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OS第2話  作者: チュン
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「どうしたんだい?突然」

 中から出て来たのは、黒い牧師風の衣装を着た男性だった。

「連れが、いきなり体調を崩しまして」

 ニボユボがそう言うと、男は2人を中に招き入れた。

「とりあえず医務室に運ぼう。おい、しっかりしろ」

 ビリヅは目を閉じたままで反応はない。

「私はここの入門者教育主任のズジだが、君たちは誰だい?」

「私はニボユボ、連れはビリヅ。2人共、入門希望者です。チロゾトブ教区ヌュズノから来ました。彼は転生者です」

 ズジとニボユボはビリヅを両側から支え、1つの部屋に入ると、その部屋のベッドにビリヅを寝かせた。

「ビリヅ君には何か持病があるのかね?日頃服用してる薬とか?」

「持病も薬もありません。ホント、突然だったんです」

 ズジはニボユボの答えを聞くと、

「ならばシスター・ツニの出番か。彼女は癒し魔法の権威なんだ」

 ズジはそう言うと、部屋を出て行った。

 ベッドに横になったビリヅは、何とか意識は保っていたが、頭の中がクルクルとして、朦朧状態だ。ニボユボが耳元に語りかけた。

「どうだ。これで一発で、癒し魔法のシスターのお出ましだ」

 ビリヅがやっとの思いで目を開けると、やがて黒と白のシスターの衣装をした、若い女性が部屋を訪れた。

「私はツニと言います。こちらですね、体調を崩された方は。それでは、ここで癒し魔法を施します。お連れの方は、少し後ろに下がって、静かに見ていてください」

 ニボユボはツニに言われると、部屋の隅にある椅子に腰かけた。ツニは立ったまま、お祈りをして、何やら呪文を唱え始めた。

 しばらくすると、ツニの眉間の辺りから、青白い光が出て来て、その光がビリヅを囲んだ。すると、ビリヅの体の奥底からパワーが湧き上がり、朦朧としていた症状を吹き飛ばしていく。

 ビリヅがそのパワーに驚いて目を開けると、何故かニボユボがツニの手を握り、ボロボロ涙を流していた。

「ど、どうされました」

 いきなり手を握られ、ツニが怪訝な声を上げる。

「ツニさん、それは神でも、宗教でもない。あなたは生命エネルギーを、こんな奴のために浪費しているだけだ。早死にしますよ」

 「こんな奴」・・・。ビリヅは、ますます、ニボユボが分からなくなった。

「何故、そんなことをおっしゃるの。これは神の御業と聞いてます」

 戸惑った様子でツニが言うと、ニボユボは答えた。

「神の御業が人の命を奪いますか?こんな行為を繰り返していたら、シスターは皆、長生きなどできませんよ。違いますか?」

 ビリヅが薄目を開けて見ると、ツニは明らかに動揺していた。

「あなた方は自分の命をすり減らし、教団に利用されているだけですよ。ならば、どこか人に見つからない部屋はありませんか?私が、そこで、本当の神をお見せしましょう」

「本当の神・・・?ならば、私について来てください」

 2人はビリヅを残し、部屋を出て行ってしまった。

 その後、ビリヅはベッドに座り、どうすべきか考えていたが、ドアが開いたので、慌てて横になった。

「あれれ?シスター・ツニはどこだ?ニボユボ君もいない」

 入って来たのはズジだった。スジはビリヅに話し掛けた。

「顔色は大分良くなったようだな。おい君、大丈夫か?」

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