文月の巻(二)
雑学の神様と呼ばれる肥満界の巨星が、こうのたまいました。「デブの如月は、葉月」だと。では、文月はデブにとっては何月よ!? 葉月の七倍か!? 僕、水無月の末くらいから、帰宅後下着姿で暮らしているのですけれどもねえ! 上半身素のままで、閉店しても公に仕えるマイハニーのために鶏肉揚げていますよ。ええ、汗だくつゆだくマーメイドですわ。この間借りてきた、海を舞台とするアクション映画ふたりで見ましたが、家中、青くてきらきら光る水で満たされていたら涼しいのになと思いました。矛を持って、ぬおおおおおおお!! ゴリラみたいに叫んで、敵をめっためたに倒してみたいですわ。文学部だったせいか、つい展開の裏を読もうとしてしまいますが、この映画は表だけ。両面とも表のコインにたとえられますね。脳筋映画だと評価されるのもうなずけます。脳みそ筋肉の略で間違っていませんよね?
脳も筋肉だったら、肉体労働が楽そうでいいな。空満大学には、体育学部がありまして、主に海原キャンパスで腕を磨かれています。僕、行ったこと一度だけあるのですよ。学科団対抗の運動会でしたね。第一印象は、鬼ヶ島です。校舎から、生きて帰ってこられないような、殺気を放っていましたよね。体育学部の方が、それはもう、お強くてですね……。りんごとパイナップルを片手で破壊していた選手がいました。危うく粗相をしでかすところでした。脳筋から連想したわけではありませんよ、そんなことしたのが明るみに出れば、この日記は遺作となるでしょう。ダイイングメッセージ残しておくか、黒づくめの警部補さんが追い詰めてくれるのを冥土で待つか……ああ、怖い怖い。
文月十四日 テスト、テスト、テスト!!
今日は、なんと! 春学期のテスト前日なのですよねー。共同研究室の学習スペースで、今までのプリントや、ノートを前に頭を寄せ合う学生さんを、温かく見守れる期間です。厳しい一週間ですが、終わったらボーナスステージが待っていますよ! 叔父の畑でとれたスイカ、冷やして待っていますね。いつも最終日くらいに届くのですよ。安達太良先生は、スイカお好きなようで、1玉は必ず召し上がっています。おなか冷やさないかしら……。
春学期のテストで、これは忘れられないぞ! ランキング、ベスト3をやってみます。
第3位「現代文化講A」
いわゆるサブカルチャーを扱った講義です。春はアニメとマンガ、秋はライトノベルについて考えています。最後の問題は「アニメ・マンガにおいて、あなたの推しのキャラクターもしくは声優について、知っているところを述べ、なぜ好きなのかを論じよ」だったのですよ。恒例の記述式らしいです。書けば書くほど点数が取れるわけではなく、正しい知識を持っているか、キャラクターや声優の良さを見つけられているかをみているとか、先生の趣味に付き合わされているだとか説は様々です。倭文野くんは、瞬間移動ができる桃色のボブ乙女への愛を書きましたよ。後半で強化されて、切り離した空間らしきものを武器にして投げつけることができるようになるのですよ。
第2位「近世文学研究C」
日本文学で数学の問題出すとかあります? 江戸時代の算数「和算」の旅人算と馬乗りを、なぜ小問題に入れる? 教室がざわついていましたよ。近松先生は、講義から外れたお話をテスト問題にされることで有名ですから、雑談記録を最前列キープしていた友人に写させてもらって、対策をとれていたはずだったのに、ですよ。頼むから、途中で馬に乗るのを交代しないでください。追いかけるのではなく、一緒に歩けばあと何分後に追いつくとかね、片思いみたいな展開にならなくていいですからー!
第1位「日本文学講読B」等、土御門隆彬先生のテストあり講義
記述「出題者であるわたしは、雅そのものか」は、避けて通れないのですよね。土御門先生の講義で埋めている人は、使い回しの文章にならないように神経をすり減らしているのだとか。僕は、中古文学をメインに取っていましたけれども、どのテストも同じ解答しましたよ。ええ、このようにちゃんと卒業できていますから、大丈夫ですよ。ご自分に酔われて、舞われているのです。「意味が分かりません」「ひなびています」の禁句さえ無ければ、単位は勝ち取れます。
土御門先生の扇に書かれている「雅」のごとく、雅を擬人化したように思えます云々と、自分でも何を書いているのか分からないような答えを書いていたと記憶しています。言わせている(書かせている)感じが強いですけれどもね。かまってほしいのですよ、承認されたいのですよ、王朝文学講読会の指南役は、うさぎさんのように寂しがり屋なのですってば。
あとがき(めいたもの)
問:倭文野さんが現役大学生だった頃、自分の中で一番良くできたと思うテストと、これはもっと頑張れば点数上げられたかなと思ったテストを教えてください。
答:一番良くできたテストは「日本近代史A」です。ソテツ地獄についての記述問題は、傑作だと自賛できるくらい書けたそうです。もっと頑張ればよかったテストは「漢文学研究B」です。試験日を間違えて、勉強があまりできていなかったため、苦しんだそうです。持ち込み可だったのに、頭が真っ白で3キロやせそうになりました。
改めまして、八十島そらです。集中力が5分~10分までしか持たないため、テストの時は残り時間
口を開けてぽけーとしています。これだから点数右肩下がり、個別指導も救いようなしなのです。
夏休み、良き響きですね。ビニールプールに水を張って、足をつけて涼しさを感じたいです。ボールプールもいいな……童心に返って、色玉とあはははは。汚い絵になりそうだから、想像だけで我慢します。




