第6話 俺たちの家
陸に魚が山盛りになって陸に上がるとコンがタオルを渡してくれる。タオルを受け取り身体を拭きながら、コンとワンが一緒に獲った魚を木の枝を集めた場所に運んでくれる。
「二人とも、ありがとう」
「いいえ、ご主人様もありがとうございます」
「ご主人……」
「どうしたんだ?」
「お腹空いた……」
コンが自分のお腹を押さえながら俺を見上げる。
「そうだな。ご飯食べてから時間が経ったから俺もお腹が空いたよ」
「それではご主人様は休んでいてください。コンは集めた枝に火を付けてくれますか?」
「うん!」
コンとワンに手を引かれ、大きな葉が地面に敷かれている。葉の上に座らせられると目の前に集めた木の枝にコンは魔法で火を付け、少しずつ燃え始める火に手を掲げて温かさを感じていると隣に敷かれている葉にコンが座る。ワンが捕まえた魚を余っている枝に刺して火の近くの地面に突き立てる。
少しずつ焼ける魚の匂いに俺たちのお腹がなり、焼き上がるのを待つのであった。
焼き加減が丁度良くなるとワンが焼かれた魚を手渡してくれ、三人で魚を持ってかぶりつく。焼いた魚は生の時よりもタンパクな味が増し、骨から沁み出る塩の味が俺たちの食欲が止まらない。次々と焼き上げて食べていく中、二人の笑顔は今まで一人暮らしをしていた寂しい生活に感じたことのない温かさが俺の心を温かくしてくれる。
あまりの美味しさに食べ続けた俺のお腹は破裂しそうになり、地面に寝転ぶとコンが俺の脇の間に入って俺の腕を枕にする。
「美味しかったね!」
「俺の世界にも美味しい物はたくさんあったけど、今までにこんな魚を食べたことはなかったよ」
「そうなんだ!」
その時、ワンが羨ましそうに俺たちを見る。もう片方の手でワンを手招きをするとワンは嬉しそうに笑い俺の腕を枕に横になる。
「あぁ……いい気持ちですね」
「食べた後に寝転ぶと良くないけど、疲れたから少しだけいいだろう」
「それにしてもご主人様の身体は大きいですね」
「それは俺は大人だからな。二人はまだ子供なんだから小さいのは当たり前だ」
「それにしてもパ、お父さんのように大きいので安心します」
「お父さんはそんなに大きいのか?」
「ご主人様と同じくらいだと思います」
俺の身長は百八十センチだからワンのお父さんもそれ位だろう。しかし、村を襲われるということはこの世界には種族間の争いがあるのかもしれない。俺は二人に聞こうと口を開くが出そうになった言葉を飲み込み、二人が不安にならないように小さな手を握る。
「ご主人?」
「ご主人様?」
「俺がずっとそばにいるからな……」
「ありがとう……」
「ありがとうございます……」
二人は俺の手を握り返し、繋いだ手の温かさと満たされたお腹を感じながら、三人で空を見上げるのであった。
時間が過ぎていき俺たちは地面に敷かれた葉を集めに森の中に入っていく。二人は大きな葉を集め、俺は木に巻かれているツタを集め始める。この異世界の生活を充実に過ごす為に寝床を作ろうと思ったのだ。
集め終わると俺たちは焚火の場所に戻り、俺は魔法を使ってみようと思うと木の前で構える。
「二人とも離れて」
「うん!」
「はい!」
指先を伸ばして構えると唱えながら腕を振り下ろす。
「アクア・カッター!!」
腕から水の斬撃が飛び、目の前の木を切り裂くと音を立て地面に倒れる。
「ご主人、凄い!」
「こんなに早く魔法を使いこなすなんて……」
「ただ使ってみたいなと思っただけだよ。それよりも早く作らないと夜になっちゃうな」
倒れた木を魔法で運びやすい大きさに切って木を担ぐ。
「ご主人って力持ちなんだね!」
「前の仕事は力仕事だったからね。それになんか力が漲ってくるような気がするんだ。これくらいだったら運べるよ」
次々と木を運んでいき、少し大きな木の下の地面に石でコの字に描いて持っていた石で掘り始めるが思っていた以上に大変だ。
「地面を掘ればいいんですか?」
「そうだけど?」
「それでしたら、私たちに任せてください!」
コンとワンが人間の姿から動物の姿に変わり、掘る場所を確認して前足で掘り始める。二人にとっては穴を掘るなど容易いことなのだろう。その間に切った木を組み合わせられるように指先からウォータージェットカッターのように水を勢いよく出し、木の先を凸凹の形に加工し始める。
なかなか上手く出来ない中、継ぎ目を確認しながら作り上げていく。
「ご主人様、穴の方はこれでよろしいでしょうか?」
振り返るとコの字の穴が出来上がっており、二人は土まみれになっていた。
「ありがとう。二人とも湖で身体を洗ってきな」
「うん!」
「はい!」
コンとワンは湖に向かって走り始めると。二人の姿が動物の姿から人の姿に変わり、着ていた服を地面に脱ぎ捨て湖に飛び込んで遊び始める。
その間に加工した凸の木を地面に突き刺していき、隙間に入れて石で叩いていく。そして、囲うように出来たら凹の形の木を凸に組み合わせて石で叩き始める。壁と屋根が出来ると俺は次に大きな葉に穴を開けて葉と葉をツタで繋げていき、出入りする場所に繋げた葉を取り付けて行く。扉は葉で出来たカーテンに木で囲った壁と屋根を確認すると頷く。
(まぁ、最初にしてはいい感じかな。でも、雨が振った時にまた雨漏りしないか確認しないとな。それから直しつつ、家を完成させればいいだろう)
俺は家の前に座った湖から聞こえてくる二人の笑い声を聞きながら身体を休めるのであった。
二人が満足そうにしながら俺の方に近づいてくるとリュックからタオルを取り出し、二人に手渡す。
「気持ちよかった~!」
「汚れも落ちてスッキリしましたね」
「二人とも身体を拭かないと風邪を引いちゃうぞ」
「ありがとうございます」
「ねぇ? 尻尾も拭いて~」
「敏感じゃないのか?」
「ご主人に拭いてもらいたい!」
「甘えん坊だな。それじゃあ、葉っぱの上に座って」
「うん!」
コンは葉の上に座って尻尾を俺に向け、タオルで優しく拭き始める。水で小さくなった尻尾を拭き始めるとコンは尻尾を立てながら声を我慢している。ある程度、拭き終わるとコンは満足そうにしているが少し顔が赤くなっている。
「これでいいね。あとは火で温めながら乾かして」
「わかった~!」
コンは火に尻尾を向けて左右に振ると尻尾を乾かし始める。その時、後ろでモジモジしているワンに気が付く。
「ワンも拭いてほしいのか?」
「あっ……はい……」
「じゃあ、そこに座って」
「はい」
ワンは別の葉に座ってワンの背後にいどうしてコンのように尻尾を優しく拭き始めるがコンよりも尻尾を突き上げ、拭いていると時々声を漏らしながら耐えている。
「ワン、あとはコンと同じように乾かしてね」
「あ、ありがとうございました……。凄く気持ち良かったです……」
声をかけたワンの顔が真っ赤になっており、コンと並んで尻尾を乾かし始める。その間、二人が脱いだ服を取りに行くが服が土まみれだった。俺は湖で服を洗うと二人の下に戻って、余っている木の枝を組み上げて服を干す。そして、リュックの中からTシャツを取り出すと二人に手渡す。二人は服の着かたを覚えたのか、Tシャツに袖を通し始める。
「まだこんな感じだけど、まずはこれでいいと思う」
「うん。でも、僕はご主人と一緒にいれればどこでもいいよ!」
「私もご主人様とコンがいれば大丈夫です」
「俺も二人が一緒にいるとなんだか安心するよ」
俺たちは作った家の中に入ると身体をくっつけながら瞼を閉じる。風で靡く葉の音と水が流れる音に気持ちが落ち着くと今日の疲れが出たのかすぐに眠りに就いてしまうのであった。
三回目の投稿する作品ですが誤字、脱字などあるかもしれませんが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。今回、大幅に編集している為、最初からの投稿を再開しようと思いますのでよろしくお願いします。
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少しでも面白くなるように頑張ります!!
もしよろしければ『異世界樹海生活記』も読んでいただけると嬉しいです。