10話:奇妙な裁縫士
長く期間が空きました、すみません。
無事?コカトリスから素材を集めた俺たちは始まりの街で裁縫士を探していた。
俺の新しい装備を作るためである。
「でもさ、この金色のコカトリスの素材どうしよう?」
「だよな、元々黒色の素材を探してたわけだし」
副産物的に手に入れた金色に光るコカトリスの羽毛、それの使い道を探していると・・・
「君たち!それはコカトリスの素材かい?」
「えっそうですけど・・・」
いきなり話しかけてきたプレイヤーにびっくりする、そして・・・
「頼む!その素材を俺に譲ってくれないか!」
土下座をして俺たちに素材を欲しいと頼み込んでくる。
「ちょっと、止めてください」
頭を地面にゴリゴリ擦り付けているプレイヤーを諭す。
事情を聴くと、レア素材ハンターのプレイヤー(自称)のカルニさんは武器・防具全てをレア素材で固めたいという。そのためにレア素材を集めている。
「どうする?ユウ」
「俺は別にいいけど・・・サクラは?」
「うーん?上げてもいいけど・・・タダというわけにはいかないから」
「ありがとう!ありがとう!君たち!この恩はいつか!」
そう言ってカルニさんは走って去っていった。
「あれで良かったのか?」
「私たちには必要ないからねー」
結局、モンスターの素材と鉱石類などを少しもらって、後は・・・
「裁縫士の人がいる場所も教えてもらったし、これでユウの装備が作れるね」
よほど俺の新しいが見たいのか嬉しそうにサクラは笑う。
俺も嬉しくなりその場所に向かって歩き出した。
「ここがその場所?」
「うん。そうだと思うけど」
明らかに廃墟だ・・・
大通りから外れた路地裏にそれはあった。
「本当にここに裁縫士がいるのか?いたとしても何であの人こんな店知ってるんだ」
「まあ、取り敢えず入ってみようよ。おもしろそう」
喜々として中に入るサクラ。昔からこういうの好きだよな。
お化け屋敷も平気だし、こんな廃墟にも楽しさを見いだせるのはすごいと思う。
「すみませーん、誰かいますか?」
返事が返ってこない、いないのか。
「すみませーん、誰かいます・・・」
「だ~れ~大きな声で叫んでいるのは・・・」
店の奥から出てきたのはゴスロリ風の衣装を身に纏った女性だった。
ただ長い髪が前に垂れ下がっており、そこだけ見れば幽霊だ。
「なんか凄い人出てきたね」
小声でサクラが耳打ちしてくる。
「確かに幽霊みたいでな」
「全部聞こえてるわよ・・・」
「すみません!」
「ごめんなさい、そういうつもりじゃ」
「いいわ、何の用?」
「ユウ・・・彼の装備を作って欲しいんです・・・」
「いやよ」
「えっ?」
「男の装備は作らないことにしてるの・・・」
「そんな・・・そこを何とか、お願いします!」
「うるさいわね、だめなものは・・・」
「何か?」
サクラの顔をガン見している。すると・・・
いきなり自分の髪をかき分けて、サクラに近寄る。
「何か!」
「出会えたわ・・・」
「えっ?」
「運命の人に出会えたわ~~~」
背中を反らして雄たけびを上げている。
「今までリアルでも出会えて来なかった、私の作品を着てくれる人を!」
「私の作品?もしかしてその作品を着ればユウの装備を作ってくれますか?」
「それとこれとは話が別と言いたいけど・・・いいわその条件で・・・」
「サクラ、よくあの人の言いたいことが分かったな・・・」
「カンで!」
ドヤ顔で言うサクラにびっくりする他ない。
「じゃあさっそく・・・」
「分かりました!」
「おい、流れで進んでるけどいいのか?」
「いいよ、いいよそのくらい。可愛い衣装着せてくれるんですよね?」
「もちろんよ、後悔はさせないわ・・・ふふふ」
まあ、二人がいいならいいか。
それから俺は外につまみ出されて、サクラは衣装をたくさん着て写真をたくさん撮られた。
後で写真を見せてもらったが、めちゃくちゃ可愛かった・・・




