第8話 赤毛の女性
俺たちは何が出てきても対応できるように身構えていると茂みの中から俺より十センチくらい小さい赤毛の女性が現れる。赤毛の女性は後ろで髪を縛っており、オレンジ色の目は鋭く、着ているのは服は胸にさらしを巻いてショートパンツを履いている。女性の身体は褐色が良く、固そうな筋肉はまるでアニメで出てくる女戦士のように感じた。
その時だった。俺と女性の目合うと背負っていたリュックを降ろし、拳を鳴らしながら俺たちに近づいてくる。
「人間……お前は何をしている……」
「何をしているって……ご飯を食べ終わったところだけど……」
「そんなこと聞いてるんじゃねぇ!!」
森の中に女性の声が響き渡り、女性から殺意のような物を感じる。俺たちは女性の殺意に動揺してしまい、咄嗟に二人を俺の後ろに隠す。そんな様子を見た女性は話を続ける。
「そこの女の子たちはジュウジン族だろ! 人間がその子たちに何をしようとしているんだ!」
「話が全く見えないだけど……コンとワンとここで一緒に暮らしているんだ……」
「暮らしているだと……」
女性は歩きながら辺りを見渡し、俺たちが作った家の横に立つ。
「嘘をつくな!!」
大きな声を上げて腕を振るうと昨日作ったばかりの家の壁が音を立てて崩れ始める。二人と一緒に頑張って作った家は耐久力はそんなにないが一発で破壊できる耐久力ではない。俺はその光景を見ると怒りが込み上げ、声を荒立てながら女性に問いかける。
「何をするんだ!!」
「人間とジュウジン族が一緒に暮らしているなんてありえねぇ!! お前たち、人間は他の種族を脅かす存在だ!!」
「脅かす存在!?」
「そうだ! その子たちだって優しくして本当は奴隷にするつもりだろ!!」
「奴隷!? そんなことをするわけないだろ!!」
「だったら、その女の子の服の下には何もないっていうのか!?」
その言葉に俺は二人と交わした契約の陣が刻まれていることを思い出す。
「服の下には契約の陣が刻まれているけど……」
「ほらな!」
「違うもん!! ご主人は僕たちのお願いで契約の儀をしてくれたの!」
「そうです!」
「君たちは何も知らなんだな……。契約の儀は人間と交わすことで秘められた力を引き出すことが出来るが、契約者が命令したら君たちはその命令に逆らえないんだ!」
「何!?」
俺は二人を見ると首を横に振る。二人はそのことを知っていたのかはわからないが実質的に女性の言っているように逆らえなくっているのかもしれない。
「お前たち人間は他の種族に無理やり契約の儀をして奴隷のように扱うクソ野郎どもだ!」
「俺はそんなことはしない!!」
「人間の言うことを誰が信じるって言うんだ!!」
女性は地面を蹴ると俺たちの方に勢いよく飛んでくる。女性は拳を振り上げると俺は咄嗟に二人を突き飛ばす。
「ご主人!!」
「ご主人様!!」
「にげろ!! う!!」
二人に言葉を放つと俺の脇腹に痛みが走り、まるで鉄球をぶち当てられたような痛みを感じ、骨が折れるような音が身体に響き渡ると俺は地面に叩きつけられる。
「ご主人様!!」
「ご主人!!」
「待ちな!」
霞む目で女性を見ると二人の腕を掴み、俺の下へ行かせないようにしている。
「離して!!」
「離してください!!」
「あの人間の命を奪えば君たちは解放される。そうすればアタイが君たちを家に返してあげる」
「知らない貴方にそんなことをされる覚えはありません。それよりもご主人様と一緒にいます!!」
「離して!! ガブ!!」
「いた!!」
コンは掴まれている女性に噛みつくと女性は痛みのせいで力が緩み、二人は女性から離れて俺の下へ駆け寄ってくる。
「ご主人様!! 大丈夫ですか!?」
「ご主人!!」
「はぁ……はぁ……大丈夫とは言えないかな……それよりも二人とも逃げるんだ……」
女性の言っていたことが本当なら二人は俺の言うことは逆らえないはずだ。こんな野蛮な女性に二人を連れて行かれるよりも逃げてくれた方がいい。
「やだ!! ご主人と一緒にいる!!」
「私たちはご主人から離れません!!」
「二人とも……」
女性は命令に逆らえないと言っていたのに二人は俺から離れようとしない。俺は霞んだ目で二人を見ると頷いているように見える。
「コン、ご主人様を守りますよ!!」
「うん! ご主人は僕たちが守る!!」
「アタイは君たちに危害を咥えるつもりはない。その人間から離れるんだ!」
「いや!!」
「嫌です!! 貴方のような人の言うことなんて従いたくありません!!」
「それだったら仕方ないねぇ!!」
女性の手を見ると光り始め、手に何かを握りしめているのがわかった。俺は嫌な予感がすると女性は最初に攻撃してきたようにジャンプをして向かってくる。
(危ない!!)
咄嗟に身体を起こした俺の身体に痛みが走るがそれよりも二人を守らなければ思うと二人を抱きしめ、女性に背を向ける。覚悟を決めて目を閉じると地面が削れる音が背後で聞こえる。
「な、なんで人間が他の種族を守ろうとするんだよ……」
俺は振り返ると霞んだ目で女性を見る。しかし、霞んでいる目では女性がどんな表情をしているのかわからず、視界が狭まっていくと目の前が真っ暗になってしまうのであった。
三回目の投稿する作品ですが誤字、脱字などあるかもしれませんが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。今回、大幅に編集している為、最初からの投稿を再開しようと思いますのでよろしくお願いします。
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