第7話 二人の不安
目を覚ました俺は左右を見ると二人が腕に抱きつきながら眠っていた。俺は起こさないように腕を引き抜き、身体を起こして外に出ると燃えていた火は消えており、焚火の隣に置かれていた枝を折って燃えていた場所に継ぎ足していく。
「マーマ……パーパ……」
「ママ……パパ……」
振り返り家の中から聞こえてくる二人の寝言。両親の夢でも見ているのだろうと微笑みが零れるがコンとワンの叫ぶような声に聞こえてくる。急いで家の中に入ると二人は呼吸が早くなっており、魘されていた。
「コン! ワン!」
「ん……パーパ……?」
「パパ……?」
俺は二人を抱き上げると呼びかけ、少しずつ瞼を開ける二人が俺の顔を見る。二人が俺だと気が付くと少し落ち込んだ様子を見せ、俺の服を強く握りしめる。
「ご主人……おはよう……」
「ご主人様……おはようございます……」
「両親の夢を見ていたのか……?」
「うん……」
「はい……」
二人の声は寂しそうに声にどうすればいいかわからない。そう思っているとコンの目から涙が零れる。
「う、マーマとパーパに会いたいよぅ……」
「コン……寂しい時は我慢しなくていい。俺がそばにいるから……」
コンは大粒の涙を流し、声を上げながら泣き始めると見ていたワンは我慢するように唇を噛み締めている。ワンの頭を優しく撫でるとワンもコンのように鳴き始めてしまう。
(二人はまだ子供だ。それなのに両親と離れ離れになってしまって寂しくないわけがない。今までも両親のことを思い出さない日はなかっただろう。そんな二人の前に俺が現れて安心して我慢できなくなっちゃったんだな……)
俺には二人の両親のように上手く励ますことは出来ない。だが今は二人の頭を撫でて、二人を落ち着かせることしか俺には出来ないのであった。
時間が流れていくと二人は俺から離れ、掌で涙を拭って俺の顔を見る。
「ご、ご主人様……すみません……」
「いいよ。それよりも落ち着いたか?」
「うん……」
「そうか。二人に言っておかないといけない」
「な、なんでしょうか?」
「何?」
「俺は二人の両親にはなれない……」
「「……」」
両親のことを思い出した二人に言うのは少し気が引けるが実際に二人の両親のように愛情を与えることは出来ない。しかし、二人に言っておかないといけないことがある。
「でも、俺に出来る限りの愛情を二人に注ぐ。甘えたい時は甘えていいし、泣きたい時はないてもいい。だけど、必ず隣には俺がいることを忘れないでくれ……」
「ご主人……」
「ご主人様……」
「こんな俺じゃあ……頼りないよな……」
「そんなことないよ!」
「そうです! ご主人様に私たちは救われています!」
「ワン、救っているっていう言葉は違うよ。俺は可愛いコンとワンにそうしたいからそうしているだけだ」
「それでも! 一緒にいるだけでこんなにもここが温かくなります!」
ワンは胸に手を当てると瞼を閉じて温かさを感じている。コンも同じように手を当てて俺の顔を見上げる。
「ご主人の言葉を聞いているとここが温かくなる。怖いのが無くなっていくような感じがする……」
「コン……ワン……。俺だって二人の笑顔を見ていると俺も胸が温かくなるよ」
二人は俺に近づくと胸に耳を当て瞼を閉じる。
「うん……。ご主人も同じなんだ……」
「私たちと同じ……」
「これからしてほしいことは言ってくれ。俺に出来ることだったら出来る限り叶えるように頑張るから」
「ありがとう……」
「ありがとうございます……」
俺たちは再び抱き合うとコンのお腹が鳴り始める。その音に俺とワンがコンに目を向けるといつも元気なコンが恥ずかしそうにしている。
「お腹空いたな! それじゃあ、俺は魚を獲ってくるからコンは魔法で火を付けてくれ!」
「それでしたら、私は枝を集めてきます」
「ありがとう。行ってくる」
湖に向かっていくと二人は俺に手を振る。少しでも二人の不安を取り除けるように頑張るがまずは二人のお腹を満たすことに専念するであった。
魚を獲って二人の下に戻ると火を見ていた二人が俺に駆け寄ってくる。
「魚たくさん獲れたんだね!」
「そうだよ。お腹いっぱいになるまで食べていいからな」
「ありがとうございます!」
ワンに魚を手渡すと昨日のように魚を刺して火で焼き始める。パチパチと鳴る焚火を見ながら身体を温めているとワンが身体をモジモジさせている。
「ワン、どうしたんだ?」
「いや……あの……」
「ワン、言いたいことがあれば言っていいんだぞ。甘えていいって言っただろ?」
「はい……。その……ご主人様の膝の上で焼き魚を食べてもいいですか?」
「いいよ。おいで」
俺は膝を叩くとワンは俺の膝の上に座る。座ったワンは笑顔に変わり、見上げたワンに笑顔を向ける。
「僕も!」
「コンもおいで」
「わ~い!!」
コンも反対の膝に座るとワンと見つめ合い、笑い合っている二人に俺も笑ってしまう。少し立つと魚が焼き上がり、三人で焼き上がった魚にかぶりつく。
三人で美味しく魚を食べて獲ってきた魚が無くなっていくと俺たちは満足しながら湖を眺め始める。その時、背後の茂みが音を鳴らし始める。俺たちは茂みの方向を見ながら立ち上がる。
「モンスターかもしれません……」
「モンスター!」
ワンの一言で俺は二人を守ろうと置いてある枝を持ち、茂みから何が出てきても大丈夫なように構えるのであった。
三回目の投稿する作品ですが誤字、脱字などあるかもしれませんが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。今回、大幅に編集している為、最初からの投稿を再開しようと思いますのでよろしくお願いします。
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