戦い。化学とか統計とか、これまでどの授業の合計よりもどっと脳にも体にもきている。
一方のタチヤーナさん。”ы"の発音のとき以外はほとんど発言していない。退屈だったのではなかろうか。
「……帰りますか?」
「……そうですね」
机の上のプリントをしまっているうちにタチヤーナさんが電気を消すと、2人で教室をあとにする。
「……………」
「……………」
静寂が訪れる。何も話題がない。自身のコミュニケーション能力の欠如をつくづくと実感してしまう。
あれやこれやと話題を探しているうちに、口を開くことなくあっという間に講義棟の出口にきてしまった。
思い切って口を開く
「授業、退屈じゃないんですか?」
「全然、かな。すぐ終わったし。」
「たしかに。」
「……………」
「……………」
……やってしまった。ひねり出した話題は、あっという間についえた。「たしかに」というワードの魔力ってやつだ。
普通は授業中の真っ最中なので、講義棟を出ても人の気配は少ない。うろついている学生が数名見かける程度だ。テレビで映るような人がわんさかいる大学とは違い、地方の小さい大学であることを実感してしまうような静けさ。よく言えば、真面目にみんな授業に向き合っているということかもしれない。
「このあと、どうするの?」
不意にタチヤーナさんから声をかけてきた。
自分に気を使ってくれたのかもしれない。
「このまま帰ろうかと思って。」
「そっか、私はちょっとあっちで用事あるから、それじゃあ」
購買のほうへ指を差すと、さよならと言わんばかりに手を振った。
「うん、またね。」
手を振り返すと、スタスタと歩いていってしまった。
私も歩き出す。冷たい風が地面に散った桜の花びらをふわっと舞い上げた。
…………あっ、小城くんの疑問、聞いておくの忘れてた。
更新頻度がおかしくてすみません。
のんびりゆるゆる、書かせてもらってます。