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『2話 :クモと水筒』


今日もいい天気ですね〜。あ…!お久しぶりです、天の声です。


タクチィーの最初の作戦からはや1週間…。『今日はすごいもんが見れるぞ。ガッハッ…ハッハッ〜〜!』と言われたのでまた覗きに来たのですが…、何やら蜘蛛クモさんとお取り込み中のようなので、そっと覗いてみましょう…。



”タクチィーさん、準備完了しました…!”


”そうか、ご苦労だった。後は待つのみだ…!!”


”水飲み作戦…絶対、いや…間違いなく成功すると思います!”


”お前もそう思うか!!まあ、今回は秘策だからなー!ガッハッ…ハッハッ〜〜”


”ハイ!けど、最初にタクチィーさんに自分の体の水をとってくれと言われた時にはビックリしました。”


”ハッ…ハッハッ〜!お前も知らなかったか…サボテンの中に水があるのは有名だが、それにまさか毒が含まれているとは知らないやからも多いだろうな。”

(*大半のサボテンは水に毒素が含まれています。砂漠で水を飲みたくても無闇にサボテンの水を飲んではいけません)


”タクチィーさんの体の水をまゆみさんに飲ませるとは…。やはりタクチィーさんは天才すぎでフゥ…。……です!”


”そうだろ、そうだろ…!朝、あの小娘が水筒を忘れていくのを見て咄嗟に思いついた作戦だがな。俺様の毒入り水はお前のおかげで水筒に入れることが出来たからな、後はアイツにそれを飲ませるだけだ。ガッハッ…ハッハッ〜〜。”


”よし蜘蛛!俺様を50cmそっちに動かせ…これも作戦の為だ!やさしくだぞ…やさしく!”


”分かりました!!では失礼します…。”


蜘蛛さんはペンを器用に使ってタクチィーを動かし出しました。


”ヨイショ…ヨイィショ…。”


しかし、次の瞬間…


ガシャン!!!


”イタタタタッ……”


どうやら、蜘蛛さんは勢い余って窓の淵からタクチィーを落としてしまったようです。


”あわあわ…どうしよう、どうしよう。すみません…すみません、すみません。”


”オイ…!!!クモォォォ!!!”


”ヒ…ヒィ〜〜〜!!”


”クソォ…!!俺様のパェ〜フェクトボディ〜に傷が入ってしまっただろうが…!!”


”すまませんでフゥ…!”


”あ〜〜ん?”


”……です!!!”


”はぁ〜〜…。今回は慈悲深すぎる俺様が…ト!ク!ベ!ツ!…に許してやる。次はないぞ!”


”ありがとうございます…ありがとうございます…(ペコペコ)”


”ヨシ…!後は俺様に任せろ…。お前はもう帰れ。”


”しかし、このままタクチィーさんを床に放置するわけには…。植木鉢も割れてますし…”


”大丈夫…作戦通りだ!!まさか俺様がお前のミスを予想していない訳がなかろう。”


”さ…流石タクチィーさんです!では、失礼しまフゥ…!……します!!!”


”さて、ここからどうするかな…”




4時間後……


「いや〜今日もがんばった私!」


どうやらまゆみが高校から帰ってきたようです。


”やっと来たか小娘…。俺様をこれ以上この薄汚い地面と接触させるな…!早く俺様を見つけるろ!ここだ、ここ!”


しかし、彼女は中々気付きません。


”おっと、説明し忘れていたな!今回の作戦は名付けて…ヘトヘトウォーターデュュリィィィンキング大作戦だ!!蜘蛛クモのアクシデント…いや、『予想通りなアクシデント』…を上手く活用し、彼女に水筒の水を飲ませると言う算段だ…!!”


すると、まゆみは地面に落ちたタクチィーに気付きました。


「ん?…タクチィ〜〜!!!なんで落ちちゃってるの〜〜?…今助けるからね♪」


そう言うと、彼女は何かを取りに部屋を出て行きました。


”フン…ッ!ここまでは計画通りだ!どうせ俺様を移動させるためのクソ長い棒(訳:菜箸)と俺様の新居(訳:植木鉢)を取りにいったに違いない。”


しばらくするとタクチィーの予想通り菜箸と植木鉢を持ってきたまゆみは、部屋に戻ってくると掃除機で散らばった土と破片を掃除し始めました。


”ハッ…ハッハッ〜小娘…!ちゃちゃと綺麗にするのだ!!”


彼女はトゲに触れないように器用に菜箸でタクチィーを新しい植木鉢に入れると、新しい土を入れました。


”手際が悪いぞ〜…人間〜。これも普段お前がこまめに土を入れ替えないからだろな〜。これからは、二日に一回は変えるようにな!”(*サボテンは一年に一回植え替えすれば十分です)


そして、全ての片付けが終わったまゆみは最後にタクチィーを元の場所に戻しました。


”クソッ…!運良くば、このクソ暑い場所からおさらば出来ると思ったが、コイツまた同じ場所に戻しやがった。こうなれば、何回でも落ちてやろうか!けど…もう一度落ちるのは…な〜。怪我するかもしれんしな…。やめよう!”(*タクチィーはビビリです)


「あ〜疲れた〜!タクチィ〜も大変だったね。お疲れ様…!」


”いや〜、それにしても新しい植木鉢は良いな〜。実に最高だ!”


”おっと…!いかんいかん、本番はここからだ!!俺様の予想が間違っていなければ、…間違っているわけがないのだが、一仕事終えたあの女は喉が乾いてしょうがない…。そう…!ちょうどそこにある水筒を飲むのだ!”


「ちょうど今日忘れてちゃった水筒あるじゃん…!ラッキー!」


まゆみは机の上の水筒を手に取りました。


”キュュュイターーーーーーーーーー!!!!!!…貴様は今日から三日間、下痢と嘔吐の症状に苦しむだろうな〜。ガッハッ…ハッハッ〜〜!!”


水筒を開けたまゆみはタクチィーを一瞥すると、


「あ…!!タクチィーの方が一日床に転がってて大変だったよね。このお水はタクチィーにあげるよ…!」


”ホヘッ!?…コイツは一体何をいってるんだ!?”


「ごめんね〜、タクチィ〜♪」


やさしいまゆみは水筒の水を全てタクチィーにあげました。


「いっぱい飲んで大きくなってね〜〜〜」


ジョボジョボ〜ジョボジョボ〜〜〜


”やめろ、やめろ…!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!”




翌日……


”タクチィーさん…!大丈夫ですか?顔色悪いですよ!”


”大丈夫だ…こんな毒では俺様は死なん…。それより次の作戦を実行しなければ…。”


”少し休んだ方が…。”


”…フンッ!実はここまではウォーミングアップだったのだよ。直ぐ終わらせてしまってはつまらないからな…!ハッ…ハッハッ!しかし、次は最強の作戦で行くぞ!いや〜何もしてないのにあの女の絶望した顔が自然と浮かび上がってくるぜ!ガッハッ…ハッハッハッ…オェ…オェ…オエェェェェェェ〜〜〜〜……!”


”タクチィーーさ〜〜〜〜〜ん!!”


(*この後、タクチィーは三日間嘔吐下痢に苦しみました)


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