如月の巻(一)
嫁ヌーが定時にあがれるようになったので、ナポリタン作ってもらいました。ケチャップ味は愛の味! あ……トマト缶使っているの、分かっていますよ。ピーマンとソーセージ増量してくれたことも、ありがたーく思っております。いつも粉チーズ山ほどかけてごめんね。ストック管理、僕も協力します。
仕事が忙しくなくなってきたのか、嫁ヌーの顔に余裕が戻っていました。憑き物が落ちたみたいでした。それなら、いいのよ。風呂上がりの六門防衛TCG(サービス終了して拡張パック出なくなって悲しい)を再開できて、倭文野、うほうほしています。赤の連続攻撃デッキは、しばらく封印してくれー。僕の推しキャラ・黄色の出撃時効果発動デッキが全然活躍できないのよー。手加減しとくれやす。勝利の条件に、運と論理以外にあれば教えておくんなせえ。
如月三日 海苔巻きとロールケーキ、どちらも食べたら運気上がるように思えるのだが。
今年の節分、ロールケーキ却下されました。「ここは本朝だ、米だろ米」「日文卒で和の心を忘れちゃいかんだろ」とね、嫁ヌーが主導権を握っているのです。ヌーとはいったい? 嫁がヌートリアを捕まえようとした、の略です。ある意味健全ですよね。
共同研究室で、宇治先生とお茶をしていたら節分の話題になりました。自然な流れです。
「私も太巻きです! お米は体が持ちますから!」
眼鏡+黒髪セミロングの見た目とは裏腹な、体育会系なご意見をいただきました。宇治先生、トラックを走っていた頃があったそうでして。そういえば、廊下を爆走されているところを見たような。たとえれば戦車、だったな。高速戦車。
「塩昆布を入れるのですよ! 白ごまつきの佃煮も良いですね!!」
力持ちな海苔に扮した宇治先生が、ごはんと塩昆布をだっこして丘を越えて朗らかに歌っている図が、ぼんやりと描けました。幼児向け番組の影響かな。
「そうなのです、かんぴょうを外してはなりません!」
小一だっただろうか、先輩風びゅんびゅんの兄に「かんぴょうってなー、赤くなる前のリンゴを厚くむいたやつなんやでー」と吹きこまれ、クラスの終わりの会でかっこつけて発表したら先生に真顔で「ちゃうよ」と突っ込まれ、べそかいたな……。
お菓子作っていらっしゃるので、ケーキ派だと予想していたのですが当たっていませんでした。
「私のためではないのですよ、人のために……個人研究室を訪ねてくださった方のために始めたものなのですよ!」
霜月のサーターアンダギー、おいしかったです。揚げ菓子最高! ミルクティーと合わせたらぎっとりまろやかで油を飲んでいる感覚がして、体が喜ぶんだよな。
「再来週お持ちしますね!」
年の数だけサーターアンダギー食べられたら、僕、百年でも二百年でも生きますよ。お、福豆そろそろ休憩スペースに出しておくか。学生さんにその場でまいてもらうなり、家に持って帰らせるなり、食べてもらうなりしてもらおうっと。
あとがき(めいたもの)
問:倭文野さん、微分・積分は得意でしたか。
答:むちゃくちゃ苦手ですが何よォ! あんなん、社会に出て使う場面あります? 数学者とかエンジニアしかやらないんじゃないの? 樹形図は得意でしたけれど。確率は、カードゲームのレアカード当たる度を知りたいがために猛勉強していました。
モノ・ジ・トリ・テトラの中で、一番好きな世界はテトラなのですよ。神々の力を借りて戦うなんて、夢のようでございますよ。ペンタ・ヘキサの合体も使ってみたかった……サービス停止は残念。
どうも、失礼致しました、改めまして八十島そらです。親戚のお子達のために、鬼役をやってまいりました。「あっちゃっちょ、あっちゃっちょ」と豆をまかれ、八十島、いろいろな意味で悪いものが祓われました。また兄さんが遊びに来てやるからな!




