5 チームキノ
お休みの予定でしたが更新しときます。
ただし短いです。
グラーシュさんのお店に行ってから一週間が過ぎた。
あれから一週間。なにもしていない。まるでニートの生活だ。あのビビとの対抗戦まで10日を切ったがとびっきりの秘策があるわけでも勝てる自信があるわけでもない。
正直なところもう充分なのだ。
これ以上修行的なものやる必要はない。負けなければいいんだとほぼ投げやりになっているのが正直なとこだ。まず。ほんの二ヶ月ではそこまで強くなれるはずがない。三人選抜の戦いであるならば二勝すればいいんだ。
そうなると……圧倒的に強いやつを出せばなんとか二勝いけるはず。他力本願もいいとこだが、これが一番実際的な考えだ。
あとは残る二人を選ぶわけだが……
―オル。お前は強制参加だ。有無を言わさずな―
―ほう。ようやく従魔らしいことを割り当ててきたな。戦うのは嫌いではないからやらせてもらうぞ―
―うむ。お前で一勝は確実だ。あともう一人だが誰にすべきかな―
ネシャとニョロゾは依頼を受けてまだ戻ってきていないし、エルシュさんは町長の立場として出れないって言ってたしな。ニーチェには荷が重いよな……
「こんにちは~。エルシュさん達は戻ってきました?」
先日からエルシュさんの帰宅をまだかまだかと待っているエーシャがやってきた。
「よぅ。まだエルシュさん達は帰ってきていないんだ。ところでエーシャは9日後は暇してる?」
きょとんとしていたエーシャは、以前俺があげたメモ帳をおもむろに開いてページをめくりだした。
「えっとですね~明日から一週間は王都に行くのですが、帰ってからは予定がないので大丈夫ですよ。」
「よしわかった。気をつけて王都から戻ってきてくれよ。戻り次第すぐに講堂まで来てくれ。」
「いいけど……何かあるのかい?」
「うむ。君のような人材が必要なのだよ。君の才能なくしてはどうにもならないだろう。率直に言おう。君の助けが必要なんだ。その日を俺にくれないか?」
ここはとにかくおだててイエスしか言えない場を作らねば!
「そうか。何を企んでいるのか知らないが必要とされるならばその期待に応えよう。じゃ戻ったら講堂に行くからな。当日の昼前には戻れるはずだから。エルシュさんが帰ってきたら、王都に行ったと伝えておいてくれ。」
「頼んだぞ~。待ってるからな~。」
彼は爽やかに手を振りながら家から出ていった。すまぬなエーシャくん。君は対抗戦のことをどうやら忘れているようだな。約束は守ってもらうぞ。
―いいのか? ワシからすれば適当な人選にしか見えぬぞ―
―大丈夫だ。最悪の場合は五分五分に持ち込めばいいんだからな―
―ふむ。お前に策があるなら任せるぞ―
残念ながら策らしい策はないのだがな。どうにかなるだろう。エーシャが帰った後、軽く食事を済ませて掃除をする。居候の身だしさすがに掃除くらいはしないとな。一通りやることやったし暇だから市場でもぶらついてこようかな。
「ただいま~! 帰ったよ! 荷物を下ろすからキノも手伝って!」
おっと……タイミング悪くエルシュさんとニーチェが帰ってきたようだ。今日からいつもの毎日に戻ってしまうな。
帰宅した二人に話を聞くと、出かけた隣町というのはどうやらルーシキの森の近くにあるホンデの町のようだ。
宿場町としての人気が高く、オルーツアの宿にも参考にならないかと思い行ってみたらしい。
こういった町の発展のために足を運ぶのも町長の仕事だとか。
二人に対抗戦のメンバーを伝えたところ、ありがたいことに俺に任せるとのことだ。あとはその日が来るのを待つだけだな。
俺は念には念を入れて……
そしてついにその日がきた。
俺とエルシュさん、ニーチェ、オルは朝から講堂に向かう。すでにエーシャが先に着いていて暇そうに腰掛けている。
「エーシャありがとう! 約束通り来てくれたな。」
「おお。ってエルシュさん達も? どうしたんですか?」
やはり彼は忘れてるな。なぜ俺がルーシキの森でひどい目にあってたのかその理由さえも。
「何を言っているんだい? この『チームキノ』の切込隊長ともあろうお方が!」
「君こそ何を言ってるのかさっぱりなんだが……何かのクエストにでも行くのかい?」
わけがわからず狼狽えているエーシャの後ろからやつらが現れた。
「あら。ちゃんと逃げずにいらしたのですね。今日は楽しい一日になりそうですこと。」
その声を聞き一瞬にしてエーシャの表情が固まる。空いた口から出そうとする言葉が言葉にならない。ようやく悟ったようだ。今日が何の日なのか。そして自分がなぜ呼ばれたのかを。
「キノ。お腹痛いから帰っていいかな?あと犬の散歩に行かないと……」
ダメです。今日一日は付き合ってもらいますぞ。
さあやりましょうかね!
次回より第五章に入ります。
閑話、登場人物の紹介はありません。




