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卯月の巻(一)

 どうも、倭文野穏万喜(しずのおだまき)です。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 2回生の皆さん、キャンパスライフ、謳歌してますか。

 3回生の皆さん、ゼミでの学びが始まりますね。

 4回生の皆さん、卒業論文にかける1年がやってきましたね。

 僕は、日本文学国語学科の共同研究室で事務助手をしております。共同研究室の管理、日本文学国語学科の事務全般、先生方と学生の皆さんの諸々サポートが主な仕事です。

 (そら)(みつ)大学を卒業してすぐにここへ就職(えっと、つまりは僕、日本文学国語学科、略して日文のOBなのです)して早3年、ただ何もせず日々を過ごすのはいかがなものかと妻にちくちく攻撃されていたもので(別に、鬼嫁なんかじゃないんだからね! 僕は妻が大好きだ! 超絶愛している!)、卯月を機に新しいことをやってみよう! ということになりました。

 新しいこと、そうです、ただいま書いている日記です。三日坊主の代名詞とも友人にいわれてきた僕ですが、今度こそ物事を長いこと続けようと決心しまして。一日一日を、少しずつ書き留めていけば、後で振り返ると大作になっていることを願っています。塵も積もれば山となる理論ですね!

 では、記念すべき一日目は僕の日文での思い出を語りましょう。


 卯月二日 おっす! 僕アゲマキ

 (そら)(みつ)大学では、卯月一日の入学式の翌日、各学科で新入生歓迎合宿を行うのです。1泊2日、2回生の引率で履修登録のアドバイスあり、レクリエーションあり、おいしいご飯ありの行事です。宿泊場所は、大学周辺の空満神道詰所です(詰所の信者の方々、毎年場を提供してくださりありがとうございます)。宗教都市空満市ならではのイベントですよね。

信者じゃなくても入学できますよ。詰所も困ったときには開けてくださいますので。僕も未信者でしたから、安心してくださいね。

 新歓合宿では今もやっていると思いますが、新入生が自分のあだ名をレクリエーション中に発表するのです。そうすることで皆仲良くしよう! というねらいがあります。

 僕のあだ名は「アゲマキ」でした。前2文字いじっただけの簡単な名前ではないですよ。それと、歌舞伎には詳しくありません。生まれてこの方見たことないし、あれは教養テレビの土日にやっている伝統芸能の番組でお目にかかるものでしょう。

 ……はい、どうして「おだまき」から「アゲマキ」に至ったのかといいますと。

 僕、小学生の頃から肥満体型だったのですよ。当時流行っていたモンスター育成ゲームで、僕みたいによく食べてよく寝るモンスターがいました。モンスターの名前から一部とって「ゴン」と呼ばれていたわけです。いつしか、誰かが「ゴンゴン」と2回呼びになり、あれはクラス一のガリ勉君だったかな「ゴンゴンといえばズバリ『箪笥』でしょう!」と発言から「タンス」に変わり、6年生のうちに「タンス」の中に入っているのは服だ、国語の教科書に出てる「反物」だ! というわけで「たんもの」、反物は織物じゃないの? で「おり」。2学期あたりで「男子を女子っぽい名前で呼ぼうブーム」が来たので僕は「おり」から「さおり」に、それから中学から高校1年まではシンプルに「倭文野くん」だったのが、いつものメンバーで「昔、どんなニックネームだったか」が話題になったので以上の経緯を隠し玉として仕込んだら、それが大ウケ。いつの間にか「さおり」とグループ内で呼ばれていたかと思えば、その中でアニメ好きのやつがいて人気声優の名前と同一でござる、今このアニメのヒロインやっているでござるよと、ヒロインの名字「アゲマキ」が定着して、今に至る。あだ名って、連想ゲーム式に変わっていきませんか? 僕だけでしょうか。これ、合宿で要約して話してみようにも、どこをどう端折ればいいのか、アゲマキくんにはさっぱりだったので(アゲマキくん、国語の成績よりも社会と理科、技術の成績が良かったのですよ)、全部話して、長くなってすいません! とジャンピング土下座したら「おもろい動けるデブ」キャラ認定されました。やったね。

 その時のレクリエーションは、「アベック作りましょうナンバーゲーム」でした。事前に名札を配られてそのすみっこに番号が書いてありまして、あだ名発表と自己PRを一通り終えたら、気になった人の番号に投票して、両思いが出来たら2日目の解散時にアベックとして紹介されるという甘酸っぱいゲームでした。風の噂では、今年の合宿で久々にするみたいですね。

 僕は、清楚なボブカットの女の子を推しましたけど、撃沈しました。ボブの君は、スポーツ選抜で入ってきた女子校育ちのアスリートをご指名されていたようですが片思いだったようです。僕の、初恋は早々に散ったのですよね。まあ、そんな痛みを乗り越えて、今は天下一かわいい嫁をゲットしたのですけどね。いつか嫁のこと書きたいな。


 こんな感じで綴っていきますので、今後ともよろしくお願いします!


あとがき(めいたもの)

問:空満大学は、どこにありますか。

答:内嶺県空満市袖之内町一〇八〇番地です

 改めましてこんにちは、八十島そらです。

 おかげさまで体調が快方に向かいまして、こうしてつらつらと筆を進められるところまで至りました。

 このシリーズでは、空満大学日本文学国語学科のほのぼのした日常をのぞいていただければと思います。身体と相談して書いてゆきますので、次話まで間があくことがございます。ご了承ください。


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