表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

После Урока2

 あっという間に阿蘇先生はいなくなり、教室には2人が残された。


 ふぅと息を吐く。授業が終わった……。

 すっ飛んでった先生にあっけに取られているタチヤーナさんとは違い、僕はというと疲労感でいっぱいだ。


 改めて時計を見たが、授業開始の時間から30分を少し過ぎたところだ。

 授業1コマ90分。授業終わるのがあまりにも早すぎるが、頭をフル回転させていたからか、時間以上に脳が疲れている。

 状況が状況なだけに、この授業は集中力を切らすことができず、無理にでも集中していなければならない。しかも知らない文字との戦い。化学とか統計とか、これまでどの授業の合計よりもどっと脳にも体にもきている。


 一方のタチヤーナさん。”ы"の発音のとき以外はほとんど発言していない。退屈だったのではなかろうか。

「……帰りますか?」

「……そうですね」


 机の上のプリントをしまっているうちにタチヤーナさんが電気を消すと、2人で教室をあとにする。


「……………」

「……………」


 静寂が訪れる。何も話題がない。自身のコミュニケーション能力の欠如をつくづくと実感してしまう。

 あれやこれやと話題を探しているうちに、口を開くことなくあっという間に講義棟の出口にきてしまった。

 思い切って口を開く

「授業、退屈じゃないんですか?」

「全然、かな。すぐ終わったし。」

「たしかに。」

「……………」

「……………」


 ……やってしまった。ひねり出した話題は、あっという間についえた。「たしかに」というワードの魔力ってやつだ。


 普通は授業中の真っ最中なので、講義棟を出ても人の気配は少ない。うろついている学生が数名見かける程度だ。テレビで映るような人がわんさかいる大学とは違い、地方の小さい大学であることを実感してしまうような静けさ。よく言えば、真面目にみんな授業に向き合っているということかもしれない。


「このあと、どうするの?」

 不意にタチヤーナさんから声をかけてきた。

 自分に気を使ってくれたのかもしれない。

「このまま帰ろうかと思って。」


「そっか、私はちょっとあっちで用事あるから、それじゃあ」

 購買のほうへ指を差すと、さよならと言わんばかりに手を振った。

「うん、またね。」

 手を振り返すと、スタスタと歩いていってしまった。


 私も歩き出す。冷たい風が地面に散った桜の花びらをふわっと舞い上げた。




 …………あっ、小城くんの疑問、聞いておくの忘れてた。

更新頻度がおかしくてすみません。

のんびりゆるゆる、書かせてもらってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ