空に染まる朝
初投稿です。お手柔らかにお願い致します。
「清くあれ」
我が師に言われた言葉だ。清くあれ。言葉の通り清く正しく 誰かの救いの手になりなさい、という意味だと私は思っている。しかし、私は清くなんて居られない。
理由は簡単だ。
現世界は魔法と科学の混合する世の中。
私の住む、メーデイアという魔法に支配された国では年齢関係なく強い者こそ正義となされている。
また魔法と科学の対立により終末戦争が起きる。力有る者は皆駆り出され数多の人が死に、病に悩んだ。
勿論、私もその戦争の兵士だった。前線に出て百は殺した。その地には優しさなどなく慈悲も全て失う。いや、そんな感情などあってはならんのだ。
しかしそんな悪魔に操られる日々は長く続かず一年で終結を迎えた。
幸い私は軽傷で終わり、高校へ進学するか迷っていた。迷う、というのも、この心で勉学に励むことはできる、とは言いきれなかった。故に前線に選ばれた中学生など数える程度しか居なかったからだ。
そんな中、心身共に弱っていたとき、ある手紙を受け取った。この国最高峰、魔法使いの聖地、全魔法使いが目指す学園、メーデイア学園から教師としてこないか?、と誘われたからだ。そりゃ、……そりゃあ、最初は夢だと思った。私は齢15だ。教師、なんて……。
しかし、そんな話も珍しくはないのだ。終結後、多くの成人が亡くなった為、魔法界、科学界、どちらの社会情勢も悪くなった。結果、全てにおいて衰退した。だから未成年でも雇われるのは少なくなかった……が、教師というのは……例はなく、これは初めてだと思う。
高校へ進学せず、教師の人生を歩むなんてきっと苦労するだけ。そんなこと知っている、でも、変えねばならないのだ。この、腐りきったメーデイアを。
「御子柴センセイ」
「……はい」
「そろそろ教室へ」
「ですね、理事長。……あなたという人が本気で私を6年と組の担任にさせるなんて随分頭が腐っているんですね」
「君みたいな教師は我々も誇らしいよ御子柴センセイ。腐りきった私を変える術もないのなら仕方ない」
「……」
「そんな目をしないでくれ。
御子柴センセイは上級魔法使い。社会地位も高いあなたならあの出来損ないを救い出せるだろう?
ほら、思い出して。清くあ────」
「わかりましたから、その口を閉じてください」
「いやぁ、怖い怖い。じゃあ期待しているよ」
年の離れない子を弟子とするなんて、私にできるのでしょうか、我が師よ。私の幸福をどうか祈っていてください。