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異世界転移したんけどほぼ普通の人間なので毎日がサバイバルです  作者: おるる
第6章 追う者と追われる者では追う側のほうが楽しい
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13 気心知れたやつらとの酒の席は充実する

酒場に行きます。



「あっ! 待ってたよ!」


 エーシャと酒場に着くと酒が入ってご機嫌なネシャが手を振っている。ニョロゾもニーチェとの会話が弾んでいるのか酒場に響く笑い声をあげている。


 オルは……食ってやがる……俺が来たのも気づかずに肉の塊をはぐはぐしているな。


―おい。何を食ってるんだ?―


―……出された物は食べないと料理人に失礼だろう? 世の中には飢えて命を落とす輩もいるのだぞ―


 誰だ? オルにこんな言い訳がましい一般常識を教えたやつは?


「なんか久しぶりな感じがするね。どうだったキマイラの討伐は?」


 椅子に腰掛け、店員につまみと酒を注文しながら三人の武勇伝を期待するエーシャ。


「いや~やっぱあのクラスの魔物になると歯応えが違うな。なんて言うか……スリル満点のバトルを味わうって感じかな。」


「だねだね! 勢いだけじゃ狩れないから、個々の特性活かしながらの連係は色々と勉強になるしね!」


「って言ってるネシャが二頭ともとどめを刺したんだよ! ニョロゾの撹乱と隙を作り出す動きは私には真似できないよ~!」


 さすがオルーツアを代表する化け物達だ。側で聞き耳を立てている冒険者達も三人の話を酒の肴にしている。


「んで、思ったんだけどさ~エーシャも次の依頼には参加してよね! やっぱ魔法使える術士がいるのといないのとではキマイラみたいなのには対処しやすいってのがよくわかったよ!」


「だな。何度か危ない場面があったが、エーシャがいたらって思ってしまったからな。とにかくヒールが欲しかったわ。」


「キマイラか~。話にしか聞かないから実際見てみたいとは思うけどね。機会があれば行こうかな。俺の魔法がどれだけ高ランクの魔物に効くか試してみたいしな。」


 このテーブルにいるのはどんだけバトルが好きなんだよ……しかも、この化け物トリオが手に余る魔物なんぞ遭遇したくもないぞ。絶対に参戦したくないな。


「キノも今度行ってみ……」


「いやいや! 自殺しに行くようなもんだから俺は行かないぞ。俺はギルドに貼り出される依頼くらいがちょうどいいんだよ。」


「ぶ――! いろんな魔物と戦えばそれだけ経験が積めるんだぜ。まぁ、命の保証はできないけどな。」


「そこ! そこが一番大事なとこ! お前らみたいに強いわけじゃないんだからな。ランクがあがったって言っても、まだかけ出しなんだから無茶言うなよ。」


 ここははっきりとした態度を示しておかないと間違いなく連れて行かれるからな。そりゃこいつらみたいにアホみたいに強かったら、魔物を狩るのも楽しいかも知れないけど……


「で、キノのクエストはどうだった?」


 興味津々な顔でネシャが問いかけてきた。



~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~



「なるほどね。真っ黒い飛竜か。」


 酒が入っているにもかかわらず、 いつになく真剣な顔のネシャとニョロゾ。どうやらこの二人でもあの飛竜のことは知らないみたいだ。


「ああ。殺気はなかったんだが、あんなの勝てる気がしないわ。むしろよく生かされてたと思うくらいだ。ビビが可愛く見えたほどだからな。」


「う~ん。話を聞くかぎりじゃその『器』を守ってるのは確かみたいだね。グラーシュさんにはそのこと話した?」


 おかわりのジョッキを受け取り酒を流し込むエーシャ。


「いや、下手に話して刺激したら、あの人の事だから作戦を練って再挑戦しようと言われそうだから黙ってたよ。正直なところ、あの飛竜とは二度と顔合わせたくないな。」


「そっか~。キノがそう言うなら私達が行くのもやめておいたほうがよさそうかな。」


 おい……この子は一体何を言い出しているのかな?


「……ニーチェ? 行く気だったのかい?」


「うん! もしキノがクエスト失敗したら手伝ってあげようって三人で話してたんだよ!」


「だねだね! オルちゃんいるからたぶん死なないだろうけど、クエストは果たせるかどうかは分からないからって言ってたんだよ。」


「はい。却下です! 俺は絶対に行かないからな!」


 まったくもってどんだけ無謀な連中なんだ……これが第一線で活躍する冒険者の考えなんだろうか。


「でさ、今回の報酬で結構儲かったから俺はとある夢を実現しようと思うんだ。」


 「「何?」」


「マイホームだ!」


「おお! 家か! ということは、オルーツアに落ち着くのか?」


 ニョロゾが嬉しそうにバンバンと俺の背中を叩く。


「だな。ここを拠点として活動するのも悪くないかなって。エルシュさんにはさっき話したんだ。」


「そっか~。ちょっと寂しくなるなぁ……」


 いきなりのことでびっくりした表情のニーチェ。長い間居候してたから家族のような感じになっているのだろうか。


「まぁいつでも遊びに来いよ。ニーチェの足なら散歩がてらあっという間に来れる距離だろ?」


「うんうん! オルーツアにいるんだからご近所さんだね!」


 途端に花が咲いたような笑顔を見せる。うむ。やっぱり女の子は笑顔が一番だ。


「じゃ、家を建てたらお祝いしないといけないな! その時は派手にやろうか!」


 酔いが回ったエーシャが笑顔で提案する。


「おう! その時はみんな呼ぶからな。またみんなが食べたことない俺の手料理を振る舞ってやるぞ!」


 



 こうしてみんなとの再会を楽しみ解散した。


 帰り道、ニーチェに言い忘れたことをふと思い出し、話そうか迷ったがサチが来てからでもいいかと話すのをやめた。

 冷たい夜風に吹かれながら歩いていると、不意にニーチェが聞いてきた。


「キノはどんな家を建てるの?」


「そうだな。あの敷地に収まる家にするつもりなんだけど、一応考えてはいるんだ。ただ、この町にはない造りだから人目を引くかもな。」


「そうなんだ! すっごい楽しみだな! もしかして……ネットショッピングで?」


「おう。俺の手持ちだとネットショッピングで買うほうが安くつくからな。」


「ひえぇぇ! 家まで買えるんだ……」


「すごいだろ? 明日には家を決めて、明後日から建てるからな。ニーチェも手が空いてたら手伝ってくれないか?」


「もちろん! 私が家を建てる手伝いをするなんてね!」


「結構な力仕事になると思うからな。無理せずぼちぼち建てよう。」


「うん! 他にも手伝ってくれそうな人がいたらいいね!」


「そうだな~。人手はあればあるほどいいんだけど、できるなら身内でやってみたいかな。」


「じゃできる限り手伝うからね! オルちゃんの部屋も作らないとね!」


 にゃあ~っと鳴きながらニーチェと並んで歩くオル。丸々とした腹が歩きにくそうだ。


―ふっ。ようやくワシのプライベート空間ができるのか。期待しておるぞ―


―地球でもペット専用の部屋なんてそうそうないぞ。お前の部屋は間取り次第だからな―



 オルの要望を軽くかわすが、色々助けてもらってるこいつにはちゃんとした部屋を作ってやりたいな。

 でも猫の部屋ってどんな感じで作ればいいんだろう? 

 キャットタワーやキャットウォークなんか作ったらオルに逆ギレされそうだな。

 

 そんなことを考えながら、明日からの充実しまくりであろう活動に思いを馳せながら家路に着いた。






彼は無事に家を建てれるのでしょうか?

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