冒険の始まり
「相当稼いだな〜…」
夜、宿に帰る前にギルドに寄って素材を換金してきたのだ。
結果、銀貨8枚にもなった。
サンスティーヌはそれを見ながらこれからのことを考えた。
街にはたくさんの冒険者がいて、皆様々なところを冒険してきていたようだ。
冒険がしたいと言う訳ではないが、せっかく異世界に来たんだから様々なところを見に行きたい。
「となると、やっぱ冒険者かな〜…」
《…冒険者となるとどんな状況でも全て自分で対応しないといけませんが…》
決断しかねているサンスティーヌを見て、ルカシーノが言った。
それを聞いてサンスティーヌは再び考え、結論を出した。
「うん、それでも私は冒険者になりたい」
《…分かりました。ですがそうなると武器が必要ですね。別に魔法オンリーで戦ってもいいですが、それだと確実に不利になりますから》
「そっか。でもそれだとまだまだ武器の分のお金は足りないね」
《それに関しては魔物を倒しまくるしかありません。或いは先に冒険者登録をして、クエストをこなすと言うのもありですね》
「ん〜…じゃあとりあえず、明日冒険者登録してきちゃおう」
とりあえずの結論が出たところで、サンスティーヌはベッドに潜った。そしてゆっくりとまどろみに落ちていった。
「すみません、冒険者登録をしたいんですけど…」
次の日、またルカシーノに起こされて宿を出た。
そして、足軽にギルドに向かい、カウンターの人に恐る恐る声をかける。
「はい、それではこちらの石に手を当ててください」
すると、カウンターの奥から手より一回り大きい石が出てきた。
「あ、はい」
言われた通り石に手を当てる。
すると石の上に次々と文字が浮かび上がってきた。が、日本語でも英語でも、そもそも向こうの世界の言語では無かったので読めなかった。
その文字をカウンターの人はスラスラと書類に書き写していく。
「ありがとうございます。もう手を離してもいいですよ。あとはランクですが…今やっちゃいましょうか。こちらへどうぞ」
言われた通りついて行くと、開けた格闘場のような場所に着いた。
「ここで今から呼び出す魔物をどこまで倒せるかでランクは決まります。ランクは低い方からF、Eランクが低ランクに、D、Cランクが中ランクに、B、Aランクが高ランクに。ここまでが一般的なランクです。そしてその上がSランク。Sランクはギルドから特殊なクエストを受けることができます。それなりに難易度が高いクエストですので当然報酬も高いです。ですが、Sランクにいける人はごく少数ですので、気にしなくても大丈夫ですよ」
「わ、分かりました」
ドキドキしながら頷くと、カウンターの人は少し笑ってから手を翳した。
「じゃあ始めます。魔物召喚」
すると、床に魔法陣が描かれて、そこから黒い変なゴブリンが出てきた。
「えっとえっと、雷霆の導き!」
あのルカシーノのちょっとした地獄の訓練的なのを乗り越えたお陰でだいぶ使い慣れてきたスキルを慌てて発動させる。が、慌てたせいで照準を少し外してしまい、微かなダメージしか出なかった。
「だったら!雷霆の導き、暴風の刃!」
暴風の刃に雷霆の導きの雷を纏わせた、二種の属性攻撃。
この攻撃にゴブリンは細切れにされて消えた。
「っ、えっ⁉︎」
ようやく倒したと思ったのに、また魔法陣から魔物が出てきた。
「ちょ、どういうこと?」
降りかかってくる金棒を避けながらとりあえずルカシーノに聞く。
《仕方ないですね…》
ルカシーノがそう言うと共に時が止まった、ように感じた。
「ちょ、何したのルカシーノ?」
《僕のスキル 神々の砂時計で少しだけ時を止めました》
「なんて便利な」
《…これも有限なので手短に説明しますと、ギルドのランクというのは同じモンスターを何体倒せたかで決まります。確かギルドで採用されているルールだと…それはその時に説明しますか》
それぞれの頭数を言おうとしたがその時にちょうど神々の砂時計の効果が切れてしまって、時が動き出してしまった。
お陰で魔物がこちらに向かって突進してくる。ただし、正面から。
これならやりやすいと、サンスティーヌは魔法を放つ。
「暴風の刃!」
正面からくる風の刃にゴブリンは避けきれず、呆気なく消滅した。
それを何体繰り返したか。最初は自分でも数えていたけど、後からルカシーノに丸投げして戦いに集中しなきゃいけない程度には倒したはず。
ルカシーノ、今何体め?
《41体目ですね》
「そ、そんなに…?」
そろそろ魔力切れも近い。
さっさと終わって欲しいけど…
「そこまで!」
すると、カウンターの人が運良く止めてくれた。
「すごいですねサンスティーヌさん。Cランクです」
「は、はい…ありがとうございます…」
肩で息をしながら返事を返す。
これで手続きは終わりと言われたので、サンスティーヌはお礼をしてそそくさとギルドを出て行ったのだった。
「ん〜…せっかく冒険者登録したんだし、クエスト受けてみる?」
あの後、宿に戻って一晩過ごしてからまたギルドに、今度はクエストを探しにきた。
「すみません、何かクエストありませんか?」
「あぁ昨日の。そうですね…まずは簡単なので、採取とかどうですか?」
「さいしゅ?」
「はい。指定の薬草やドロップアイテム…そんなものを持って帰るクエストです。簡単なのならさほど日もかかりませんし」
「じゃあそれにします」
「分かりました。では、こちらか…こちらですね」
そう言って2枚の紙、クエストの依頼書を渡された。
その内容を見比べながら私は1つを指していった。
「じゃあ…こっちで」
「分かりました。期限は5日。その間に依頼のものを持ち帰らないとクエストは無くなったことになり、また違う人に依頼することになります」
「分かりました。じゃあ、行ってきます!」
こうして私は、初めてのクエストに出かけていったのだった。




