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14 女神からの保護

久々の登場です。


いつ出そうか迷ってましたがこの機会にでてもらいます。


《おひさ―! 頑張ってるみたいだね!》


 この声は……まさかまさか!


「シューラさん!?」


《そだよ―! ようやく私の言葉を思い出せたみたいだね! 完璧じゃないけどw》


 どこからともなく聞こえてるくるその声は紛れもなくシューラさんだ!


「まさかまた話ができるとは……お元気でしたか?」


《元気だよ―! 神様は風邪なんか引かないからね! ってキノくんはなかなかピンチみたいだけど、よくそんな社交辞令じみた挨拶できるねw》


 そうだ! 今はオルのおかげでロックリザードが怯んではいるが、間違いなくピンチなのだ。


《まっ! オルツがいるなら大丈夫だろうけどね! ところで私からの祝福と保護はちゃんと活用して……ないみたいだね……》


 うわぁ……シューラさんかなりがっかりしてるぞ。どうすりゃいいんだ?


「シューラさん! 正直言ってわからないんです! オルも俺にはあなたからの祝福と保護があるっていうんですが、どうやったらそれがわかるのか……」


 天に目を向け見えるはずもないシューラさんを探す。見えなくてもこの場に響く彼女の声。きっとシューラさんからは丸見えだろう。どうにかこの場を乗り切る助けが欲しい!


《ふふふっ! いいかなキノくん! 君はもう何回も私から保護の恩恵を受けてるよ! そして、これからはその保護から活路を見出だせるよ―に君が一歩を踏み出すんだよ!》


「へっ? 俺が一歩を踏み出す?」


《そ―そ―! 保護だけじゃダメなんだ! 大事なのは君がどうするかだからね! 今までみたく誰かに守られてばかりじゃつまんないよ! きっと君は上手に扱えるさ!》


なんだなんだ? 謎かけか? オルといいシューラさんといい、はっきり言葉にしてくれれば…


《もう一度思い出してごらん! 私が君に最後に伝えた言葉を!》


 ええっと……「君の行く末にあたしからの保護を! そしていかなるときも屈せぬ強き心を! あと……」


《そ―そ―! きみの行く末に……今の君には自分の最後、つまり死ぬ瞬間が見えるよね? そして、どんな苦境に立ってもなぜか諦めない気持ちが沸いてくるよね?》


「は、はい! そういえば……」


 そうなのだ。なぜがこの世界に来て諦めという感情が俺にはないのだ。さすがに死ぬビジョンが脳裏に映ったらあれだが。普通だったらこんなことはあり得ない。


 何度も言うが俺は至って普通の成人したごく普通の男だ。巷の異世界話みたいに転移、転生してすぐにその世界に馴染み、チートモードでモンスターをバッタバッタと切り伏せるって心底信じてない。

 

 だが……絶望に包まれて天に唾を吐くのではなく、なんとかしようという気持ちだけは俺から離れないのだ。もしかして……


《そ―だよ! 今キノくんが思ってる通りだよ! 君のいる世界は地球とは全然違うでしょ? この先、もっともっと困難な道が続くよ! たくさんの死を見るだろうし、たくさんの命をその手にかける。だけど君自身が自分を見失わない為にも私が君の心をずっと守ったげるのさ!》


 あぁ……そっか……地球ではただの一社会人だったのに、こんな命のやり取りばかりの世界でこれまで自我を失わないで生きれてるのはシューラさんのおかげだったのか……


 自然と涙が頬を伝う。俺はずっとシューラさんに守られてたんだ……


《あ―あ―! 泣かない泣かない! そんなんじゃまたリーヌにバカにされちゃうよ! ほら! その目の前にいるおっきなトカゲくらいちゃちゃっとやっちゃうんだ! いいかい? 君が一歩を踏み出すんだよ! いつでも私は君の側にいるからね!》


「ああ! シューラさん! シュー……」


 周りからシューラさんの気配がなくなった。しかし確かにシューラさんと話をした。今までの何よりも俺を励まし背中を押してくれた暖かな言葉だった。


―ふん。いかに腑抜けなお前でもシューラ様から直々に言葉をかけられればおのずと身が引き締まるだろう?―


―ああそうだな。俺はずっとシューラさんに、お前に助けられてたんだな―


―そういうことだ。お前に付与された神からの保護は絶対だ。お前が死ぬまでな。ではその保護、お前はどう用いる?―


―俺自身が一歩を踏み出せって念を押されたからからな。……やってやろうじゃねぇか。オルよ。こいつの相手をさせてみろ―


―いけるのか?今のお前だけでは敵わぬと思うのだが……シューラ様からの保護を……理解したのか?―


―たぶんな。お前が以前教えてくれたよな? シューラさんがどんな神か。そしてさっきのシューラさんの言葉。それでようやく理解できたぞ―


 腰から短剣を抜き取る。曇りがない淡い青色の刀身が日の光に反射する。


―そうか。ならばこれ以上言うまい。お前の戦い見届けよう!―


 オルが身を翻してその場から消える。その瞬間石のように固まっていたロックリザードがその目を見開き俺に飛びかかってきた。




~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~




「よし! 残るクエストはあと一件だけだよ!」


 高クエストのクラウンバードの卵の採取を終えたネシャが崖からよじ登ってくる。


「お疲れ~! いや~高所恐怖症の俺には無理なクエストだ。」


 仮の天幕を張ってくつろいでたニョロゾがネシャを労う。


「私も高いとこはあんまし得意じゃないんだけどね。ニーチェが巣を見つけてくれなきゃこのクエストはクリアできたかわからないよ!」


「たまたま見つけたんだよ! ねーねー! クラウンバードはいた? 私まだ見たことないんだ……」


 ネシャが採取してきたクラウンバードの卵を見せてもらいながらニーチェが問いかける。


「クラウンバードはいなかったよ。もしいたらすぐみんなに召集かけるよ! あんな足場の悪いとこじゃ一人じゃ勝ち目ないもん!」


 おどけて答えるネシャ。種族は違えども長年パーティーを組んでいるだけあって和気あいあいな雰囲気はいくら毎日顔を合わせていても変わらない。


「だいぶ遠くまで来たなぁ。そろそろキノくんのとこに戻ろうか? レイカさん暇してるはずだしね。」


 ニョロゾとエーシャが天幕を片付け始める。するとはるか東の方角で凄まじい轟音と土煙があがっている。そのあまりに大きな音により、鳥達が一斉に木々の間から飛び立つ。


「えらい元気がいい魔物がいるみたいだな。土煙があがるってどんだけなんだよ。」


 ニョロゾが手を止めその方角に目を向ける。


「みなさん……どうしても言わなきゃいけないと思うのであえて言わせてもらうのですが……」


 血の気の引いた顔で肩を震わせながらエーシャが小声で呟く。


「あの方角に沸いたあの土煙の位置……キノくんがいる原っぱの近くなのでは……?」


「「「!」」」


 その瞬間ニーチェとニョロゾの姿が消えた。


「ちょっとエーシャ! 急いで片付けるわよ!」


 青ざめた顔のネシャが焦りつつ天幕の片付けを手伝い始める。


 きっと……オルちゃんとレイカさんが守ってくれてるはず!


 先に原っぱに向かったニーチェとニョロゾは口には出さなかったが思うことは同じであった。

あと3,4話で三章終わります。



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