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異世界転移したんけどほぼ普通の人間なので毎日がサバイバルです  作者: おるる
第5章 異世界って戦いばかりで結構疲れるのです
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閑話 ネシャとニョロゾ 3

二人はオルーツアに戻ります。

「いらっしゃい! おっ! ニョロゾさんおかえり~!」


 ギルド長のアヤメがニョロゾを出迎える。今日は月末なので、面倒な棚卸の作業はレイカが裏でぶつぶつと文句を言いながら嫌々手を動かしている。


「おぅ! アヤメさん。ネシャはまだ戻ってないかな?」


「まだここには来てないよ。どうしたん? 喧嘩でもした?」


「ちゃうちゃう。依頼終わらせた後、俺は集会があるから王都に行ってたんだ。ネシャのやつは相棒の手入れしてこっちに戻るって言ってたんだが、俺のほうが早かったみたいだね。」


 クエスト掲示板を見上げながらアヤメに答えるニョロゾ。目ぼしい依頼はなさそうだ。


「忙しいのにちゃんと集会に参加してるんだね~! 今回はどうだった?」


「うむ。弾ける自分をより輝かせるためにってコンセプトの集会だったんだけど、ほら。これ着て参加してきたんだ。」


 そう言ってピンクの全身タイツとコウモリの被り物をマジックバッグから取り出す。それを見たアヤメは苦笑いを浮かべながらその衣装を装着するニョロゾを頭で思い浮かべる。


「あ、あはは……そりゃこの衣装だと弾けてるの間違いないよね……」


「だろ! 結構このタイツ系のやつらがいたから話が盛り上がってね! それに今回の集会は歌がなくてよかったよ。どうにも俺は歌だけはダメだからね。ダンスならそこそこいけるんだけど! それでさ、仲間のケロってやつが……」


 ニョロゾの話が止まらない。本当にこの獣毛族はこの界隈では名を知らぬ者がいないと言わしめるAランクの猛者なのかとアヤメは心底疑ってしまうほどだ。


「ギルド長~裏の棚卸終わりましたよ。ってニョロゾさんおかえりなさい!」


「レイカさん棚卸お疲れ様だね! さて。じゃネシャが戻るまで素材売り払ってくるとするよ。ネシャが帰ってきたらピッピさんとこと素材屋に行ってるって伝えてくれないかな?」


「わかったわ。じゃ行ってらっしゃい!」


 手を振りながらテクテクと冒険者ギルドを後にするニョロゾ。その後ろ姿を見送りながらレイカはアヤメに訪ねる。


「あの……ニョロゾさんが言ってた集会って何なんですか?」


 腕組みをしてアヤメは静かに語りだした。


「獣毛族ってね、仲間意識が他の種族より強いのよ。それで、各地にいる獣毛族がだいたい二か月に一回一つの都市に集まって近況を報告したり懇親の時間を持つみたい。ある時はただ談笑したり、ある時は歌を歌ったり。集まった人達で一糸乱れないダンスをしたりするときもあるんだって。はじめは集会が開かれる都市では緊張感が高まりすぎて軍隊が取り囲むなか集会が開かれてたみたいだけど、平和すぎる集まりだから今じゃ風物詩みたいに見られて他の種族もやろうかってくらいよ。」


「へぇ~。でもよく各地の領主はそれだけの集まりを許していますね。弊害はないんですかね?」


「どうなのかな? ニョロゾみたいな冒険者が10人でも集まればすぐにその都市を制圧するのもわけないと思うんだけどね。何にせよ許されているんだからいいんじゃない?」


 本気を出したニョロゾが10人か……うん。王都の騎士団でも一日抵抗できるかどうか。いや無理だな。


「まぁそうですよね。それにしてもあんな生き生きしたニョロゾさんは見たことないですよ。どれだけ集会が好きなんですかね。」


「それが彼曰く、『集会に行かねばストレスで毛が抜ける』って。」


「……確かに全身に円形脱毛症を発症してるニョロゾさんは見たくありません……」


 遠い目をして禿げ散らかしたニョロゾを想像する二人。


「だね……歴戦の冒険者もガス抜きが必要ってことだよ。じゃないと、あんなピンクタイツを着て知り合いに会うなんてどんな罰ゲームなんだって話だよ。」


「……人間の間では流行ってほしくないですね。」


「うん。もし国令として伝達がきたら私は人間やめるよ。」


「私は山に逃げます。」



 こうしてレイカは獣毛族の風習を深く知り、人間に生まれ生きていることを神に感謝するのであった。



「ありがとうね。また珍しいのが手に入ったら遠慮なく持ち込んでね。」


 ピッピの弾む声が店内に響く。シーサペントの報酬と同じくらいの素材の売買が終わりニョロゾの顔もホクホクだ。


「ふいぃ――――ようやく追いついたよ。やっぱニョロゾのほうが早かったね。」


 全速力でここまで来たのか、肩で息をするネシャがニョロゾと合流した。


「そりゃ足の早さが俺の売りだからね。ネシャも素材売っとく?」


 マジックバッグの中を覗きこむネシャだがすぐにバッグの口を締める。


「ん~高価格の素材はそんなにないからまた今度でいいよ。ザネックスさんのとこには行ったの?」


「いや。これから行こうと思ってね。ネシャも来るだろ?例のキノくんの……」


「うん。不安要素はなるべくないほうがいいからね。ザネックスさんの見解だけでも聞いておいて損はないはずだし。」


「よし。じゃ行こうか。」


 いつもより真剣な顔つきに変わった二人は自分達の思い過ごしだと信じながらザネックスの店に向かった。



二人がキノの短剣と召喚者についての憶測はこのあとのザネックスとエルシュの話で解決したということにしたので深く書きません。


明日は登場人物の紹介です。

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