5話:レアスキルの検証
初回投稿から時間が空きました。
なるべく1/週で投稿しようと思います。
5話:レアスキルの検証
ボスを倒してダンジョンを後にした俺たちは、今日のプレイは終わりにしてログアウトした。しかし、ボス攻略の興奮と今までのつっかえも取れたためか、電話で長い時間話をした。先程のボス戦のこと、これからどうしよう?違うダンジョンにも行こうか?など俺と桜は今までの隙間を埋めるように話し合った。気が付くとボス戦以上に話をしていた・・・
《森の中》
次の日、森の中の安全地帯かつセーブポイントで待ち合わせをした。
手に入れたレアスキル【パートナー】を検証しようということになったのだ。
「検証といってもどうするんだ?」
単純な疑問をサクラにぶつける。
「うーん、取り敢えず思い付いたのが・・・」
「こいつですか」
「うん。このモンスターで試そう!」
安全地帯から出て、目当てのモンスターを探して歩き回りついに出合った。サクラに縛りプレイで倒された熊型のモンスターである。
こいつを初期武器でどれくらいで倒せるか試してみようということになった。
ちなみに最初の時とほぼ同じ条件として、それ以外のスキルも外して検証しようということになり・・・
「じゃあ、行くよ!」
サクラは勢い良く駆け出し、同じ要領でモンスターの攻撃を躱し、一閃する。
「グギャアアア・・・」
たった一閃で断末魔を上げて倒れ、光の粒子となり消えるモンスター、それに驚く俺たち。
「えっ!えっ!これって何かのバグ!?」
「おおお落ち着けサクラ!」
二人して結果に驚き、焦る。
いくら大幅上昇といってもこれはチート過ぎると思います運営さん。
モンスターを倒した当の本人は・・・
「ふっふっふっ・・・無敵の力を手に入れたーーーー!」
「力の代償で頭がおかしくなった・・・」
ハイテンションで叫んでいた。
俺の言葉など聞こえていないみたいだ。
結果として、レアスキル【パートナー】はとんでもなくおそろしいスキルだということが分かった。所謂チートだと言われるスキルに間違いない。
スキル【パートナー】の検証も終わり、一度始まりの街に戻った。
「これからの方針としてどうしようか?」
ハイテンションからやっと戻ってきたサクラが俺に尋ねる。
森の中から戻る間もそのテンションは止まることはなかったが、やっと落ち着いたみたいだ。
「その前に一つ解決しないといけない問題が・・・」
「うん?何?」
「俺たちまだ初期装備じゃね?」
「・・・あっ!」
これから何かするにしても装備を整えないとやっていけないだろう。
「よく私たちボスに勝ったね」
ハハハと楽しそうに笑うサクラ。
「ほんとだよ、まったく」
いくら他のプレイヤーに先起こされるかもしれないからといってなぜ俺はあの時そのまま向かったのだろう?サクラと冒険したくてたまらなかったんだな。
「装備の件もあるけど、回復アイテムの補充だとかある程度の情報も収集しなきゃな」
俺は他にもやらないといけないことを言う。
すると・・・
「あっ!」
「どうした、サクラ?」
「回復アイテムつまり生産職の人!仲良くなったっていってた人!」
「なんだよ、急に」
「むーーー」
どこか拗ねているような声を上げ、こちらを睨んでくる。
「どうしたんだよ?」
「何でもない!」
俺を置いてズンズンと歩いていく。
俺は置いて行かれないようにサクラを追う。
「バカッ、浮気者」
「うん?何か言ったか?」
「なんでもない!」
「なんで怒ってるんだよ」
怒って先へ先へと進んでいく。
俺は何が何だか分からずサクラの後を追うしかなかった。