16話:俺たちに与えてくれるもの
イベント当日です。よろしくお願いします。
第一回イベント:ボスタイムアタック当日
「おおー、始まったぞ!」
「頑張れーー!」
このイベントは参加者、不参加者問わずゲーム内に浮かび上がっているモニターでそこで戦っている上位プレイヤーを見ることが出来る。
モニターでは最大六人で構成出来るパーティーが、俺たちが一番を取る!勢いで奮闘していた。
所変わってユウ&サクラパーティー。
二人で果たしてパーティーと呼べるのか?六人パーティーに勝てるのか?そんなことを考えているのかと思いきや、イベントが始まってみれば・・・
「楽しいね!ユウ!」
「楽しいけど!あんまり暴走するなよ!」
数では圧倒的劣勢に立たされている二人は楽しんでいた。
ボス戦が始まって俺は・・・
「ソイルバレット!」
ボスモンスターに土の針を飛ばしていく。
普通なら土の礫が飛ぶだけだが、土属性の宝珠とスキル:パートナーのおかげで巨大化し、威力も上がっている。
サクラは相変わらず・・・
「よっ、ほっ」
持ち前の運動神経と反射神経で敵の攻撃を回避しまくっていた。
今回のボスモンスターはなんとドラゴンであった。
まさに王道、ファンタジーに出てくるドラゴンそのものだ。
最初は怖え〜と思ったがサクラと一緒にプレイしているとだんだん楽しくなっていた。
一人でプレイしている時ももちろん楽しいが、サクラと一緒にプレイしている時はそれよりも楽しく俺に新しいものを与えてくれる。
それがこのゲームの由来なのかも知れない。
新しい興奮を、心躍る冒険を
それを今、俺たちは体験している!
「はあ!トライスラッシュ!」
三角に斬撃を入れる技で敵を斬り付けていく。
サクラは前脚の叩きつけ、ブレス攻撃を難無く回避し、攻撃を加える。
それだけでなく、我流とも言える型で攻撃を行っている。
(多分今までプレイしてきたゲームから自分流にアレンジして型を作るという意味不明なことしてるんだろうな〜)
まさにチート、改めてサクラの凄さが分かる。
「ユウ、もうすぐだよ!」
「ああ、ソイルバレット!」
俺の魔法が決定打となり、ドラゴンを倒した。
「だいたい二十分くらいか?」
「だな、それ以内は無理だろ」
モニターを見ながらプレイヤーたちが話し合っている。
このイベントは何も一回戦って終わりではない。
制限時間が5時間設けられており、その中で、何回でも戦っていいし、一回だけでもいい。
その中で・・・
「おい、二十分切ったパーティーがいるぞ」
「すげえなぁ、どんな奴らだ?」
プレイヤーたちはモニターを見上げる。
「二人?はぁ?」
「はああああああああああ?」
プレイヤーたちは全員で大声を上げた。
「なんだよ、あの二人!何したんだよ!イカサマか?」
「違えよ。ちゃんと倒してる!何だよあの女の子の動き!人間の動きじゃねー」
「魔法使いもやべーよ、何でボスのHPあんなに削れてんだ?」
「お前ら知らねえのか?掲示板に上がってたプレイヤーだよ」
「あの桜色の剣士と黒の魔法使いか?あいつらが!」
「おい最新記録更新したぞ!どこまで行く気だ?」
そんなことをつゆ知らず、ユウたちは・・・
「サクラ〜、もういいだろ〜、何回やるんだよ」
「まだまだ、もっと記録出すよ!」
俺はもういいと思うのだが、サクラが暴走して止める気配がない。
はあと思いながらも付き合った。
そのまま戦い続け、5時間が経過しイベントが終わったのだった。




