霜月の巻(二)
ヨーメーさんが、ひどくお怒りでいらっしゃった。かいつまんで記すとですね「ゲドー4に天誅を」。
「ゲドー4」とは何ぞや? ヨーメーさんの職場にいる下衆の極み四天王のことらしいです。ゲドー1は、一番奥の大きな机にふんぞり返って、携帯ゴルフゲームをしている自称課長。ゲドー2は、電話を取ることもままならない、同僚の夫が市議の息子なので優遇されている名ばかりの係長。ゲドー3は溺愛されすぎた娘が社会に溶けこめず義務教育を受けるべきなのに永年自宅警備員ルート決定の、親離れ子離れできていない、一匹狼係長。ゲドー4は、今いる課が不満なため病気休暇を利用し、スロースタートな「再婚」活を始め、ゴールに漕ぎ着けたものの婚姻わずか三週間で三行半を提出し、係員に降格願いを出してまで古巣(ヨーメーさんの所属している課!)に帰ったが「僕、わかりません」「僕、お手伝いですから」「僕、主任とはうまくやっていけないので業務を変えてほしいです」「孫が生まれたばかりですし、まだ本調子ではないので残業は配慮いただけますか」「僕、そんなにたくさんのこと覚えられません」「僕、窓口はちょっと」と、業務担当を同じくするヨーメーさんの胃をねじれさせる、爆弾発言と珍行動をとる元課長補佐。
終わっている、世が終わっとる。ヨーメーさんの職場には、病気休暇がありましてね、体・心の病気を治すためのものなのですが、この休みを取る人の七割は「精神を病んだという名目で」職場の嫌なことから逃げて、復活したらしたらで精神が弱っているのを強調して、周囲に負担をかけて、「正職員」の名札を下げながら給料だけをもらって遊んでいるらしいのです。本当に精神が弱ってどうしようもない職員に失礼ですよね。そういう、制度を悪用する人なんかより、毎日せっせと働いてくださるアルバイトの方がよっぽど役に立てるし、そっちを正式に雇えば、官公庁のサービスも向上するのにね。ヨーメーさんの職場だけじゃなさそうです、ほぼ全国こんな風潮ですってよ。普通、長いこと休む=辞職しろ、ではないですか。辞めさせられない「全体の奉仕者」は、何でもありということか。セコいよなー、ぶーぶー。これじゃあ本朝はいつまでたっても「良き国」にはなれねえわ。
ヨーメーさんの胃が、早く治りますように。きちんとした食事が、吐かずに飲みこめますように。
霜月十一日 イタリアントマト味は昔、普通に売っていた気がするのだが
サラダ味がずっと売れているようですが、倭文野はイタリアントマトを応援します! ロースト味は、甘いのかしょっぱいのか、よく分かりません。あれにバターつけて食べてました。
あの細長い棒のお菓子の日ですよ! チョコレートがけ派、いちご派、塩味派、集まれー! 共同研究室では、先生方が置いてくださった棒のお菓子を、学生さんが開けて、開けて、開けまくっておりました。僕も、まぜてもらいました。中にチョコ入っているタイプも、やめられない。
お菓子もいいけれど、忘れてはならないのは、安達太良まゆみ先生のお誕生日ですよ! 日文の先生は、誕生日が覚えやすいのです。人日生まれの土御門先生以外は、皆、月と日が同じ数字なのですよ。さらに、しょっちゅう二人でいる近松先生と森先生は……同じ誕生日なのよ。近松先生が生まれて十年後に、森先生が産声をあげている、きゃっ、ロマンチック。
安達太良先生が顧問をされている「日本文学課外研究部隊」で、お誕生日会を開いていたそうです。部員の女の子達が、楽器を持っていたけれど……生演奏ですか。カスタネット、かわゆし。リコーダー、でへ、放課後の背徳。三味線、バチの角っこって殺傷能力高いですよね。トロンボーン、苦い思い出がよみがえる。高校生の倭文野、吹奏楽部のトロンボーンのおなごに「どけブタ」と罵られ、踏んづけられました。それと、ん? やけに巻き巻きしたシートみたいな物。楽器だそうですが、分からなかったな。
安達太良先生は、大学の皆に愛されています。ゼミ生さんも、額田きみえさんが代表でお祝いしていましたし、文学サークル「日本文学課外研究部隊」、安達太良先生学級のみんな、学科団「日本文學國語學科團」、先生方、裏合唱部、美術部、演劇部「ゲスタンニス・アイナー・マスケ」、あの「王朝文学講読会」も。太陽みたいなお人だもの、誰もがそのぬくもりに惹かれて、ぽかぽかするんだ。あれ、先生はおいくつなのだろう。うーん、女性に年齢を聞くのは失礼だと、クラリネット吹きの青いひげおじさまが「おおブレネリ」の回で仰っていたな。少なくとも、三十代はいっているはず。日文に限らず、女の先生は美人でございやす。僕も、外見は若々しく、中身は成熟している人間になりたいな。
あとがき(めいたもの)
問:日本文学国語学科の先生方の誕生日を教えてください。
答:誕生日だけお教えしますので、どの日がどの先生のお誕生日か当ててみてください! 睦月七日・弥生三日・皐月五日・文月七日・長月九日・霜月十一日
改めまして、八十島そらです。まゆみ先生、おめでとうございます。霜月十一日は、ある意味で八十島そらが誕生した日付であります。まゆみ先生という人がいたから、あれやこれや書いてこられたのでありまして。モデルが絶対いる! というご指摘が様々な方向よりいただいておりますが、そのあたりは謎にしておきます。安達太良まゆみ、『萬葉集』のある歌からとっているのですよ。弓道部の方が作品研究で発表していたのを聞いていて、稲妻走りました。ありがたや、弓道部の君。




