0話:プロローグ
初回は一時間ごとに、計五話投稿します。
二人の冒険を温かく見守ってくれたら嬉しいです。
第一章:New Excite Onlineの世界
0話:プロローグ
New Excite Online
新しい興奮を、心躍る冒険を。
これを謳い文句に新たなVRMMORPGが発売された。
プレイヤーは、初期武器(剣・槍・杖など)を選び、さらに初期スキル群の中から10個スキルを選ぶ。自分たちが自由にプレイしたいスタイルを決めることができる。(後から武器を変えて、違うスタイルでプレイすることもできる)
スキルを派生させたり、新しいスキルを探して強い敵と戦ったり、武器や防具を生産する生産職についたり、趣味スキルを取って趣味に励んでもいい。
こんなゲームを幼馴染とやるのだが・・・
俺は、このゲームをやって良かったと心の底から思えた。
「見てみて悠!ついに手に入ったよ!」
玄関の扉の前で腰まである黒髪を揺らして、興奮そのものといった様子で、少女が俺(青江 悠真、愛称:悠)に話す。
「おかえり、桜」
学校から帰宅し、制服から私服そしてエプロンを着けた俺が少女(足守 桜)に返事をする。
おかえりと言ったが、家族ではない。
お隣さん(いわゆる幼馴染)で家族ぐるみの付き合いがあって、家にもよく出入りしているからである。
「取り敢えず、中入って」
「うん、お邪魔しまーす」
リビングに通し、お茶を持っていく。
「悠、これが例のブツだよー」
「なんかそれ怪しい取引をしてるみたいだな」
苦笑しながら、お茶を桜の前に置く。
対面に座り、その“例のブツ”についての話を聞く。
「New Excite Online、通称:NEO、買ってきましたー」
「おーこれがそうか」
パッケージには剣や杖を持っているキャラが描かれている。
「悪いな、俺の分まで」
「いいよ、そのくらい。でも美穂には今度何か奢ってあげてね」
「了解」
と言いながらも高いものを要求されるんだろうなと遠い目になる。
俺の両親は忙しく、家事を俺が担当することが多い。なので今回は一人一つのゲームを桜とその友達の美穂に買いにいってもらっていたのだ。
美穂の性格的に駅前のパフェか?多分桜の分まで奢るんだろうなと少し憂鬱だ。
「さあさあ、さっそくやりましょうぞ、殿」
「楽しみにしてたのは分かるけど、さっきからテンションおかしいぞ」
またも苦笑しながら、返事をする。
「でも、家のことあるから夕ご飯の後でもいいか」
「もちろん、先にログインしてるかもだけど、悠と一緒にしたいから」
それから少し話をして今回はお開きとなった。
夕ご飯の後、一緒にに買ってきてもらったVRヘッドギアを頭に装着し、ベッドに寝転がる。初期設定はすましたので、これで後は自然に眠たくなり、ゲーム出来るそうだけど、何分初めてのことなので、少し不安だ。などと考えていたら眠たくなり、次に目を開けると真っ白な空間にいた。
〈キャラエディットを開始します〉
真っ白な空間でそんな機械的な音声が流れた。
「まずは名前からか、いつも使っているユウでいいか」
そのままキャラエディットが進み、髪の色や肌の色などを決めていく。
こだわりは特にないので、そのままでいく。
そういえばヘッドギアで顔をスキャンした時、キャラが女になるっていう漫画を見たことがあるが、そんなことって本当にあるのかと疑問に思いながらも進めていく。
最後に、初期武器とスキルを選んでいく。
このゲームは、Levelが上がれば、HPとSP(スキルポイント:スキルを使うときに消費するもの)の上限も上がる。
ステータスとして、STR、VIT、INT、MND、AGE、DEX、LUKの7種類があるらしい。
装備を付けることで、例えばDEX+3というふうになる。
装備箇所としては、武器、頭、体(上)、体(下)、腕、靴、アクセサリー(装備数:3)となる。
そして、スキルは初期スキル群から10個選んで開始。
取得したいスキルはゲームの中で探していくとのこと。派生もあり。
「ヤバい、どうしよう」
そう言ったのは、どのようなスタイルでプレイしていくか決めていなかったからだ。
武器には、剣、槍、杖といったものが様々あるが、近距離で戦うのか、魔法で遠距離から戦うのか、決めておけばよかった。
悩むが・・・桜は多分あれだろうし・・・
そういう意味でも“これ”が一番いいと考えた。
そして“これ”でいくなら、こういうスキルがいい。そう思い、キャラエディットを終え、ゲームの世界に飛び込んだ。