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第一部~あらすじ~
全世界を巻き込み七年五か月にも渡り戦われ、
決定的な勝者も確定されぬまま休戦を迎えた『全球大戦』は、
累々たる死者と深刻な荒廃の他に、極めて厄介な問題を後世に残す事となった。
帝国と同盟の境界線上に横たわる広大な氷河『チュルクバンバ氷原』の帰属問題である。
境界線の確定を巡る話し合いは何度も持たれたものの、
過酷な自然環境と治安の不安定さを理由に、
同盟は一向に確定に必要な測量を行おうとしない。
これに対し、帝国新領総軍特務機関長のトガベ・ノ・セツラ少将は、
空前絶後の策を案じる。
その成功に欠く事の出来ない革新的技術の開発責任者として、
若干二十四歳の原住民女性士官シィーラ・ルジャ・シャルマ少尉に白羽の矢が立つ。
突如として与えられた過酷な任務。
はたして彼女は達成する事が出来るのか?