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異世界転移したんけどほぼ普通の人間なので毎日がサバイバルです  作者: おるる
第6章 追う者と追われる者では追う側のほうが楽しい
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9 クエストクリア!?

リーヌの家にとりあえず戻ります。



「お~い! レゴブロック! 戻ったぞ!」



 はて? どうも家の中が静かだな。


 ネルと別れてオルーツアに戻る途中で立ち寄ったのだが留守のようだ。

 う~ん。レゴブロックはどうでもいいとして……問題はオルだな。まあオルーツアに戻ればいつか戻ってくるだろう。

 よし! 今日はもうこの町で泊まって帰るか。クエスト完了を祝して一杯やるしかないな!


 とその前に……こいつにプレゼントをしてやろう……


 おもむろにタブレットを取り出しポチポチと画面をクリックする。

 これを目にしたやつの顔を想像すると……ケケケ♪ 

 おっと! ここはやはりオリジナリティを出さないとな! むふふ……

 



~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~




「おばちゃ~ん! おかわりちょうだい!」


 ふいぃ~! よき労働の後は酒がうまい。宿場町だけあって多くの旅人や冒険者が行き交っているせいで、話し相手がいなくても近くに座るそんな奴らの会話が酒のつまみになる。


「オルーツアでSランクが二人とAランクが二人任命されたらしいぜ。」


 おっ! それはあいつらの事だな。どうも身内が話題になっているようで鼻が高いぞ。


「セティ国王の姿をキルサバル近郊で見かけたって噂がだがパチもんだろうよ。」


 ふふふ。それは真実だぞ。このベルン国王と一緒に俺らの戦いを見てたなんて言っても信じないだろうな。


「おいおい聞いたかよ! どうやらこの国でも米が解禁になるらしいぞ! 一体誰があんなパンにもならねぇもんを食うんだって言うんだ!」


 なんだと……?


「おい……その話……詳しく説明しろ……」


 後で聞いた話だが、この時の俺はまるで餓えた魔物の形相だったらしい。


 酒場から戻りベッドに体を投げ出して一人呟く。


 「そうか。とうとう米が食えるのか……。」


 この世界に来て数ヶ月。忘れたくても忘れられない食材であった米。とうとう口にする時が来ようとしている。

 目を閉じると思い出す数々の米料理。やばいぞ……もしかしたら、俺はこの世界に革命を起こすかもしれん!


「もうすぐだ。もうすぐ食えるんだ……。」


 うわ言のように呟きながらほろ酔いにまかせて瞼を閉じ、ここ数日の疲れを癒すため深い眠りについた。




「お客さ~ん! あんたの知り合いって方が来てるよ~!」


 うぅ……もう朝か。扉の向こうから響いてきた宿の店主が威勢のいい目覚ましをしてくれた。


「はいぃ~。すぐ行きます~。」


 昨夜は調子に乗って少し飲みすぎたせいか軽い二日酔いだな。

 階段を降りると見慣れた男前がロビーのソファーに腰かけているのが見える。


「やあキノくん。こっちに来てるってニーチェさんから聞いたから来てみたよ。で、どうだい? 成果はあったかな?」


 ホクホク顔のグラーシュさんが期待をこめた眼差しで俺を迎える。


「おはようございますグラーシュさん。ちょうど昨夜戻りましたが、一応成果は……ありますよ!」


「ふむ! さすがだ! それにしてもキノくんはなかなかの実力者なんだね。エルシュさんから話は聞いていたが、まさか一人で行くとは。」


「えっとですね、実は手伝ってくれたやつがいたんですよ。あいつがいなかったら多分俺一人じゃ無理だったと思います。」


「そうだったんですね。ですがそれでも凄いですよ! それでは早く戦利品を見せてもらえますか?」


 もう彼の頭の中は魔術具の事でいっぱいのようだ。

 さすがにロビーで広げるわけには行かないので、俺が泊まっている部屋に案内し手に入れた魔術具を並べる。


「これは……ふむむ……。」


 グラーシュさんは真剣な顔つきでひとつひとつを手に取り確認を進めている。どんな効果があるのか俺にはまったく分からないからその価値すら見当もつかない。


「……なるほど。キノくん。手に入れたのはこれだけですか?」


「そうですよ。手伝ってくれたやつはあまり興味がなかったみたいで何もいらないと言ってましたからね。」


「ですか。この中には私の目当ての品はないようですね。さてさてどうしたものか……にしても二ヶ所に分けられたにしては数が少ないようですね。」


 えっ? 二ヶ所……あああっ!


「グ、グラーシュさんお聞きしたいのですが、二ヶ所って……」


「ええ。キノくんに渡した二枚の地図はそれぞれ別の場所を示しているのですよ。地図を見せてもらってもいいですか?」


 うん。間違いない。俺はまだ一ヶ所しか探してない……。カバンから二枚の地図を出すとグラーシュさんに手渡す。


「こちらの地図が山の麓に隠したもので、もう一枚の地図は……あっ! これはちょっとわかりませんにくいですね。ほら、この山にあるところですね。」


 グラーシュさんが示す部分には確かにうっすらと赤いインクで印がしてある。あの岩山の頂上付近だ。


「……すいませんグラーシュさん。俺、飯食ったらちょっと山登りしてきます。」



~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


「ニーチェ、ニョロゾ! 一旦離れて!」


 ネシャの鋭い声が迷宮内に響き渡る。


「やっぱ並の魔物の強さじゃないな。けど……おりゃああぁっ!」


 ニョロゾの雄叫びと共にキマイラの後ろ足がバターのように切断され、その痛みからか断末魔のような叫び声がほとばしる。

 そしてすでに背後に回っているネシャが大斧を一閃。切断された頭が地面転がり、首からはおびただしい血が吹き出しその巨体は崩れ落ちた。


「はぁはぁ……さすがに疲れたよ。まだもう一匹いるんだよね?」


 キマイラを翻弄するべく常に地を蹴り動き回っていたニーチェが肩で息をする。


「だね。報酬はよくても一歩間違えたら死んでもおかしくないな。次からはキノかエーシャも連れて来よう。三人じゃきついクエストだ……」


 ニョロゾは地面にひっくり返って大の字だ。しばらくは起き上がれないくらいに消耗している。


「今日のところはこれで引き上げましょ! このまま続けたらニョロゾかニーチェのどっちか倒れるよ。」


「だな。明日仕切り直しだ。腹減ってもう動けん……」


 これがAランク、いやSランクの冒険者のクエストなのか。

 ニーチェは今までにない高揚を感じていた。次元の違う魔物との戦いもそうだが、特筆すべきは二人の戦いだろう。

 幾度も修羅場を潜り抜けてきた二人の動きは、これまで目にしたものとは一線を画すものである。


 本気の二人を見せつけられたのだ。


「やっぱ二人ともすごいよ! キノが化け物呼ばわりするのがわかる気がする!」


「はははっ! そのうちニーチェも同じ高みに来るはずだよ。そのためにも数をこなさないとね!」


 ネシャが笑いながらニーチェの背中をポンと叩く。


「んじゃ早いとこここから出よう! 他の魔物が沸きだしたら今の疲れた状態じゃ対処できないからね。」


 三人はややふらつきながら迷宮を後戻りする。 

 キノは一人で大丈夫なのか?

 三人は思ってはいても口には出さない。

 なぜならば彼にはオルがいる。

 多分自分達よりも強力な相棒が常に側にいるのだ。



~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


「くっそ~こんなことならやっぱオルがいたほうがよかったな。今さらだけどオルを連れて……いやいや! レゴブロックに冷やかされるに違いない。絶対助けは呼ばんぞ。」


 グラーシュさんを宿に残し、マウンテンバイクを走らせる。俺の不注意とはいえ、またあそこに行くのか。


 しかも今度は山登り決定かよ……


 どうか腐ったドラゴンなんかいませんように!



~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


 

―オルツよ。そろそろ食事にしましょう。市場で買いましょうか―


―待っていましたリーヌ様! 猪串を10本ほど頂いてもよいですか?―


―構いませんよ。食費はすべてキノにつけておきますからね。もちろん私の分も―


 リーヌとオルはキノやニーチェ達の事など露知らず、軽くスキップをしなが市場の喧騒に消えて行った。




キノの確認ミスです。山に登ってもらいます。

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